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過去 50年間の発展を礎に新しい明日を描き続けるUAE

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02 Dec 2021 04:12:44 GMT9

NASDAQで取引が始まった1971年当時、50年後にニューヨークを本拠とするアブダビ傘下企業が同取引所でその年最大のIPOを実施すると考えるものはひとりもいなかった。

半導体生産世界第3位のGlobalFoundries(グローバルファウンドリーズ)はわずか12年前にムバダラ投資会社によって設立された企業だ。現在同企業はスマートフォンや人工衛星、自動車のキーレスエントリーシステムなど、我々の日常を作り替えることに貢献するテクノロジー分野の最先端を行く企業である。大学・研究機関や政府主導パートナーシップなど50を超える提携関係を維持しており、アラブ首長国連邦(UAE)が目指す「世界的な知識・技術・アイデアの交流」を具現化する企業だ。

未来を作り替えることへの決意はいたるところで見てとれる。

ダウニング街10番地(イギリス首相官邸)のテラコッタ・ルーム(Terracotta State Drawing Room)はもともとイギリスの初代首相ロバート・ウォルポール卿が好んで利用したダイニングルームだ。9月にこの部屋でボリス・ジョンソン首相とアブダビのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子が100億ポンド(約130億ドル)規模の5年投資合意に調印した。テクノロジー・インフラ・医療衛生・生命科学・再生可能エネルギーなど革新的な分野がその対象となる。

両者はまたエネルギー転換や脱炭素における二国間関係を強化しており、特に再生可能な新しい形のエネルギー分野における提携に力を入れている。実際、アブダビ国営エネルギー会社およびマスダールとBP社は英国とUAEを結ぶ炭化水素の排出量が少ないエネルギー拠点や脱炭素化された空中回廊などの開発に向けて提携・投資することになっている。

提携関係はそれだけでは終わらない。

マスダールとBPはクリーン燃料・エネルギー効率・再生可能分散型電源・エネルギー貯蓄などをもとにした都市空間におけるエネルギー提供や移動手段の開発・建設・運営を行う予定だ。

両国関係の発展は経済においてのみではない。貿易や投資において関係を築くことで文化的な繋がりも深まっている。

UAEの文化・青年省は文化・創造産業における専門知識の交流について英国文化省と提携合意した。この提携は今月開館4周年を迎えるルーブル・アブダビを筆頭としたこれまでの文化交流をさらに発展させるものだ。

アブダビ最大の油田を発見したと言われる著名なフランス人探検家ジャック・クストーが海洋調査船「カリプソ号」に乗って今日のサディヤット島の周囲を巡ったのならば驚くに違いない。

フランス企業600社以上がUAEで活動していると知ればクストーは同じように驚くだろう。そして近年UAEで活動するフランス企業の数は毎年およそ10%ずつ増加しているのだ。

UAEは意図して中東における商業の中心地となった。「アブダビ・グローバル・マーケット」と「ドバイ・インターナショナル・ファイナンシャル・センター」という非常に盛況な金融拠点が2カ所ある。どちらも英米法概念「コモン・ロー」の管轄下にあり、世界的な機関が集まりフィンテックや持続可能な新しい形の未来型金融を受け入れている。

UAEは国際的な競争力をつけており、UAEでの活動・投資や企業の海外における発展を見守ることが今ほど魅力的だったことはない。

コロナウイルスの大流行から世界が回復へと向かうなか、アジア太平洋・インド・オーストラリア・アフリカ各地域に対する投資を拡大するDPワールドが業界標準以上の成長を記録していることは励みになるものだ。現在同社は七大陸50カ国以上で顧客を持ち、世界的なサプライチェーンの未来を作り替えている。

DPワールド同様、多くのUAE企業にとって持続可能性や環境に対する自社活動の影響を重視する企業となることが最優先されている。

8月に小売・レジャー複合企業マジッド・アル・フテイムが地域初となる「ペナルティー・オンリー」の持続可能貸付を発行した。この15億ドル規模の金融商品には役員や経営陣の3割を女性が担うという「30%クラブ」と呼ばれる世界的キャンペーンに則した性別多様性目標が含まれている。

世界各国の投資家は投資を検討するにあたって環境・社会・企業のガバナンスに関する条件を検討項目としてより重要視している。ドバイおよびアブダビのUAE資本市場はこれに対応し世界的な基準を適用している。よって将来の見通しは明るい。

政府や国営企業の上場によって、市場の流動性が高まるだけでなくUAEの主要成長企業に対する資本提供ともなる。ADNOCとオランダで上場するOCIの合弁会社「Fertiglobe」が代表例として挙げられる。シンガポールの政府系ファンドや米国の主要金融機関の投資を呼び込むUAEの民間セクター経済の発展を示すものである。

資金が国境を自由に超えて行き交うグローバル経済においてUAEは金融規制や金融犯罪抑制の枠組みにおける指導的役割を担うことを重要視している。

その努力は実を結びつつある。

UAEは意図して中東における商業の中心地となった。

アフマド・アリ・アル・サイェーグ

9月に違法金融対策についての歴史的な提携が英国との間で合意された。これは金融犯罪のコンプライアンスについての国内の枠組みを強化し、中東および世界規模での資金洗浄対策や対テロ資金対策において各国と情報を共有し連携を強める、というUAEの継続的な努力に基づく合意である。UAEは開放的・効率的・効果的かつグローバルに統合された経済に向け、明確で首尾一貫した枠組みを推し進める決意を持っている。

1971年12月2日のUAE建国から50周年が目前に迫るなか、顧み、我が国が実現したことを評価するため、ここで立ち止まって思案するのもいいことだ。だが先を見据えるにあたっては、明日を描き変え続けるビジョンと努力において不動の信念をもって挑むこととしよう。

  • アフマド・アリ・アル・サイェーグ氏はアラブ首長国連邦国務相である。
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