アンマン:ドゥルーズ民族が多数派の都市スワイダで17日、数百人のシリア人が、経済状況の悪化や今週のガソリン値上げへの抗議として、タイヤを燃やし、道路を封鎖し、反政府スローガンを唱えた。
目撃者によると、デモ隊は市の主要広場の近くで、治安部隊によって暴力的に鎮圧され長期的な内戦につながった2011年の民主化デモで使用されたスローガンを唱えながら、バッシャール・アル・アサド大統領の退陣を求めた。
デモ隊は警察本部と県知事公舎の近くで、「シリア万歳、バッシャール・アル・アサドは退陣せよ」と唱えた。傍にいた治安部隊は衝突を避けた。
このような公然の抗議は国家支配地域においては異例だ。
南西部の都市スワイダは政府掌握地域内にあり、他の地域で見られるようなデモは基本的に起こっていなかった。
スワイダ住民の多くは少数派のドゥルーズ派だ。同派は長年、スンニ派を中心とする反体制派がアサド政権の支配に対抗して戦ってきた紛争に引き込まれることに抵抗してきた。
市民活動家で地元のニュースウェブサイト「スワイダ24」の編集者であるライアン・マルーフ氏は、「これは反乱に近い。人々がシリア体制による決定やガソリン値上げに対して深い怒りを表明しているからだ」と言う。
「彼らは尊厳ある生活を要求しているのだ」
シリアは深刻な経済危機の只中にある。16日には通貨の急落が加速し、過去最安値の1ドル=1万5500シリアポンドを記録した。内戦開始時には1ドル=47ポンドで取引されていた。
政府は制裁下のシリアの国家財政の負担を軽減するために、かつては潤沢だった補助金制度を削減したが、これによって影響を受けるのは最富裕層のみだとしている。
しかしデモ参加者の多くは、10年にわたる内戦に苦しみ、現在はインフレ蔓延や収入減少の中で食料や生活必需品を手に入れるのに苦労しているシリアの一般市民の苦境を、この措置が悪化させたと主張している。
シリア当局は、苦難は欧米による制裁のせいだとしている。
先月には、アサド支持者の拠点である沿岸地域で、収入減少をめぐって小規模なデモが何度か行われた。
首都ダマスカスでは17日、タクシーや公共バスの運転手による部分的ストライキが2日目に入り、交通は混乱をきたした。また、政府支配地域では活動家がゼネストを密かに呼びかけている。
国営メディアはこれらの抗議活動について報じていない。
ロイター