
クファール・エツィオン、ヨルダン川西岸地区:9日、占領下のヨルダン川西岸地区で銃撃され死亡したイスラエル人姉妹2人の葬儀が執り行われ、姉妹の死を悼む参列者でいっぱいになった部屋で遺族が涙ながらに哀悼の言葉を述べた。姉妹の母親は負傷して今も昏睡状態にある。
イギリス国籍も持っているマイア・ディーさん(20)とリナ・ディーさん(15)は7日、車に乗っていたところをパレスチナ人と思われる男に銃撃され死亡した。イスラエル軍は今も襲撃者を捜索している。
姉妹の父レオさんは、クファール・エツィオンのユダヤ人入植地で執り行われた葬儀に集まった人々を前に涙ながらにスピーチした。
彼は、今が過越の祭の最中であることに触れ、奴隷状態にあったユダヤ人が自由を求めて出エジプトを行ったという旧約聖書の話を引き合いに出した。
彼は、「贖罪への旅は、三歩進んで二歩下がるというようなゆっくりとしたものです。マイアとリナ、あなたたちを失ったことで、私たちの世界は2歩下がってしまいました」と言い、布で覆われて横たわっている姉妹の遺体の方に腕を伸ばした。「あなたたちは私たちにインスピレーションを与え、愛してくれました。私たちはお返しにあなたたちを永遠に愛します」
二人の姉妹であるケレンさんは、妹を守れなかったことを悔やんだ。
「あなたの代わりに私があの車の中にいることができたなら、私は何でもします」
1年ほど前からイスラエルとパレスチナの間の暴力がエスカレートする中、ラマダンと過越の祭が重なったことで緊張が特に高まっている。姉妹が死亡した数時間後には、テルアビブでイタリア人観光客が車両暴走攻撃で殺害された。
これらの攻撃は、先週イスラエル警察がエルサレムのアル・アクサモスクに突入したことで高まったイスラエルとパレスチナの間の緊張をさらに高めた。
今年に入ってから、イスラエル、エルサレム周辺、ヨルダン川西岸地区で行われた攻撃により少なくとも18人のイスラエル人および外国人が死亡した。同期間にイスラエル軍によって殺害されたパレスチナ人は80人以上に上り、その大半は過激派組織の戦闘員だが民間人も含まれている。
ロイター