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サウジは世界の調停役となるあらゆる資格を備えている

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04 Aug 2023 06:08:44 GMT9
04 Aug 2023 06:08:44 GMT9

サウジアラビアは中東地域のみならず、世界の舞台で主要な調停役として存在感を示しつつある。国家的使命と独自の立場により、地域と世界でその重要な役割を果たすための完ぺきな候補者となっているのだ。

国際的舞台では、サウジアラビアは現在ウクライナとロシアの間の和平交渉を主導しており、8月5日と6日にはジェッダで和平サミットを主催すると報じられている。アメリカのジェイク・サリバン国家安全保障補佐官が出席する予定で、インド、ブラジル、インドネシア、エジプト、メキシコ、チリ、ザンビアの諸国も招待されている。

1年以上続いているロシアとウクライナの紛争は、大きな損害と多数の死傷者を出してきた。「サミットの出席者が和平のための原則と、ウクライナに公正で持続的な平和をもたらす方法を議論することを期待している」とあるアメリカ政府関係者は述べた。ウクライナのアンドリー・イェルマーク大統領府長官は、ソーシャルメディアに次のように投稿している。「我々は(サウジアラビア)での協議に西側とグローバルサウスから可能な限り多くのパートナーに出席してもらえるよう、努力しているところだ」

サウジアラビアが、ロシアとウクライナをめぐる数多くの仲介と調停の取り組みに関与してきたことは注目に値する。例えば、サウジアラビアは昨年12月、UAEとともにロシア政府とアメリカの間の囚人交換を進めるにあたり、主要な仲介役として貢献した。共同声明の中で、サウジアラビアとUAEの外務省は、両国の努力により囚人2名、アメリカのバスケットボールのスター選手ブリトニー・グライナーとロシアの武器商人ビクトル・ブートの両氏の解放と交換が実現したと発表し、仲介努力の成功は、サウジとUAE、およびアメリカとロシアの「相互的で堅固な友情」の賜物だとした。

サウジアラビアはロシアとウクライナをめぐる数多くの仲介と調停の取り組みに関与してきた

マジッド・ラフィザデ博士

この件もまた、サウジアラビアが掲げる、中東地域および国際舞台でその外交的役割を変容させるという重要かつ建設的な目標を明らかにしている。

中東地域に関しては、サウジアラビアは実力の行使よりも仲介の使命を優先してきた。例えば、サウジアラビアは戦争で荒廃したシリアと外交関係を回復し、在ダマスカス公館業務を再開させた。今年4月、シリア外相のサウジ訪問後、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領はサウジアラビア外相ファイサル・ビン・ファルハーン王子と会談した。サウジ外務省によると、アサド大統領とファイサル王子は「シリアのアラブ世界復帰を後押しする……包括的な政治解決策を実現」するための方策について議論を交わした。

その他の動きとしては、サウジアラビアがイラン政府との間で和平プロセスを追求すると決定したことがある。今年3月に発表された両国間の合意は中国の仲介によるものだが、サウジアラビアが果たした主要な役割も無視されるべきではない。

戦略国際問題研究所の中東プログラムに所属するジョン・アルターマン氏は、次のように書きつつこの事実を指摘している。「中国に多大な注意を向けることで、アメリカ人はこの合意のもっとも重要な部分、すなわちサウジアラビアが地域で果たす役割の変化を見逃すという危険を冒している。1週間にわたる円滑に統合された外交努力は、サウジアラビアが巧みなだけでなく独創的な外交主体となれることを示した。アメリカにおける一般的な同国のイメージは、アメリカが提供する安全保障を主に受け身で享受する国というものだ。だが今回の合意によって、サウジアラビアは数十年来の受動的立場を脱し、外交勢力として一目置かれるべき存在だと示したのだ」

中東地域に関しては、サウジアラビアは実力の行使よりも仲介の使命を優先してきた

マジッド・ラフィザデ博士

調停者としての役割は、国や政府間の緊張と紛争を解決する場面に限られない。コミュニティーや宗教間の橋渡しをすることもきわめて重要である。言い換えると、中東でも世界の他の地域でも、緊張と誤解を解くことに関しては、宗教間対話の促進が鍵である。中東でより多くの国がこの目標を追求すれば、地域はより平和へと近づくだろう。

過去数年間、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は宗教間対話を重視し、この重要な使命の前進と促進において大きな役割を果たしてきた。皇太子の指揮のもとで、サウジアラビアは他の宗教や信仰に働きかけを行ってきた。2020年には、イスラムの聖職者とユダヤ教のラビ、キリスト教の司祭、その他の宗教の指導者たちが参加するグローバル宗教対話フォーラムを主催している。2022年にもリヤドで「信者たちが共有する価値に関するフォーラム」と題された多宗教会議が開催された。この種の会議としては初めての試みで、15名のラビを含む約100名の宗教指導者が参加した。

カタールのジョージタウン大学で政治学の教授を、政策研究アラブセンターでイラン研究ユニットの部長を務めるメフラン・カムラヴァ氏は次のように話した。「調停が成功するには、いくつかの条件がありますが、中でも重要なのは柔軟性と目の前の問題に関する深い知識、紛争当事者への影響力です……緊張や国際的危機が絶えない地域においては、サウジアラビアが行っているような調停の取り組みは地域紛争を完全に解決するものではなくとも、緊張緩和に向けた前向きなアプローチを提供します」

一言で言えば、サウジアラビアは建設的かつ長期的ビジョンのおかげで、地域でも世界の舞台でも主要な調停役として存在感を増しつつある。このような重要な役割を果たすにあたり、必要な資格をすべて備えているのだ。

  • マジッド・ラフィザデ博士はハーバード大学で学位を取得したイラン系アメリカ人政治学者である。Twitter: @Dr_Rafizadeh
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