Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

核軍縮は世界的な優先事項であるべきだ

核兵器化プロジェクトを視察する北朝鮮の金正恩総書記(左から2番目)。場所は不明。(KCNA・KNS/AFP)
核兵器化プロジェクトを視察する北朝鮮の金正恩総書記(左から2番目)。場所は不明。(KCNA・KNS/AFP)
Short Url:
22 Dec 2023 07:12:10 GMT9
22 Dec 2023 07:12:10 GMT9

大国による核兵器の保有数が増加傾向にある今、国際社会はこれらの兵器の拡散防止と廃絶に向けた、更なる取り組みに力を入れるべきだ。

現在、世界には約1万2500個の核弾頭があると推定されている。ガーディアン紙は6月、次のように報じた。「国際関係の悪化、そして核兵器による威嚇行動がエスカレートしている現在、世界には推定1万2512個の核弾頭が存在すると言われている。そのうち9576個が軍の備蓄として潜在的な使用のために準備されており、これは1年前に比べて86個増加したとされる」

核拡散――核兵器を開発・実験した国だけでなく、新たな国や組織による核兵器や核技術の普及・獲得――に関して、これらの兵器の使用がもたらす潜在的な影響により、世界の安全保障に対する懸念が高まっている。核兵器の拡散は、その拡散を防ぐことを目的とした国際規範や合意をも脅かす可能性がある。こうした規範が損なわれることで、世界の安全保障環境はより不確かで危険なものとなりかねない。

学者や政策アナリスト、政治家の中には、核兵器は潜在的な敵対者の攻撃を抑止する手段とみなすことができると主張する者もいる。しかし、その拡散に伴う脅威のひとつは、核兵器の存在と数の増加によって、紛争時の偶発的な使用や不正アクセス、エスカレーションのリスクが常に生じることである。

判断ミスのリスクも増大する。誤警報、信号の誤った解釈、技術的な不具合はすべて、意図しない核紛争につながる可能性がある。言うまでもなく、核兵器の使用は壊滅的な非人道的結末をもたらし、核兵器が使用されれば、大量の人命の喪失、重傷者、その他の健康被害、避難民の発生などを引き起こすだろう。

長期的な環境被害も過小評価すべきではない。核兵器の爆発は、放射能汚染や放射性降下物などを含む、長期にわたる被害をもたらす。つまり、大規模な核紛争は、生態系や気候にも影響を及ぼし、深刻かつ広範囲な環境被害をもたらすのである。

核兵器が使用された場合の潜在的な影響により、核拡散はより大きな懸念事項となっている。

マジッド・ラフィザデ博士

さらに、核兵器がより多くの国に拡散することで、核兵器が使用される可能性が高まり、地政学的緊張が高まる。その結果、核兵器は世界を不安定化させる要因となり得る。つまり、その数を減らすことは、世界の安全保障を強化するという点において前進することを意味する。

さらに、近隣諸国、または地域における核兵器の数が増加すると、非核保有国が他国からの脅威に対抗して自国の核戦力を開発せざるを得なくなり、軍拡競争の引き金となるだろう。このような場合、地域間の対立が核拡散の連鎖を引き起こす可能性がある。地政学的な緊張が存在する特定の地域、例えば朝鮮半島や中東は、核兵器の拡散を防ぐための国際的な努力の焦点であるべきだ。

国際社会は、核拡散が進むにつれて、非国家主体が核兵器を保有する可能性も考慮する必要があるだろう。核兵器や核物質が代理組織やテロ組織の手に渡る可能性は、重大な懸念事項である。非国家主体が核兵器を獲得し使用することは、壊滅的な結果をもたらし、世界の安全保障に対する重大な脅威となるだろう。

最後に、核戦力を保有する国家は、その戦略的目標を達成するために核兵器による恐喝や威圧を行い、政治的影響力の一形態として自国の核戦力を利用する可能性がある。その結果、国際的な危機が増大し、紛争のリスクが高まる可能性がある。

したがって、核兵器の使用がもたらす潜在的な結果は、国家が核兵器を保有し続けることに対する倫理的な疑問と、核兵器廃絶に向けて努力する道義的責任を提起するものである。

世界的な核軍縮を完全に達成することは、国際社会にとって重要かつ長期的な目標であるべきだ。

この目標に向かって進むためにお、世界はいくつかのステップを踏み、効率的な戦略を採用することができる。これには、核兵器に関連するリスクに対する人々の認識を高め、軍縮を提唱することが含まれる。草の根運動、市民社会組織、アドボカシー活動は、意識を高め、政策変更を推し進める上で重要な役割を果たす。国家が外交的な解決策を優先し、紛争の予防に投資し、紛争の根本原因に対処するための国際協力を構築することを促進するために、平和と紛争解決のための世界的な文化を醸成することが重要である。

その他の戦略としては、民生・軍事目的のすべての核爆発を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准と実施を奨励することがある。また、二国間であれ多国間であれ、核保有国間の新たな軍縮条約を更新・交渉すること、核兵器不拡散条約(NPT)など既存の軍備管理協定を強化・充実させ、その遵守を確保すること、検証メカニズムを強化すること、軍備管理協定の遵守を監視・検証する国際機関の役割を強化することなどが挙げられる。

核兵器保有国には、一方的な削減や交渉による削減によって、軍縮へのコミットメントを示し、これを主導する責任がある。これにより、他の国々にポジティブな模範を示し、より広範な軍縮努力のための機運を作り出すことができる。

要約すると、核拡散が増加する中、軍縮に焦点を当てることは、これまで以上に重要になった。これを達成するには持続的な国際政治的意志、対話、協力的な取り組み、外交イニシアティブ、そして平和と安全の原則に対する共通のコミットメントが必要である。この目標の達成は、核による大災害の脅威から解放された、より安全で安心な世界を実現することにつながるだろう。

  • マジッド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学で学んだイラン系アメリカ人の政治学者である。 X: @Dr_Rafizadeh
topics
特に人気
オススメ

return to top