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オマーン国王の訪問により、地域の問題に対するアプローチがさらに強化される

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11 Jul 2021 12:07:26 GMT9

日曜日に行われるオマーンのスルタン・ハイサム国王によるサウジアラビア訪問は、昨年の即位以来初めての外遊であり、今回の訪問により、両国間の政治的及び経済的な側面において大きな相乗効果が生み出されることが期待されている。

また、今回の訪問は、ウィーン会談、イエメン、米軍の撤退など、地域の安全保障における重要な時期に行われることになる。新型コロナウイルスによる公衆衛生と経済への影響や、世界経済の回復の遅れは、両国が経済をさらに統合し、脱石油の未来に向けたビジョンを一致させる方法を模索している中で、両国にとって懸念材料となっている。

サウジアラビア同様、オマーンも長い歴史を持ち、アジアとアフリカにまたがった偉大な文明と帝国を受け継ぐ国である。大陸間に位置するオマーンの貿易商人らは、何世紀にもわたって世界を旅し、貿易を促進し、異文化と触れ合う上で、非常に有利な立場にあった。しかし、オマーンの有利な地理的位置と伝説的に有名となった富は、植民地大国の注目を集めることとなった。特にポルトガルとイギリスがそうであった。ポルトガルは、1507年から1650年にかけてオマーンの一部を占領していた。一方イギリスは、1798年にオマーンと友好条約を締結した1789年から、イギリスがスエズ以東から撤退する1971年まで、オマーンと複雑な関係にあった。

世界的な経済状況の変化や、何世紀にもわたる植民地支配に対処しなければならなかったことが、オマーンの経済的・政治的状況を大きく後退させ、この地域で最も発展していない国の一つとなってしまった。しかし、1970年にスルタン・カブース国王が即位し、翌年にイギリスがオマーンから撤退したことで、オマーンは目覚ましい変化を遂げた。これは経済的な奇跡としか言いようがない。1970年以降、オマーンの国内総生産は、2億5600万ドルから2019年には760億ドル以上に達し、約300倍にも上昇した。また、国民の健康状態や福祉も著しく変化した。1970年、900人の生徒に対し彼らが通える正式な学校は、国全体で3校しかなく、成人の識字率はわずか33%であった。しかし2019年には、識字率は96%に上昇し、すべてのレベルの教育を受けた学生は93万人を超えた。この数は、当初と比較し1,000倍以上の増加となり、驚くべき変化を遂げたのだ。さらに、健康指標も改善された。1970年のオマーンの平均寿命は約50歳であったが、2020年には78歳にまで伸びた。また、1970年には出生1,000人あたり153人だった乳児死亡率は、2019年にはその数は10人以下まで減少した。

この50年の間に起きた変化は、様々な要因によるものである。しかし、大きな要因は1970年以降のオマーン政府の先見性ある政策のおかげである。石油収入の増加により、政府はこれらの政策を実施する手段を得た。これまでの経験やベスト・プラクティスを共有し、必要に応じた支援や投資を行う上で、サウジアラビアなどの近隣諸国との協力は重要な要素であった。

サウジアラビアとオマーンは、経済を多様化し、石油への依存度を下げるという共通する目標を掲げている。サウジアラビアの「ビジョン2030」とオマーンの「ビジョン2040」は、必要とされる変革の青写真を示している。

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ

新型コロナウイルスの影響により、世界経済は依然として厳しい状況にあるが、先週火曜日に発表された国際通貨基金(IMF)のオマーンに関する報告書では、2021年に向けて楽観的な見通しが示された。2020年の実質GDP縮小率は2.8%となっているが、2021年には2.5%程度まで回復すると予測されている。しかし、パンデミックにより、昨年財政は悪影響を受け、大きな財政負担も生じた。原油価格の下落や石油需要の低迷と相まって、2020年にはGDPの約19%の財政赤字に陥った。しかし、IMFはこの財政赤字は2021年末までに急激に減少し、それに伴って国債も減少すると予想している。

サウジアラビアとオマーン両国における当面の優先事項は、経済回復が落ち着くまでのパンデミック対策であることに変わりはない。政府の取り組みの焦点は、公衆衛生危機への対応(ワクチン接種を含む)、経済回復支援、経済損失の最小化、金融安定性へのリスクの軽減である。そのため、最近ではワクチンの供給量が大幅に増加し、ワクチン接種が急速に進んでいる。昨年、サウジアラビアは、経済を活性化し、民間企業をパンデミックの課題に対処することを可能とする計画を採択した。一方オマーンは、コロナにより影響を受けた部門への実質的な支援と、ビジネス環境の強化を図るため、2021年3月に「経済刺激計画」を採択した。また、サウジアラビアとオマーンの両国は、財政の持続可能性を向上させるために新たな税制度を導入した。

サウジアラビアとオマーンは、経済を多様化し、石油への依存度を下げるという共通する目標を掲げている。サウジアラビアの『ビジョン2030』とオマーンの『ビジョン2040』は、必要とされる変革の青写真を示している。この2つのビジョンはどちらも、投資、非石油部門の成長、そして労働力を今後の経済の変化に適応させ、その変化に必要なスキルに焦点を当てている。両国は600キロを超える長い国境を共有しており、今年後半には両国間で初の陸路が開通する予定である。その結果、貿易や人の移動が拡大し、国境周辺に広がる「空虚な4分の1(一角)」と呼ばれるルブー・アルハーリー砂漠を含めた国境地帯が活性化されるだろう。

また両国は、より環境に優しい経済を発展させるために、同様の取り組みを行っている。両国は、国内の電力や水の補助金を削減するだけでなく、豊富な再生可能エネルギー資源を活用する計画を策定している。この計画は、気候変動の目標を達成しつつ、投資を呼び込み、成長と雇用創出に貢献する可能性を秘めている。

サウジアラビアとオマーンは、一部の問題に関しては外交スタイルが異なるものの、地域的な問題については同様の見解を示している。しかし、両国の異なるスタイルを統合し、時には両国の間で役割を分担することにより、両国は、地域の平和、安全、安定に貢献してきた。今回のオマーン国王によるサウジアラビア訪問は、両国の共通の利益を促進し、地域問題へのアプローチを調整するための新たな道筋を示すものと期待されている。

アブドルアジーズ・アル・ウェイシグ氏は、湾岸協力理事会の政治・交渉担当事務局補を務める。本記事の見解は個人のものであり、必ずしも湾岸協力理事会のものではない。ツイッター: @abuhamad1

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