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金融市場では、またやってくるジェットコースター週に向けて気をひきしめている

経済アナリストのヌリエル・「Dr. Doom」・ルビーニ氏にとって、先週のニューヨーク株式市場の上昇は弱気市場が頑固に続くなかでの「デッド・キャット・バウンス」であり、偽の上昇にすぎない。(APファイル写真)
経済アナリストのヌリエル・「Dr. Doom」・ルビーニ氏にとって、先週のニューヨーク株式市場の上昇は弱気市場が頑固に続くなかでの「デッド・キャット・バウンス」であり、偽の上昇にすぎない。(APファイル写真)
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30 Mar 2020 08:03:57 GMT9
30 Mar 2020 08:03:57 GMT9

どうやら世界の株式市場が再びジェットコースターの週を迎えるのは確実のようだ。先週初めの大暴落の後、米国議会の2兆ドル救済措置の通過を受け、ニューヨーク株式市場では活発な取引が3日間続き、この10年で最大の上げ幅をもたらした。

しかし、上昇したものには下落が待っている。市場には、今週は株式市場の回復力が再度試される週となる、というムードが漂っている。いつの時代でも強気と弱気の心理が対立する世界金融市場で、この2つの心理が再びにらみ合いをすることになるだろう。

強気派は、金融市場に回復の見込みがあると固く信じている。議会の「バズーカ」がその標的を見つけ、新型コロナウイルス(COVID-19)大流行による経済的影響を打ち落とせると考えているのである。

弱気派も同じように、救済措置は金融制度の緊張を一時的に緩和するだけであり、史上で最大最速の経済収縮のショックにより、金融市場は必然的にさらなる低迷に陥ることになると確信している。

この対立する2つの視点を代表する2人の擁護者の名を挙げるならば、ラリー・クドロー氏とヌリエル・ルビーニ氏をおいて他にいない。これまで2人が直接顔を合わせて討論したことはないようだが、もしそうなったら、かぶりつきの席が必要となるぐらいの熱戦となるに違いない。

クドロー氏は米国家経済会議(NEC)の委員長を務め、トランプ大統領の経済問題関連スポークスマンとして広く知られている。2兆ドルの救済措置の準備にも深く関わっており、同措置の万能薬としての特質を熱心に擁護する。

クドロー氏は先週末、Foxニュースの視聴者に「この措置により、経済は安定するだろう」と述べ、「連邦準備制度が現在金融市場を安定化させているところだから、このウイルスが自然に消滅した暁には、希望的観測でこれから4〜6週間か、おそらく8週間くらい[で安定する]と思う」と付け加えた。

金融市場は、感染者数の急上昇、湖北省の一部再開に関する悪いニュース、あるいは地政学的領域での「ブラックスワン(めったに起こらないが、起これば壊滅的被害をもたらす事象)」といった外部要因に非常に左右されやすい。

フランク・ケイン

クドロー氏のメッセージは、国中ができるだけ早く職場に復帰してほしいという大統領の希望に同調したものであり、金融市場を正常化させ、ウイルスを「アンダーコントロール」状態に持っていければ、米国経済は一部のアナリストが予測するように今年後半にはV字回復を見せ、世界経済をリードする体制が万端に整う、というものである。

もう一方のコーナーでは、ルビーニ氏が「Dr. Doom(破滅の予言者)」の別名にふさわしい説を掲げる。世界金融危機を予言したことで知られるこの独立系経済コンサルタントは、我々は金融市場下落という止められないサイクルに陥っており、このサイクルは最終的に「さらに大きな大恐慌」と氏が呼ぶ世界恐慌となって終わると考えている。つまり、1939年代に起こり第二次世界大戦という結果となって終わった経済恐慌よりもひどい恐慌となる、というのだ。

先週のニューヨーク株式市場上昇について、ルビーニ氏はツイートで「これは確かに、弱気市場が頑固に続くなかでの『デッド・キャット・バウンス』であり、偽の上昇だ。投資家は再びやってくる下落に備える必要がある。株式市場の上昇は、政策立案者が新型コロナウイルスの影響を相殺できるとの過信を反映するものだ」と述べている。

「デッド・キャット・バウンス」とは、偽の回復を指すのに投資家が使う俗語で、死んだ猫でも高いところから落とせば地面に当たってわずかに跳ね返るという意味である。

ニューヨーク株式市場が取引を開始する月曜日には、それが死んだ猫なのか市場の安定化なのかについてもう少し見通しが得られるだろう。中東の証券取引所 - 日曜日に取引が行われることから、先行指標として役に立つこともある - は、比較的穏やかだった。先週の急上昇から手掛かりを得たものと思われる。

現在のような不安定な状況では、クドロー氏とルビーニ氏のどちらの見方が最終的に主流となるかをはっきりと言うのは事実上不可能に近い。金融市場は、感染者数の急上昇、湖北省の一部再開に関する悪いニュース、あるいは地政学的領域での「ブラックスワン(めったに起こらないが、起これば壊滅的被害をもたらす事象)」といった外部要因に非常に左右されやすい。

だが、たとえ良くなってもその前に悪化はするだろう、と言ってもほぼ間違いはないだろう。

●フランク・ケインは、ドバイに拠点を置く受賞歴のあるビジネスジャーナリストである。 ツイッター:@frankkanedubai

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