サウジアラビアのビジョン2030は、開発と経済的繁栄のための将来を見据えた指針であり環境保護と持続可能性への重要な道筋を示しているが、サウジアラビアが生態系保存に向けて注目すべき進展を遂げていることは、ビジョン2030に挙げられた環境に対する責務を果たすという同国の意志を証明するものである。
ビジョン2030の基礎は、サウジアラビアの生物多様性と自然遺産をの保護に重点をおいており、安定した豊かな生態系を維持することが同国にとっていかに重要かを認めている。サウジアラビアのプロジェクト、とくにサウジ・グリーン・イニシアティブの一部であるプロジェクトは、将来の世代のためバランスの取れた生態系を維持するための重要な手段となっている。
サウジ・グリーン・イニシアティブは、ビジョン2030の環境面での目標を達成するために2021年に始まり、持続可能な実践を推進し環境にかかわる重要な課題に対処することを目的としている。環境に関するイニシアティブの数々は、サウジアラビアにおける環境保護と持続可能性に向けた努力をけん引する中心的な役割を果たしている。国立野生生物センターが進めているものを含むこれらのイニシアティブは、沿岸地域の環境を総合的かつ持続可能な方法で管理し保護する保護区の拡大や、絶滅危惧種の繁殖と自然への再導入、違法な狩猟や漁業における乱獲への対策、環境に関する意識や持続可能な実践を広めることに重要な役割を果たすことなどによって、陸上及び海洋の野生生物を保護することに重点を置いている。
サウジアラビアの努力は、持続可能な開発の世界基準における他の模範となるものである。
ケナナ・ダーラン
保護区の拡大と、統合的な管理のためのイニシアティブは、環境保護のための努力を広げ、サウジアラビアの環境的及び社会経済的な影響を向上させることを目指している。サウジアラビアはこのイニシアティブを通じて、大きく前進している。このイニシアティブには、ユネスコの生物圏保存地域世界ネットワークにファラサン諸島を追加することや、ウルク・バニ・マアリド保護区をサウジアラビアにおける最初のユネスコ世界遺産リストの自然遺産としたことなどがある。
さらに、現在、3つの地域が保護地域に含める手続きが進んでいる。3,667平方キロメートルのジャバル・ラドワ(Jabal Radwa)、992平方キロメートルにわたるジャバル・バスラ(Jabal Bathra)、そして5,715平方キロメートルにわたるラス・アブ・ハティバ(Ras Abu Hatibah)である。これらの努力は、2030年までに同国の陸海面積の30パーセントを保護するというサウジ・グリーン・イニシアティブの「30 by 30(30までに30)」という目標に包括される。
これらの賞賛すべき成果にもかかわらず、サウジアラビアは環境保護と開発とをビジョン2030にのっとってバランスをとって進めていくという課題に直面している。国内で安定した生態系を維持することの重要性は、同国の安泰と持続可能な発展には不可欠である。これらの課題に対処するために、サウジアラビアは、エコツーリズムを推進したり、技術の進歩や国際的な協力を利用して陸海の生態系を保存する努力を維持するといった、革新的なアプローチを実行した。
生態系を保護し自然遺産を維持するためのサウジアラビアの努力とその立派な成果は、持続可能な開発の世界基準において、他の模範となる。これらの努力は、サウジアラビアが積極的な環境管理を行っていることをはっきりと示し、ビジョン2030の証拠となるものである。その生物多様性を保存することによって、サウジアラビアは、世界全体の幸福と同時に同国の将来の発展に投資しているのである。