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国連総長、スーダンの特使解任要請を拒否するも「UNITAMSに関する最終決定権は安保理に」

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、事務総長スーダン担当特使としてのフォルカー・ペルテス氏の仕事を誇りに思う、と述べた。(AP)
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、事務総長スーダン担当特使としてのフォルカー・ペルテス氏の仕事を誇りに思う、と述べた。(AP)
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01 Jun 2023 08:06:00 GMT9
01 Jun 2023 08:06:00 GMT9
  • グテーレス国連総長「衝撃的な要請」巡り安保理の非公開会議で説明
  • アブドゥルファッターフ・ブルハン最高司令官はフォルカー・ペルテス氏を「パルチザン」扱い

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:アントニオ・グテーレス国連事務総長は5月31日、スーダンの軍事最高司令官アブドゥルファッターフ・ブルハン氏によるスーダン特使解任要請を拒否し、紛争の絶えない同国で国連が行う包括的なミッションの運命を最終的に決めるのは安全保障理事会である、と述べた。


グテーレス氏の発言は、事務総長特使としてのフォルカー・ペルテス氏に対する「全幅の信頼」を示すもので、安保理の非公開会議での事情説明の後に行われた。グテーレス氏は、スーダンの状況、およびブルハン氏が「パルチザン」と呼ぶスーダン特使および国連スーダン統合移行支援ミッション(UNITAMS)代表のペルテス氏の解任を求める同氏からの書簡について議論するため、会議を招集した。


グテーレス氏が任期中に安保理の非公開会議を招集したのはまだ5回目である。


この非公開会議はスーダン軍最高司令官および「主権評議会」議長のブルハン氏からペルテス氏解任を要請する書簡を受け取った数日後に開かれた。


グテーレス氏はその協議が終わった後にニューヨークで行われた記者会見で「スーダンの状況に関しては、安保理が責任を負うエリアと、事務総長が責任を負うエリアがある。
私が責任を負うエリアにおいては、私は安保理で、フォルカー・ペルテス氏に対し、事務総長特使として全幅の信頼をおいていると改めて伝えた。
安保理がミッションのもう一定期間の継続を支持するか、それともミッションを終了させるかを決めるのは安保理だ」と述べた。


ステファン・ドゥジャリク報道官は、グテーレス氏はブルハン氏からの書簡にショックを受けたと述べた。グテーレス氏はスーダンにおけるペルテス氏の仕事に誇りを持ち、支持していた、と同氏は加えた。


報道によると、ブルハン氏はペルテス氏を「パルチザン」と非難し、紛争以前に行われたブルハン氏側と民主化運動側との会議におけるペルテス氏の戦略が対立を深めた、と主張している。


昨年ブルハン氏はペルテス氏を「国連ミッションの権限を超えてスーダン情勢に露骨に介入している」と非難し、同氏を国外追放すると脅していた。


ペルテス氏は先月初め、安保理に向け、紛争の責任は「日々紛争を繰り広げている者らにある。すなわち、未解決の対立をテーブル上でなく戦場へ持ち込んだ責任を共有する両陣営の指導者にある」と述べた。


国連によれば、4月に始まったこの紛争によって、少なくとも730人が殺害され、5500人が負傷した。実際の被害者数はこれよりずっと多いものとみられる。


ブルハン氏勢力とモハメド・ハムダン・ダガロ氏率いる準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との衝突は、首都ハルツーム、ザリンゲイ、中部ダルフール、エル=ファーシル、北部ダルフールおよびエル=オベイドといったスーダン国内各所で続いている。


また、スーダン市民の国内避難および近隣諸国への難民流入も安保理の懸念材料となっている。国際移住機関(IOM)によると、4月15日以降、120万人を超える人々が国内避難しており、37万人が中央アフリカ共和国、チャド、エジプト、エチオピアおよび南スーダンに避難したという。


ドゥジャリク報道官は、IOMの推計は「現地チームからの予備的な報告に基づくもので、人道アクセスが改善されるにつれ、より正確な情報が入ってくるだろう」と述べた。
これは先月31日、スーダン軍部がRSFを、首都ハルツームで病院およびその他市民インフラを占領し続けるなどして人道的休戦合意を「繰り返し破ってきた」と非難し、RSFとの交渉の座にはもうつかない、との声明を出す中でのことだった。


5月20日、双方はジェッダでアメリカとサウジが取り持って行った交渉の一環として、休戦に合意した。緊急人道支援物資の搬送および基本サービス回復のため、7日間の休戦を求めるものだった。双方は市民を暴力から守り、市民インフラおよび住宅地を標的にすること、および国内外から軍事物資を調達することを互いに禁止することで合意した。


また、5月26日に発布されたサウジ・アメリカの共同声明において、監視委員会は砲撃、軍用機、ハルツームでのドローン活動、ダルフールのザリンゲイにおける衝突といった、5月20日の合意に著しく違反する複数の行為を観測した、と報告した。サウジ・アメリカ両当局は「両陣営にこれ以上の違反行為を行わないよう勧告し、休戦合意をよりしっかり尊重するよう求めた」という。


現時点で、スーダンでは7つの休戦合意がなされたが、いずれも遵守されなかった。両陣営はその責任を互いに押し付けている。


先月28日のアメリカ・サウジの共同声明では、1週間の休戦に際し、スーダン軍は空爆を行い、RSFは民家の占領および財産の押収を続けたとして、双方による違反行為の具体的内容に触れて非難した。人道支援団の所有する燃料、金銭、支援物資および車両の盗難が、スーダン軍の占領区域およびRSFの占領区域の両方で確認された、と声明は加えている。


ブルハン氏の報道官は先月31日、スーダン軍は、話を進める前にアメリカとサウジが仲介した休戦合意の内容が「十分に遵守」されることを保障したい、と述べた。RSFは「サウジ・アメリカのイニシアチブを無条件に支持する」と述べている。


一方で国連安保理では、スーダンをめぐる状況にどのように対応するかについて意見が分かれる中、2020年に採択され、6月3日に終了が迫っているUNITAMSのマンデート更新に関する決議案について議論している。


ドゥジャリク報道官は一方で「現状を勘案して、ミッションはできる限りのことを続けていく。我々はポートスーダンで政治的存在感を保っている。ペルテス氏は来週早くにもスーダンへ戻るものとみている」と述べた。
また同氏はこう加えた。「我々が双方から十分な協力を得られているかについてはコメントを控える。銃を持った人たちと話ができ、安全な道を確保すれば、特定の場所に人道支援を送ることができる。
「WFP(世界食糧計画)はハルツームで食料配給を再開できた。輸送可能なトラックは多数用意できている。今我々が求めるのは、双方による全国的休戦である。護送隊の各々について、移動に際し、都度ケースバイケースの交渉を行うのは時間がかかり、リスクを伴うからだ」

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