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インフレの脅威の色あせた亡霊

At the サウジアラビアで開催された去年のG20サミットでは、パンデミック対策の刺激策に11兆ドルを費やしたことで指導者たちは喜んでいた。そしてその数字はそれ以来、増えている。(シャッターストック)
At the サウジアラビアで開催された去年のG20サミットでは、パンデミック対策の刺激策に11兆ドルを費やしたことで指導者たちは喜んでいた。そしてその数字はそれ以来、増えている。(シャッターストック)
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08 May 2021 05:05:56 GMT9
フランク・ケーン
08 May 2021 05:05:56 GMT9

フランク・ケイン

パンデミックの不況の影響から世界が回復し始めるにつれ、世界経済全体でいわゆるインフレの「亡霊」が頭をもたげつつあると言われている。

ジョー・バイデン政権のジャネット・イエレン財務長官は、先週、「米国経済が過熱しないように」金利を上げる必要があると仄かして金融市場を震撼させたが、これは、世界経済が回復しているために生活費が上昇するという最新パターンの警告に過ぎなかった。

米国主導だが世界中が熱心に追従して、COVID-19のロックダウンの損失を補填するために政府が資金を使い始め、それ以来、世界的でインフレが急激に高まるという避けられない結果が生まれる危険がずっとあった。

バイデンの消費景気—— 1.9兆ドルが充てられ、4兆ドルが支出される予定—- は去年の夏から半昏睡状態になった世界経済に対する最新で最大の金融アドレナリンの注入に過ぎない。

サウジアラビアで開催された去年のG20サミットでは、パンデミック対策の刺激策に11兆ドルを費やしたことで指導者たちは喜んでいた。そしてその数字はそれ以来、増えている。

その刺激策の多くが、特に米国国内では、債券市場で中央銀行経由で購入することにより、資産価値を上げ続けている。これは、(去年はその可能性が高いと思われたように)差し迫った崩壊を回避しようとしているなら、すばらしいことだが、経済の回復に向けて舵を切ろうとしている時には問題がある。

資本総額および株式において、資産価値、不動産評価、債券価格は、このような状況下では「バブル」の領域に入る危険がある。つまり、突然はじけることになれば、回復の全体を危険にさらしかねないのだ。きわどい綱渡りである。

国際通貨基金(IMF)はインフレ圧力の兆候がある場合は、通常、取引を控えるが、世界経済のトレンドを分析した直近の報告書では、価格上昇はほぼ無視されている。

フランク・ケイン

イエレン財務長官の比較的に緩やかな警告は、明らかに、刺激策で資金を湯水のように使う米国の連邦準備制度理事会で金融政策にあたっている関係者に対し、慎重に歩を進め、支出を実際の成長や生産性の向上に結びつけるべきであるというメッセージを送ることを意図したものだった。

刺激策が制御できない状態が続けば、数年間は経済生活が落ち着かなくなる可能性があるのは確かで、実質賃金の評価が大きく低下すると考えると恐ろしい。

1920年代と1930年代のハイパーインフレが人類の意識に永久に傷痕を残したようだ。1970年代に再び欧米経済でインフレが高まりを見せた時には、恐怖の叫びと反射的な反応が呼び起こされ、緊縮財政が採用された。

しかし、近頃では、インフレはその脅威の力の大部分を失っている。中央銀行関係者やその他の経済政策立案者が対処の手段を開発したのだ(イエレン財務長官の金利に関するコメントはそれゆえのことである)。

おそらく、最も重要なのは、我々がインフレの反対のことが起きた時に起こりうる損害の例を知っていることだ。過去3年間にわたって日本の経済は瀕死状態にあり、これはどこにでも起こり得る。

サウジアラビアでは過去にインフレが急激に高まったことがある。これは通常は、原油価格や生産高の急騰・急増に結びつくが、王国では全体として、存続に関わる脅威として欧米の基準に合わせて高騰する価格と奮闘する必要はなかった。

VATの割合が3倍になった去年の夏、悲観的な予測が出た。一部の人々にとっては、生活費の負担が増えた。しかし、このような現象は短期的なものだ。

国際通貨基金(IMF)はインフレ圧力の兆候がある場合は、通常、取引を控えるが、世界経済のトレンドを分析した直近の報告書では、価格上昇はほぼ無視されている。

サウジアラビアに関しては、IMFのコメントは中立的な一文に限られる—-「CPI(消費者物価指数)のインフレはVATの割合の上昇で2020年7月に高まったが、ここ数ヶ月で緩和され、 2021年に2.8%になると予測されている(2020年は3.3%)」。

王国の経済はそのような水準のインフレとともに存続することが可能だ。現に、一部の経済学者は、経済活動への意欲が喚起されるため、軽度のインフレはよいことだと信じている。

イエレン財務長官のインフレの危険に関する警告は、特に米国に関しては、確かに正しいが、米国以外の世界の国々は、むしろ、金利の上昇がパンデミック後の経済回復を失敗に導くことの方に懸念を抱いているだろう。

古めかしい亡霊はその不吉な力の大部分を失った。

  • フランク・ケインは受賞歴のあるビジネスジャーナリストでドバイを拠点としている。

Twitter: @frankkanedubai

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