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トルコ、UAEとの取引で新たなページへ

二国間の緊張の根は、ムスリム同胞団へのトルコの強力な支持に端を発する。(ファイル/AFP)
二国間の緊張の根は、ムスリム同胞団へのトルコの強力な支持に端を発する。(ファイル/AFP)
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29 Nov 2021 03:11:06 GMT9
29 Nov 2021 03:11:06 GMT9

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はついに、UAEとの対立が一切の利益をもたらさないという結論に達した。

二国間の緊張の根は、ムスリム同胞団へのトルコの強力な支持に端を発する。カタールを除く湾岸協力理事会(GCC)の加盟国がその過激派運動に反対することを決定した時、トルコのUAEとの関係性は悪化し始めた。

トルコは、ドーハと残りのGCC加盟諸国間の争いにおいて、カタールへ不必要に肩入れした。これは1930年代に遡る、アラブ諸国に対するトルコの伝統的な政策からの大きな逸脱だった。トルコ共和国を建国したムスタファ・ケマル・アタテュルク氏は、当時の外務省事務次官だったヌマン・メネメンシオウル氏に、文化的、社会的に強いつながりを持つアラブ諸国とトルコは関係強化を図るべきであり、その中の一部の国々に味方して他と敵対することのないように、と指示していた。

トルコは1世紀近くの間この政策に従い、全てのアラブの国々とイスラエルに対し等距離を保った。この均衡の取れた政策のおかげで、トルコは両側とのコミュニケーション手段を開いたままにすることができた。

2016年7月1日の未遂軍事クーデターをUAEが財政支援したとアンカラが主張した後、トルコのUAEとの関係は悪化した

ヤシャル・ヤクシュ

アラブ諸国はアラブ国間の争いを内輪の問題と見なし、非アラブ諸国が干渉するのを好まない。時折不和に陥ることもあるが、彼らは最終的には和解する。カタールとその他のGCC加盟国間で現在起こっているのは、そうした争いなのだ。

UAEがイスラエルと外交関係を樹立することに決めた時、トルコは同様の間違いを犯した。自らはUAEとイスラエルの両国と外交関係を維持しながら、それら二国間における外交関係の確立に反対したアンカラの反応にはますます一貫性がなかった。

2016年7月1日の未遂軍事クーデターをUAEが財政支援したとアンカラが主張した後、トルコのUAEとの関係は悪化した。新政府派のメディアは、クーデター準備のためにUAEがトルコへ資金移動したと主張する全面記事を発行した。UAEの役割に関する証拠として、軍事クーデターを非難してエルドアン大統領への支持を固めるまでにUAEは16時間を要した、とトルコの一部報道機関は伝えた。

トルコの犯罪地下組織リーダーであるセダト・ペケル氏は、何ヶ月にもわたって同国メディアの活発な議論の対象になっている。数カ国を訪れた後でドバイに落ち着くことを決めた彼は、過去のものから現在のものまで、トルコ政府の内輪の恥について暴露する動画を投稿しているのだ。UAE当局は、そのような動画投稿に警告を発した様子だ。

ペケル氏は今、与党AKP(公正発展党)の政治家の評判に等しく有害なツイートを投稿している。この議題はおそらく、二国間協議において公式に提起されてはいない。だが、両国の安全保障省レベルで徹底的に議論されたかもしれないと推測することはできる。ペケル氏のその後のメッセージが、この問題についての取引の有無を明らかにするだろう。

リビアの危機は、トルコとUAE間の緊張を高めている。最近まで、二国はこの争いの反対側にいた。アンカラとアブダビ間の関係緩和、そして12月24日に予定されているリビアの選挙の後、どのように状況が進展するのかを我々は静観しなければならない。

トルコは、国連が支持するトリポリ拠点の国民合意政府(GNA)に協力する唯一の国だ。この正当性にも関わらず、GNAはムスリム同胞団に傾く議員が多数派を占める。一方で、ロシア、UAE、エジプトを含む国際コミュニティは、過激派グループの影響に不安を感じている。

幸いにも国連の援助の下で、可能な限り多くの政治利害関係者を巻き込んで選挙を組織する合意が成立している。リビア政府は、「全ての外国軍」にリビアの国土から引き揚げるよう公然と求めた。トルコは、他全ての国々と異なり、リビアにおける自国軍の駐留は国連が支援する政府の招待に端を発している、と意見してこれを無視した。

先週、UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子殿下によるアンカラ訪問中、10の協力合意が締結された。100億ドルの資金がUAEによってトルコでの投資のために確保され、これは危機に陥ったトルコ経済にとって重要な後押しとなる。エルドアン大統領にとっても良い知らせだ。100億ドルの投入は、選挙準備に入っているトルコの財政困難に一時的な救済をもたらすためだ。

トルコへ投資されることになるUAE資金は、両国の利益に貢献する。UAE企業は、よく査定されたプロジェクトへ投資することで知られる。だがトルコの企業は、交渉において強い立場にない。

今回の訪問で大切なのは、これら二国の友好的な人々の関係性に新しいページが捲られる可能性がある点だ。

  • ヤシャル・ヤクシュ氏はトルコの元外相であり、与党AKP創設者の1人。ツイッター:@yakis_yasar3
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