
エルサレム:数か月前にイラクで行方不明となったイスラエル系ロシア人研究者の現地での生存が確認され、シーア派武装組織のカタイブ・ヒズボラに拘束されていることが明らかとなった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相府が5日に公表した。
首相府の声明によると、研究者の名前は「エリザベス・ツルコフ」。米国のプリンストン大学から派遣され、研究目的でイラクに渡ったという。彼女の状況の詳細は今のところ不明。
ツルコフ氏はロシアのパスポートでイラクに入国した、と声明は述べている。
そして「エリザベス・ツルコフはまだ健在であり、我々は彼女の運命や健康状態についてイラクに責任があると考えている」とし、イスラエルの関係機関が状況に対処していると述べている。
イラクの首相府や内務省の報道官はコメントの要請に応じていない。カタイブ・ヒズボラの広報担当者には連絡がつかなかった。
ツルコフ氏の母イリーナさんは、2か月前に連絡が途絶えたと言う。「今まで分かっていたのは娘がトルコにいて、プリンストンの調査に従事しているということでした。イラクにいることすら知りませんでした」とN12ニュースで語っている。
大学のウェブサイトによると、ツルコフ氏はプリンストン大学の政治学部で博士号取得を目指している。比較政治学などを専門としており、シリアで直接見た状況に基づいて論文を書いているという。
大学の広報担当者は、ツルコフ氏が大学から派遣されてイラクにいるかどうかについて回答はしなかった。大学の方針や、学生のプライバシーや安全に関わる連邦法をその根拠としている。
広報のマイケル・ホチキス氏は声明で「エリザベスはプリンストン大学のコミュニティの大事な一員」とし、「彼女の安全や健康状態を深く憂慮しており、彼女が家族と再会し、研究を再開できるように切望している」と記している。
米国務省は「彼女の拉致について把握しており、民間人の拉致を非難する」と述べている。彼女の状況に関する質問については、イラク当局に回答を委ねた。
ツルコフ氏のツイッターには8万人ほどのフォロワーがいるが、それによると、シリアおよびイラクでの人権や社会の混乱などについて調査しているようだ。
ツイッターへの最後の投稿は3月21日付け。
イスラエル市民は敵国であるイラクへの渡航が禁じられている。カタイブ・ヒズボラは、イランを後ろ盾とするイラク最強の武装組織の1つ。
ロイター