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シリア人の90%が貧困状態、数百万人が食糧援助の削減に直面すると国連が警告

民衆蜂起から紛争へ発展したシリア内戦は13年目を迎え、これまで50万人近くが死亡し、戦前の2,300万人の人口の半数が避難している。(AFP)
民衆蜂起から紛争へ発展したシリア内戦は13年目を迎え、これまで50万人近くが死亡し、戦前の2,300万人の人口の半数が避難している。(AFP)
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30 Jun 2023 04:06:53 GMT9
30 Jun 2023 04:06:53 GMT9
  • グリフィス氏は、シリアとロシアのもうひとつの重要な要求である早期復興プログラムの拡大は、「人道支援コミュニティにとって、シリア国民の将来を支援する最大のチャンス」だと述べた。

国連:国連のマーティン・グリフィス人道問題担当事務次長は6月29日、12年に及ぶシリア内戦の結果、シリア人口の90%が貧困状態に追い込まれており、来月には資金不足のため数百万人が食料援助の削減に直面すると警告した。

国連による世界最大規模のシリアに対する54億ドルの人道支援アピールには、わずか12%しか資金が提供されていないため、数百万人のシリア人に対する緊急食糧援助が7月に40%削減される可能性があるとグリフィス氏は明らかにした。

また、この厳しいニュースを国連安全保障理事会に伝えるとともに、7月10日に期限切れとなるトルコから反政府勢力が支配するシリア北西部への援助物資輸送の許可を更新するよう加盟国に訴えた。

しかし、シリアの最も重要な同盟国であるロシアの国連大使は、トルコからシリアへの援助物資の輸送は、シリアの主権を侵害し、政府支配地域を差別し、「イドリブのテロリスト」を含む非合法武装集団に燃料を供給する「ゼロサムゲーム」だと指摘した。

民衆蜂起から紛争へ発展したシリア内戦は13年目を迎え、これまで50万人近くが死亡し、戦前の2,300万人の人口の半数が避難している。2月にはマグニチュード7.8の大地震がシリアの広範囲を襲い、その悲惨な状況はさらに悪化している。

6月28日にシリアの首都ダマスカスから戻った国連のグリフィス人道問題担当事務次長は、シリア国民は「深刻な人道上の課題」に直面していると述べた。イスラム教の祝日である6月29日のイード・アル・アドハーには「皿に盛られた食べ物は減り、コンロの燃料もほとんどなく、家にある水も限られている」状態でシリア国民は集まっていたという。国連とその人道支援パートナーが支援できる手段が限られているときに、シリア国民の苦難は訪れるとグリフィス氏は訴えた。

ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、地震被災者支援のための3億9,700万ドルの緊急人道支援アピールは最初の数か月で資金が集まったが、国連によるシリアに対するアピール全体には6月末時点でわずか12%の資金しか集まっていないと明らかにした。また、世界の人道的ニーズのために国連が今年求めている550億ドルをはるかに上回る額を、米国とその同盟国がウクライナ向け兵器に費やしていると非難し、「これは西側の優先事項を明確に示すものだ」とした。

英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は、英国が6月15日に1億9,000万ドルの拠出を表明したことで、これまでの英国によるシリアへの拠出額は48億ドルを超えたと切り返し、「ロシアがワグネル・グループに年間20億ドルを費やしているという最近の発表を受けて、ロシアがいずれ拠出金を発表することを期待しています」と発言した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月27日、ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏とその部隊がロシア国内で反乱を起こしたことを受け、ワグネルと創設者のプリゴジン氏がこの1年でロシア政府から20億ドル近くを受け取っていたことを明らかにしている。

今月初めにトルコとシリアの国境を訪れたウッドワード氏は、シリア北西部の410万人に人道支援を確実に届けるため、国境を越えた援助物資の輸送の許可を12か月延長するよう求める国連のアントニオ・グテーレス事務総長の呼びかけに同調した。

国連安全保障理事会は1月、ロシアの要求に応じ、イドリブへの人道支援物資の輸送を7月10日まで6か月間延長する決議を採択した。イドリブ地域にはシリア内戦で国内避難民となった人が多く避難している。この決議では、バブアルハワ国境検問所経由で支援物資輸送を継続することが認められていたが、大地震発生後、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領は、さらにバブアルサラムとアッライの2つの国境検問所を経由して支援物資を輸送することを許可した。

米国のジェフリー・デローレンティス国連次席大使は、米国が6月15日にシリアに対して9億2,000万ドルというこれまで最大の拠出を誓約したと述べ、3つの国境検問所すべてを12か月間開放し続けることが「不可欠」だと訴えた。デローレンティス氏は、シリア北西部における人道的ニーズはかつてないほど高まっており、この条件未満では対応しきれないとする国連のグテーレス事務総長の最新の報告を引用した。グテーレス氏はこれを「道徳的、人道的要請」と表現した。

ロシアとシリアは紛争前線を越えて北西部に援助物資を届けるよう求めており、グリフィス国連緊急援助調整官は、最近、トラック10台の輸送隊がシリア北部のアレッポからイドリブまで無事に移動し、約22,000人分の援助が届けられたと明らかにした。しかし、ロシアのネベンジャ国連大使は、その援助物資の輸送はこの6か月間で唯一の紛争前線を越えたものであり、「明らかに今日の会合とタイミングを合わせたものだ」と一蹴した。

「それで、紛争前線を越えた輸送の状況が満足のいくものだと、私たちが本気で考えているとでも思っているのですか」とネベンジャ氏は問いかけた。

グリフィス氏は、シリアとロシアのもうひとつの重要な要求である早期復興プログラムの拡大は、「人道支援コミュニティにとって、シリア国民の将来を支援する最大のチャンス」だと述べた。

グリフィス氏は、早期復興プログラムの重要性に関する国際的なコンセンサスの強化と、職業訓練に限定されない若者への指導、「開発」プロジェクトの認定を必要としない灌漑システムの建設、「復旧」や「再建」という表現の有無に左右されない学校の開校を認めるための規則緩和を要請した。

AP

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