Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

ラマダンが浮き彫りにするサウジの起業家精神

ラマダンの活動の中で最も人気があり、伝統となったものの1つが、バザーの開催である。それらのバザーは通常、手工芸品や食品、衣服、アクセサリーなど、女性たちが家庭で作ったりデザインしたりした品物の市場である。
ラマダンの活動の中で最も人気があり、伝統となったものの1つが、バザーの開催である。それらのバザーは通常、手工芸品や食品、衣服、アクセサリーなど、女性たちが家庭で作ったりデザインしたりした品物の市場である。
22 May 2019 02:05:25 GMT9

ラマダンの活動の中で最も人気があり、伝統となったものの1つが、バザーの開催である。それらのバザーは通常、手工芸品や食品、衣服、アクセサリーなど、女性たちが家庭で作ったりデザインしたりした品物の市場である。それらの品物を1つの場所に展示するのは素晴らしいアイデアだ。一般的に人々はラマダン中、慈善的な雰囲気になるため、それらの商品を買って小規模なビジネスを行う女性たちを支援する。

それらのバザーの中には、人々が楽しみに待つ年に一度の華やかなイベントになったものもある。そのようなイベントではさまざまな商品を売る多数の売店が並び、きらびやかなオープニングセレモニーや余興も行われる。もちろん、それらのイベントのマーケティングも重要である。特に、バザーに人々を引きつけるためのコンテストがある時はなおさらだ。そのようなコンテストは1ヶ月を通してほぼ毎日開催される。しかし、そのようなマーケティングや華やかさが、バザーを開く本来の目的に影を落としてしている場合があるように思える。

売店のスペースを借りるコストは極端に上がってしまった。このことは、その費用をカバーするため商品が高い値段で売られることを意味する。主催者自身もバザーのためにホールを借りており、その料金も高い。さらにその他の全ての準備や運営費用、広告宣伝費もかかる。そのため各関係者が自分の費用をカバーしようとするトリクルダウン効果が起こる。

本文抜粋:若い人たちが家でぼんやりと座って仕事を待っている代わりに、腕をまくって生活費を稼ごうとしているのを見るのは素晴らしいことだ。

先週、ジッダで開かれたいくつかに参加しながら、私はバザーで売られている商品と、普通のモールやショッピングエリアで売られている商品の間に値段の差がないことに気づいた。私にとって、それはバザーの目的を否定するものだった。また、同時に何ヶ所かで開催されるため、スペースを借りている人たちの多くが元を取れないと不満を漏らした。十分な数の買い物客がいないからだ。訪問者の大部分が単にぶらついて眺めているだけに見え、あまり買い物はせず、まったく何も買わないことさえある。

確かに、ラマダン中は人々が進んで施しをする傾向にあるため、ホームビジネスを助ける良い機会である。また、バザーはそれらの商品を展示したり宣伝したりする数少ないチャンスでもある。しかし開催期間が短く、ほとんどのバザーがラマダンの2週目から3週目にかけて開かれる。それらの1つか2つに行ってしまえば、人々はそれ以上行きたがらなくなる。すでに時間もエネルギーもないからだ。特に、商品がほとんど同じ場合はなおさらだ。さらに、バザーに適した場所は数が少ないため、幅広い層の買い物客にとって行きやすかったり便利だったりする所で開催されていない。2週間に全てのバザーを押し込むのではなく、年間を通してさまざまな場所にそれらのバザーを分散させ、異なる設定と家族向けのアトラクションを持たせる方が良いのではないだろうか。

一方で、ジッダ当局はラマダン中に数百の露天商(バスタ)に許可を与えた。彼らは街中のさまざまな場所に配置され、そのほとんどが現地で用意する食べ物や飲み物を売る。そしてそれらを運営するのは、ほとんどがサウジの若い男女である。短期間営業の移動式屋台の中には、特定の場所で1年を通して営業する許可を受けているものもある。それらの若者の実践的な起業家精神には実際に感銘を受け、うれしく思う。総合統計局によれば2018年第4四半期の失業率が12.7%(サウジの男性で6.6%、女性で32.5%)となっている中、若い人たちが自宅でぼんやりと座って仕事を待っている代わりに、袖をまくって生活費を稼ごうとしているのを見るのは素晴らしいことだ。彼らは、我々の国の若者は怠け者で事務仕事を好むという固定概念を打ち破っており、事実、自分でビジネスを始める人も多い。それでもなお、仕事を探していると主張しながら努力も注力もしていない若者もいる。

4年前、ジッダ商工会議所が年に一度のバスタ市場を立ち上げ、敷地の一画で1年のうちの2~3ヶ月の間、毎週金曜日に開催している。これまでかなりの成功を収めており、さまざまな種類の商品が売られ、いろいろな社会区分の人たちを引きつけている。特に子供向けのアクティビティが目玉となっているため、家族にとってはよい外出先だ。そういう市場を数ヶ所で開催すれば、企業と買い物客の両者にとって利便性がもっと上がるのではないだろうか。そのような試みは、当局が高い手数料や重荷になる規制を課さない限り、零細企業や小規模ビジネスの振興に役立つ。

中小企業(SME)はあらゆる国の経済の背骨である。彼らは通常、全企業の約9割を占める。全サウジ起業家精神イニシアティブ(National Entrepreneurship Initiative)の事務総長は最近、サウジの民間部門の99%はSMEで構成され、国の労働力の約70%を吸収していると述べた。サウダイゼーションは、公共・民間両部門により多くの雇用機会をもたらすという狙いを推し進めている。一方で、自営業者や小規模な起業家に対してやる気、スキルや知識の開発手段、および市場へのアクセスを与えることにより、彼らのビジネスの持続を助ける必要もある。それらの起業家はさまざまな年齢から成り、異なるバックグラウンドやスキルを持つ。その中にはテクノロジーに精通し、ソーシャルメディアを積極的に使う若くて独創的な才能を持つ者たちもいれば、家族を支えるために手工芸品や食品を作っている中年やさらに年上の女性たちもいる。しかしほとんどの場合、彼らには資金調達や経営やマーケティングのスキルがない。彼らは事業主に優しい環境を必要としている。

マハ・アキールはジッダで活動するサウジのライターである。Twitter:@MahaAkeel1

特に人気
オススメ

return to top