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シリアのアラブ復帰が双方のメリットとなる提案とみなされる理由

シリアの参加は、今月初めにシリアが汎アラブ機構に再加盟したことに続き、シリアと他のアラブ諸国との関係を修復するためにサウジアラビア主導で行われたより広範な努力の中で実現した。(提供写真)
シリアの参加は、今月初めにシリアが汎アラブ機構に再加盟したことに続き、シリアと他のアラブ諸国との関係を修復するためにサウジアラビア主導で行われたより広範な努力の中で実現した。(提供写真)
2023年5月19日、ジェッダで開催されたアラブ連盟サミットの閉会式で他のアラブ諸国首脳らと写真撮影会に参加する、シリアのバッシャール・アサド大統領(左から4番目)。(サウジ国営通信)
2023年5月19日、ジェッダで開催されたアラブ連盟サミットの閉会式で他のアラブ諸国首脳らと写真撮影会に参加する、シリアのバッシャール・アサド大統領(左から4番目)。(サウジ国営通信)
2023年5月19日にジェッダで開催されたアラブ連盟サミットで、演説する際にスクリーンに映っているシリアのバッシャール・アサド大統領。(ロイター経由アル・エクバリヤTV)
2023年5月19日にジェッダで開催されたアラブ連盟サミットで、演説する際にスクリーンに映っているシリアのバッシャール・アサド大統領。(ロイター経由アル・エクバリヤTV)
2023年1月25日、シリアとトルコの国境にある反政権勢力が支配するバブアルハワ検問所の近くで、戦争の残骸と屑鉄をリサイクルするために工場で働く労働者。(AFP通信)
2023年1月25日、シリアとトルコの国境にある反政権勢力が支配するバブアルハワ検問所の近くで、戦争の残骸と屑鉄をリサイクルするために工場で働く労働者。(AFP通信)
19日のジェッダでのサミットに合わせ、アラブ連盟のアフマド・アブルゲイト事務総長と会談を行なうシリアのバッシャール・アサド大統領。(サウジ国営通信)
19日のジェッダでのサミットに合わせ、アラブ連盟のアフマド・アブルゲイト事務総長と会談を行なうシリアのバッシャール・アサド大統領。(サウジ国営通信)
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20 May 2023 07:05:26 GMT9
20 May 2023 07:05:26 GMT9

イラクのクルド人自治区、エルビル:バッシャール・アル・アサド大統領がアラブ連盟の主要会合に出席してから13年を経て、同大統領率いるシリア代表団がサウジアラビアの都市ジェッダで開催された第32回サミットに参加した。

19日のサミットへのアサド大統領の参加は、今月初めにシリアが汎アラブ機構に再加盟したことに続き、シリアと他のアラブ諸国との関係を修復するためにサウジアラビア主導で行われたより広範な努力の中で実現した。

サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外務大臣は、17日に行われたサミット準備会合の参加者に向けた演説で、明らかに和解的な口調を示した。「我々はシリアがアラブ連盟に復帰することを歓迎する」と述べ、「我々が直面している課題」に対処するための新しいメカニズムを考案する必要性を強調した。

サウジアラビアは、2月6日に発生した壊滅的なトルコ・シリア地震の後、戦争で荒廃したシリアへの人道援助提供を皮切りに、シリアのアラブ組織復帰において重要な役割を果たしている。 

サウジアラビアとシリアは、相手国での外交業務再開と、航空便の運航再開を予定している。2012年にアサド政権と断交したサウジアラビアは、シリアとの関係を再構築したアラブで最初の国ではないが、現在の外交努力を先導しており、大きな成果をもたらす可能性があると多くのアナリストは考えている。

「サウジアラビアは関係正常化を『標準に戻す』役割を果たしたと思う」と、リスクインテリジェンス企業RANEで中東・北アフリカ担当の上級アナリスト、ライアン・ボール氏はアラブニュースに語った。「エジプト、UAE、バーレーンなどの国々はすでに関係正常化を推進していたが、サウジアラビアの支援なしでは、どの国も例外的存在のように見えた。

「この地域で大きな政治的、経済的影響力を持つ最大の湾岸アラブ諸国として、サウジ政府の正常化への賛同は、その傾向を加速させるのに役立った」と同氏は述べた。「利益に関しては、その大半は長期的なものだ。当面は、サウジアラビアは外交を通じて問題を解決する平和主義者のように見えることから恩恵を受けている。

