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JCPOA 2を大急ぎでやる必要はない

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10 Jan 2021 09:01:27 GMT9
10 Jan 2021 09:01:27 GMT9

中東に関しては、2021年の前半はバイデン政権にとって忙しくなりそうだ。今、この地域をさらに不安定にする恐れのある危機を激化させた、前政権のパッチワーク取引主義と一国主義から受け継いだ複雑な地域・地政学的迷路を、バイデン政権は通り抜けなければならない。

国内の急務を優先して外交問題を後回しにするという、米国の従来の考え方ではとても事足りない。4年間怠慢だったことで、中東やその他の地域で切実に求められている解決を仲介するために米国が頼らなければならない多国間の枠組みは弱体化した。多国間主義の信用、信頼の回復は、米国の外交政策目標、特にイランとの核外交に焦点を当てた外交政策目標を確保するのに大いに役立つだろう。

イランとの核合意に向けた、バイデン政権の計画に対するアナリストと利害関係者の意見は、同様に分かれている。元の2015年の包括的共同行動計画(JCPOA)への回帰、「JCPOAプラス」の修正、全く新しい合意の3つの流派が生まれた。元のP5+1(中国、フランス、ロシア、英国、米国+ドイツ)のうち欧州諸国は、外交的関与を再開するための出発点として、2015年合意への回帰への支持を表明している。バイデンは、湾岸アラブの米国の同盟国の懸念に同調し、イランの弾道ミサイル計画と地域的冒険主義を抑制することを目的とした、2015年合意の修正を求めることを表明している。国際原子力機関(IAEA)は、特にイランがガス遠心分離機を使って十分な高濃縮ウランを製造するに足る能力に到達するのを防ぐために、全く新しい合意を求めている。

2015年の状況は大きく異なり、元のJCPOAに至った状況はもはや当てはまらない。イスラエルがイランの標的にミサイル攻撃をするのを思いとどまらせるアブラハム合意はなかった。イランによる報復攻撃は、イスラエルとの国交を正常化させた国々を直撃するだろう。ロシアと中国は今ほどイランと親密ではなかった。どちらの国も、次期政権の、核に関する話し合いを活性化する計画への支持(や不支持)を表明していない。ロシアと中国は、イランとの関係が深まっていることから、自国の利益と多国間連合の利益を比較検討する可能性が高い。

一方、イランの核開発計画は制裁下でも速やかに継続しており、新たな議論における手段としては役に立たなくなっている。指導部が穏健でも、イランは2.5トン以上の高濃縮ウランを蓄えていると推定されている。さらに、米国が2015年合意から離脱したことで、新たに建設された核研究施設に関する不同意および透明性の欠如が強まった。

イランの核開発計画は制裁下でも速やかに継続しており、新たな議論における手段としては役に立たなくなっていることを考えると、JCPOA 2を大急ぎでやる必要はない。

ハフェド・アル=グウェル

新たな合意では、そうした施設に入る機会を増やし、ウランの量を半減させ、濃縮度を20%に制限することが求められるが、強硬派が率いる政府がそのような条件に同意する可能性はほとんどない。2021年には大統領選挙が控えており、イランの強硬派がより多くの権力と影響力を得た場合、イランは核開発の野望を小さくする代わりに、凍結された海外資産を元通り利用できるようにするといった、より厳しい交渉を進めるだろう。

残念なことに、そうした資金を利用できるようにすることで、特に米国がイランの地域的冒険主義に対処する場合、イランはレバノンとシリアでミサイル計画へと向かうリスクがある。米国がイラク政府に寛大な支援を与え、イランの影響力を排除することを軍事的条件にすれば、イランは間違いなく圧力を受けるだろう。さらにアブラハム合意は、イエメン、レバノン、シリア、イラクからのイランのミサイル発射に対抗するための地域ミサイル防衛施設開発への道を開いている。

全体的に見て、状況、利害関係、参加する可能性がある国は変わったが、バイデン政権が、2015年合意のようになるかどうかは分からない新たな核合意をまとめる余地はまだ残されている。しかし、イランの強硬派が2021年6月に勝利する可能性が懸念される一方で、米国にはまだ策略を巡らす余地と手段があるため、急いで新たな合意を結ぶべきではない。その代わりに、信頼醸成を可能にし、現実的な期待を抱き、同盟国間の協議を促すために、範囲が狭く、交渉に掛かる時間がより短い一連の暫定的で短期間の合意が結ばれる可能性がある。

もう一つの選択肢として、バイデン政権は、イラン人が新大統領を選んだ後、形勢を見極めるために6カ月間何もしないことを選ぶこともできる。そうすれば、パンデミック、景気刺激策、政治の二極化といった国内危機への対応策を練り上げる余裕がさらにできるだろう。6月以降、米国は、他の参加国や中東地域の同盟国と協議し、イランが条件を拒否するのではなく合意するよう促しながら、米国の影響力の維持を目的とした漸進的ステップの枠組みを構築する時間があるだろう。

その一方で、6カ月という時間は地政学では一生のように長く、何もしなければ、非協力的な態度がさらに固まり、イランが最初の核弾頭を開発するまでのスケジュールを短縮するために小休止を利用しようとする強硬派をつけあがらせる可能性がある。なので米国は、あまりにも遠大なスケジュールに縛られないようにしながら、最終的な合意に向けた枠組みを設定するために迅速に行動しなければならない。

常に複雑な核外交の迷路を通り抜けるのは容易ではないだろうが、北朝鮮とは異なり、相互に受け入れ可能な解決に達するための十分な余地と機会がある。

  • ハフェド・アル=グウェルはジョンホプキンス大学高等国際関係大学院外交政策研究所の非居住上級研究員
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