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レバノンFPM党、ヒズボラ派の候補を支持しないことをシリア政府に釈明

シリア大統領府が発表した、レバノンのミシェル・アウン元大統領(中央左)と会談するバッシャール・アル・アサド大統領(中央右)の写真。ダマスカスで、2023年6月6日(AFP)
シリア大統領府が発表した、レバノンのミシェル・アウン元大統領(中央左)と会談するバッシャール・アル・アサド大統領(中央右)の写真。ダマスカスで、2023年6月6日(AFP)
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07 Jun 2023 07:06:20 GMT9
07 Jun 2023 07:06:20 GMT9
  • アウン氏の大統領としての任期は昨年10月31日に終了しており、以来フランジェ氏の指名をめぐりFPMがヒズボラとの同盟関係を破棄するなど各派の争いが続いたことで、大統領職は空位のままになっている

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンのミシェル・アウン元大統領は自身が率いる政党が、ヒズボラが推す大統領候補を支持しない方針を固めたことを受け、シリア政府との関係維持のためシリアを訪問した。

自由愛国運動(FPM)は、党首のアウン氏が「6月6日、ダマスカスを訪問し、滞在中にシリアのバッシャール・アル・アサド大統領と会談する予定だ」と明らかにした。

これに数日先立って、FPMはレバノンの次期大統領候補としてヒズボラが推すアサド氏の盟友スレイマン・フランジェ氏ではなく、ジハド・アズール氏を支持すると表明していた。

アウン氏にはピエール・ラフール元大臣が同行した。FPMに近い情報筋によると、アウン氏の目的は「シリア政府との関係継続と、FPMの戦略的立場の確認」である。

「それとともに、アウン氏はアサド氏に対し、フランジェ氏を支持しないことはこの立場とは無関係であると釈明し、フランジェ氏支持を続けた場合、レバノン国内のキリスト教各派の合意が危険にさらされると恐れがあると説明するだろう」

アウン氏の大統領としての任期は昨年10月31日に終了しており、以来フランジェ氏の指名をめぐりFPMがヒズボラとの同盟関係を破棄するなど各派の争いが続いたことで、大統領職は空位のままになっている。

5日夕方に開かれたFPMの議会会派の会合で、アウン氏は以下のように発言したという。かつて財務大臣を務めたアズール氏は「実務家で、IMFで(中東・中央アジア局長として)勤務している。彼こそレバノンが必要とする人物だ。一方で、マラダ軍団のスレイマン・フランジェ党首は、レバノンを今日まで導いた指導層の不可欠な一部だ」

各政党は、ナビーフ・ビッリー議会議長により6月14日と定められた大統領選に向けて議員の票を確保するために奔走している。

現時点で、128名の議員のうち、30人以上がアズール氏支持に関して立場を明らかにしていない。無所属あるいは票を誰に投じるか決めかねている議員の中には、これから決断するとしている者もいるが、誰を支持するかを明らかにしないという立場の者もいる。

民主集合(進歩社会党)の議会会派は8日に会合を開き、どの候補者を支持すべきかについて議論する。

いまだどの候補を支持するか明らかにしていないのは他に「国民の合意」(ファイサル・カラミ氏とその同盟者)、「国家中道」(北部を拠点とする)、無所属議会会派(イマド・ハワト、ビラル・アル・ハシミ、ナビール・バドル、ニーマト・フェルム、ジャミル・アブドの各議員を含む)である。

アルメニア系議員、シドン・ジェジン地区選出の3名、「変革」会派の約10名、他数名の無所属議員も誰を支持するかを決めていない。

ヒズボラの議会会派に所属するハッサン・ファドラッラー議員は同会派が「憲法と法で保障された権利を最大限に行使するだろう。今は議論している段階だ。選挙の日まではまだ時間がある。我々は会派として統一の立場を決め、その上で決められた日時にそれを実行するだろう」と述べた。

「我々は誰に対しても、意見や候補者の押しつけはしていない。ただここに候補者がいる、だから議論しようと言ったまでだ。当然、そこから生じるべきなのは対話だ」

86名以上の議員が第1回投票に参加することはほぼ確実で、その場合選挙結果の正統性の法的要件は満たされることになる。もっとも、いずれの候補者もそこで全議員票の3分の2を獲得することはないと予想されており、第2回投票が行われる可能性が高い。第2回投票時に必要な最低投票数は第1回の86に対し、65である。

アズール氏の支持者は、すでに65から70票を確保したと主張している。だが、第2回投票が定足数に達しない可能性も依然残っている。

キリスト教系議会会派は、フランジェ氏に対し共同で拒否権を発動した過去がある。イスラム教シーア派から現時点でアズール氏支持を表明した者はなく、今度は共同でシーア派がアズール氏に拒否権を行使する可能性がある。

アマル運動とヒズボラおよびその支持者は、以前に第2回投票の定足数到達を妨害したことがある。ミシェル・モアワド議員の候補指名の段階で開かれた11回の会合でもそのような事態が起きた。

「第2回投票は、すべての人が持つ限界が明らかになり、現状を脱してより穏健な大統領候補を真剣に探す段階に移行するチャンスとなるでしょう」と、ある政治評論家は指摘した。

アズール氏を支持するレバノン軍団の議会会派に所属するラジ・エル・ハーゲ氏は、アズール氏に反対する人々のキャンペーンは「大統領選について建設的なアプローチを示していない」と述べた。

「アズール氏は、現在彼を支持するいずれの会派によっても過去に候補者として推されたことはなく、中身のない対立候補でも誰かの操り人形でもありません。大統領を選出するという選挙民からの負託を果たすべく、皆が彼を推すことでまとまっているのです。

議員の選択は尊重されるべきで、憲法の条文に従って選挙を進めれば、アズール氏が絶対多数で選出されるでしょう」

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