「長期的には」、サウジアラビアがシリア復興を促進し、「国の再建と潜在的な影響力の強化に大きな役割を果たす」ことをボール氏は期待している。

最近閉会したジェッダのアラブ首脳会議に先立ち、サウジアラビアのナーイフ・ビン・バンダー・アル・スダイリ駐ヨルダン大使とダマスカスで会談するシリアのバッシャール・アル・アサド大統領。(シリア大統領電報ページ/AFP)

シリアは、外交的正常化と地域復興の組み合わせにより、切望している復興と新たな貿易の再開を促進する可能性のある「外部世界との何らかの新しい経済的関係を潜在的に獲得できる道筋」を歩むことになる。

アラブ連盟は2011年11月、同年初めに始まった抗議行動に対するアサド政権の弾圧を理由にシリアの参加資格を停止した。その弾圧は、50万人以上の人々を殺害し、何百万人もの人々を追放し、同国のインフラと産業に打撃を与えた戦争と化した。

オクラホマ大学の中東研究センターとイラン・ペルシャ湾岸研究のためのファルザネ・ファミリー・センターの両方で所長を務めるジョシュア・ランディス氏はアラブニュースの取材に対し、「サウジアラビアの役割は、シリアがアラブ世界の懐に戻る鍵となっている」と述べた。

サウジアラビアが中東の安定と経済成長を推進することは、中東地域で「サウジアラビアをビジネスと観光の拠点にする」というムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下のビジョン実現に役立つ。

「シリアの再建は、より安定し繁栄した、より良い地域を構築するための鍵となる」と同氏は述べた。

ランディス氏は、シリアの動きが「アラブ人とより大きな中東のリーダーとしてのサウジアラビアの役割を固める」という目標を前進させると考えている。

「サウジアラビア指導部がイランと折り合いをつけた今、イエメンとシリアで同じことをしない理由はない」とランディス氏は述べた。「これはサウジアラビアの勝利だ」

両アナリストは、ジェッダでのサミットを潜在的な結果の1つと見ている。「これはとても重要なイベントになると思う」とRANEのボール氏は語った。「現時点では、シリアがかつての敵国の中でどれだけ関係正常化できるかという程度に過ぎない。次の大きな突破口は、何らかの形で米国の制裁制度を切り抜けることだろう」

ランディス氏はこの出来事について、「アラブ連盟がその無意味さで知られているにもかかわらず」重要であると述べた。

中東諸国の大半とシリアとの関係正常化は、国内の人道状況を改善し、10年以上実現していない安定性を回復するのにも役立つ可能性がある。

2023年5月19日、シリアの反政府勢力が支配する町アフリーンにあるアトマ国内避難民(IDP)キャンプで、テントの近くを歩く少女。(ロイター)

「関係正常化により、2月の地震の影響を受けた場所や反政権勢力が支配する地域への人道支援は容易になるだろう」とボール氏は述べた。「反政権勢力にシリア政府への譲歩を促し、内戦を平和的に終わらせるために必要な和解合意のいくつかを加速することができる。また、シリアでの任務をより明確にし、期限を設ける必要があることを米国に知らせるかもしれない」

それでもなお、重大な課題と障害が残っていることを両アナリストは認めている。米国はシリアに対する制裁解除に引き続き反対している。ランディス氏は、これらの制裁をシリア復興の「大きな障壁」と表現している。

「アラブ諸国は今、どのように西側諸国による制裁を徐々に崩し、シリアに対する厳格なボイコットを維持しようとする西側諸国の努力に逆らうかを決めなければならない」と同氏は述べた。

2022年12月23日、急騰するインフレと経済危機が進行する中、シリア北部の都市ラッカの市場で顧客を待つ男性。(AFP通信)

アラブ連盟への再加盟は、10年以上にわたる内戦と制裁によってまひ状態にあるシリアを安定させ、経済を活性化させるための第一歩となる。ランディス氏はこのプロセスを「謙虚な始まり」と要約した。

「アラブ連盟とサウジアラビア外交にとっての真の課題は、欧米に制裁を緩和させ、貿易の再開、シリアのエネルギー部門と配電網の回復を促進できるかどうかだ」とも述べた。 

「それが実現するまで、シリア国民は悲惨で困窮した生活を続けることになる」

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