
ハルツーム:米国とサウジアラビアの仲介によって成立した24時間停戦が発効した6月10日朝、スーダンの首都ハルツームは比較的平穏だった。この停戦で人道支援の提供が可能になり、スーダン国民は激しい戦闘から一時的に解放された。
8週間前に、スーダン軍と民兵組織の迅速支援部隊(RSF)の権力闘争を原因とした武力衝突が勃発し、人道危機を招いている。今回の短期停戦の前にも、スーダン軍とRSFの間で停戦合意と停戦違反が繰り返されてきた。
米国とサウジアラビアは今回の停戦を発表した声明で、違反行為に対する「不満」を共有していると述べ、戦闘が続くようなら間接的に続けられている協議の中止もあると警告した。
4月15日に始まったスーダン紛争で、ハルツームとその姉妹都市であるバーリとオムドゥルマンを含む首都圏が戦場と化し、スーダン西部のダルフール地方やスーダン中部のコルドファン地方でも紛争が発生している。
住民らの報告によると、午前6時(日本時間同日午後1時)の停戦開始前に、ハルツーム南部とナイル川対岸のSharg El-Nil地区で対空ミサイルが発射され、空爆もあったとのことだ。
この紛争ではこれまで190万人以上が避難し、そのうち20万人以上が国境を越えてエジプトに流入している。
避難のためにエジプトへ向けて長旅をした人たちは、劣悪な環境と長い待ち時間に不満を抱いている。
6月10日、Ashkeitの国境検問所を通過しようとしていた2人は、すべてのスーダン人に対してエジプト入国前にビザの取得を義務付ける新たな規則が発効したと語った。
この決定についてエジプト外務省にコメントを求めたが、返答はなかった。この決定は、子供、女性、高齢男性の自由な移動を保証した両国間の以前の協定を覆すものである。
「私たちは中立地帯で2晩過ごしましたが、追い返されることになりました」と両国の検問所の間から電話で話した医師のスンドゥス・アッバス氏は語った。「帰るのを拒否する人もいます」
6月3日に前回の停戦が期限切れとなってから1週間、スーダン軍の主要基地周辺などで激しい戦闘が発生しており、RSFはハルツーム南部の武器製造施設を制圧したと主張している。
米国務省は6月9日午後、戦闘と停戦の衛星監視結果を発表するプラットフォーム「スーダン紛争監視(Sudan Conflict Observatory)」を支援していることを発表した。
同プラットフォームが発表した最初の報告書には、水道、電力、通信施設の「広範囲かつ標的を絞った」破壊が記録されている。
また、ダルフールの村々を焼き尽くした8件の「組織的」な放火攻撃や、通信が遮断される中、民兵の激しい攻撃を受けたスーダン最西端の都市エルジェニーナでの学校、モスク、その他の公共施設への攻撃も報告されている。
エルジェニーナの医師組合は同市を「ゴーストタウン」と表現し、都市封鎖、民間人からの水の剥奪、高齢者の殺害など、複数の人権侵害を訴えた。
市民は、エルジェニーナを襲撃した男たちの中には、RSFの制服を着ていた者もいたと話している。
紛争地域のほとんどの病院は機能しておらず、多くの地域で食料供給が減少しているため、この紛争のために今年はスーダンの人口の半数以上が援助を必要とするだろうと国連は発表している。
これまでの停戦で人道支援活動の提供はある程度可能になったが、援助機関は依然として戦闘、官僚統制、略奪によって支援活動が妨げられていると報告している。
国境なき医師団(MSF)は6月10日、スタッフがRSF兵士に呼び止められ、声明を出すよう「強制」され、その声明は後にRSF部隊によって拡散されたと訴えた。
民衆の蜂起によって強権的なオマル・バシール大統領が追放されてから4年後に勃発した今回の紛争で、民政移管は頓挫した。
スーダン軍と、スーダン軍と並行して2017年から合法的に活動している準軍事組織のRSFは、民政移管の一環として部隊を統合し、指揮系統を再編する計画をめぐって対立した。
ロイター