
ベイルート:危機に見舞われたレバノン中央銀行の副総裁らは6日、当局に対し、7月末に任期満了を迎えるリアド・サラメ総裁の後任を指名するよう求めた。
レバノンは経済的な破綻がほぼ4年にわたって続いているにもかかわらず、2022年以降、権限が限られた大統領不在の暫定内閣によって統治されている。
かつてはレバノンの財政安定の守護神と称されたサラメ氏だが、約30年間の在任中に巨万の富を築いたとして非難されている。
サラメ氏はフランスとドイツから金融不正疑惑で指名手配されているが、レバノンは自国民の身柄を引き渡さない。
サラメ氏は、横領、マネーロンダリング、詐欺、不正蓄財などの疑惑で国内外の司法捜査の対象となっている。同氏はこれらの容疑を否認している。
レバノンは今月末でサラメ氏の任期が切れるため、中央銀行を取り仕切る総裁の地位は危機に直面することになる。
「中央銀行総裁の任期終了が2023年7月31日に迫っており、できるだけ早く総裁を任命する必要性を強調することは我々の義務である」と4人の副総裁は共同声明で述べた。
「そうでなければ、公共の利益のために適切な行動を取らざるを得なくなる」と声明は付け加えた。
レバノンの中央銀行総裁は、財務大臣の推薦に基づき、6年間の任期で閣議決定される。
総裁の名前が挙がらない場合は、第一副総裁が後を引き継ぐことになっている。
宗派間の権力分担が行われているこの国では、中央銀行総裁の地位は通常キリスト教のマロン派の人物に与えられている。
副総裁らの声明は、「最高通貨当局に暫定的な支配を適用するべきではない」と付け加えた。
権力闘争に明け暮れるレバノンの政権エリートは、国の財政破綻と権力空白の原因として広く非難されている。
国会ではどのグループも明確に過半数を占めておらず、イランに支援されたヒズボラとその反対勢力が激しく対立する中、議員たちは新大統領の選出に12回失敗している。
レバノンのメディアは過去に、副総裁らがサラメ総裁の任期終了と同時に辞任し、当局に新しい中央銀行総裁の指名を迫り、サラメ総裁の退任の影響に対する責任を回避する可能性があると報じた。
AFP