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子供に優しい都市をアラブ世界に設計しなければならない

バルセロナのサンタントニ地区に新たに設けられた、車の通行が制限された「スーパーブロック」エリアでスクーターに乗る子供達。(ロイター通信)
バルセロナのサンタントニ地区に新たに設けられた、車の通行が制限された「スーパーブロック」エリアでスクーターに乗る子供達。(ロイター通信)

冬の休暇を充実して過ごせるかどうかは私たち次第だ。「La Merドバイ」は楽しいビーチフロントの安息地で、家族全員で楽しめる。午後の遅い時間、桃色になった空には綿菓子のような雲が夢見るかのように私たちの上に漂っていた。ライトアップの仕掛けや電球が暖かい光を放って自家製コーヒーを出す喫茶店や派手なレストランの間を照らし、海岸に沿ってカーニバルのような雰囲気を醸し出していた。この祝祭気分をさらに盛り上げるかのように、子供が楽しめるようにと、メリーゴーランド、ゲームの屋台、及び遊び場が並んでいた。それだけではなく、このワクワクする区域には、アーティストにコミッションされた建物の壁面の落書きが彩りを添え、のんびり歩けば、蝶や花に囲まれた妖精の落書きや「クールでいようぜ」とのキャプション付きの虹色のサングラスをかけた小さな子供の落書きを見ることができ、また燃え上がるような翼の落書きの前では自由を謳歌するようにポーズをとることもできる。歩き終えた私は、細部まで気配りされたデザインに感無量で、私たち全員、特に子供達は、美しい思い出作りができて笑顔になっていた。

私たちはワクワクする時代に生きている。今各都市は、それぞれのアイデンティティーを形作り、それぞれのインスピレーション溢れるストーリーをもとに都市開発プロジェクトを進めているのだ。例えば、派手なライフスタイルを求める人が集結する地であったり、イノベーション、知性、及び研究のハブなどだ。しかし、ひょっとすると最も有望かつ賛同を集めそうなのは、子供を中心にした都市をデザインすることではないだろうか。子供に優しい都市とは、子供が楽しく育っていけるように、子供の日々のニーズに合わせたインフラやサービスを入念に計画して提供するような都市のことである。それに加えて、子供に優しい都市は、家族が幸せで、健やかで、生産的な暮らしができるように、子育て世代を対象とした重要なプロジェクトや支援サービスに投資をしていかなければならない。例えば子供に優しい住居やデイケアセンターなどである。

今、過去のいずれの時点よりも、都市に住む子供の数は増えている。そのため政策立案者は、子供達を重視してその日々のニーズを理解し、政策、プログラム、及びサービスの中に反映させていかなければならない。

人口動態学の専門家らは、2050年までに世界の子供の70%は都市に住むようになると予測している。つまり、政策立案者や都市計画者は、子供が幸せで生産的に暮らすためのふさわしい環境や設備を整えることで、子供の人生をより実りのあるものにする力を持っているのだ。

ユニセフの子どもに優しいまち作り事業は、医療やケアサービス、ソーシャルサービス、学校、遊び場、緑地、文化的活動、コミュニティーへの参加機会、安全や保護、そして家族の暮らしに積極的に参加できる環境を整備するなど、子供の基本的な権利やサービスを確保することで、都市をより子供に優しいものにできると説明している。

世界的にデザイン、エンジニアリング、及び企画を行なっている企業のArupでは、革新的な報告書『いきいきとした都市:子供のための都市設計』を発表し、その中で渋滞や汚染、高層マンションでの暮らしや都市スプロール現象、犯罪、社会的不安、公共スペースへのアクセスが不十分だっだり不平等である問題、そして孤独など、現代の都市が直面する喫緊の問題を解決するにあたり、子供に優しいまちづくりのアプローチを採用することで、都市設計の価値を探っている。

子供に優しいまちづくりに成功した政府は、複数の分野でその恩恵を受けている。例えば、地域住民の身体及び精神面の健康が向上したり、家族やスキルのある労働力の流出を防いだり、地域社会の絆が強まったり、悪天候による影響が減ったり、平等性が確保できたり、経済がより骨太になったりといったメリットだ。魅力的で多様なインフラへのアクセスが可能で、多目的の公共スペースやサービスが提供されている包括的な都市は、より住みやすいため、移住先や働く街を探している家族にとってより魅力的となる。

ロンドン、トロント、及びロッテルダムのような都市は、都市計画モデルを更新し、家族や子供たちにとってより住みやすいまちづくりを推し進めている。子供に優しい住居、託児所、安全な道路、遊び場、及び学校などの都市計画要素をまちづくりに統合することで、より包括的な都市の実現が目指されているのだ。2年前、トロントの市議会は家族や子供により優しいアパートの建設に関するガイドラインを設定した。その中で成功を収めた例の1つとして、セント・ローレンス地区が挙げられる。住居が2つの学校、公園、店舗、レストラン、及び娯楽施設の近くに整備され、完結型のコミュニティーコンセプトが実現されたのだ。学校の校庭は、使用されていない時間帯には、広く地域全体で利用できる。

子供に優しいまちづくりに成功した政府は、複数の分野でその恩恵を受けている。

サラ・アル=ムッラ

また、社会の絆、フィットネス、余暇、及び安全な道路など、健やかな行動や健康の向上を促進する重要な都市計画要素を取り入れることで、いかに都市計画が住民の健康と福祉に寄与するかを示す例もある。例えば、ベルファスト健やかなまちづくりパートナーシップは、7,000人の子供や家族と共同で、理想的な街並みのビジョンを打ち立て、また、健やかに暮らせる都市にするために必要な措置もリスト化した。子供達がより健やかに暮らせる地域作りための綱領がまとめられ、その結果は子供たちによって上級の政策立案者や自治体の意思決定者に提示された。その中では、住宅地の中に緑地を取り込むこと、歩きやすいまちづくりをしたりサイクリングルートを整備したりして体を動かす機会を作ること、車の通行量を減らすこと、及びユースクラブや遊び場などの重要な地域施設を提供することの必要性が強調された。

子供に優しい都市設計を行うことは、子供の福祉や大人になってからの成功を形作る上で重要な要素となる。複数領域にまたがるアイデアが積み重なることによって、都市には大きなインパクトと価値がもたらされうる。家族に優しい住居、託児センター、緑地、文化的スペースや伝統を受け継ぐスペース、道路の安全、高品質の医療及びソーシャルサービスの提供などの対策は、全て積み重なることで子供に優しい都市の素晴らしい展望が開けるのだ。

結局のところ、子供達にポジティブに子供時代を提供できれば、その分私たち全員に大きな恩恵がもたらされるのだ。

  • サラ・アル=ムッラはアラブ首長国連邦の公務員で、人材開発政策と児童文学に関心を寄せている。
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