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世界経済フォーラムは2022年のダボス会議で新たなスタートを切らなければならない

世界経済フォーラムに反対するデモを行う抗議者たち。2022年5月20日、スイスのチューリッヒ。(Keystone via AP)
世界経済フォーラムに反対するデモを行う抗議者たち。2022年5月20日、スイスのチューリッヒ。(Keystone via AP)
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22 May 2022 06:05:08 GMT9
22 May 2022 06:05:08 GMT9

1週間弱の間、世界のビジネス界の名士たちが年1回の会合のためスイスアルプスのリゾート地ダボスに集まる。世界経済フォーラム(WEF)年次総会というビジネス兼レジャー集会だ。通常この会議はダボスが真っ白な雪に覆われる1月に行われるが、今年は春に開催される。これはWEFの歴史上初めてのことで、参加者にとっては一味違う環境となる。

今回の会議は他の多くの点でも異例だ。新型コロナパンデミック発生以来初となる財界のリーダーの集会であり、2年ぶりの開催となる。皆が知りまた経験してきた通り、過去2~3年の間に世界は大きく変わった。もしかしたら過去20年余りの変化よりずっと大きいかもしれない。

一方では、パンデミックは我々の生活様式の劇的な変化につながった。また、世界の人口の半分近くに対して計り知れない苦難をもたらした。失業件数は10億近くに上り、インドの犠牲者の実数をめぐる世界保健機関とインド政府の論争に明らかなように死亡者数は依然として世界中で議論されている。

2年以上にわたる経済的混乱は、失業、 予期せぬ医療費、賃金削減と相まって、世界中で貧困の急増と不平等の空前の拡大をもたらした。不平等の拡大は、世界の億万長者の富と比較するとより際立つ。億万長者の財産は過去3年で劇的に増加した。大半の企業とその上層部は、パンデミックによる休業や閉鎖を乗り切るための税制優遇や補助金といった政府による前例のない寛大な措置から利益を得たためだ。

世界中に大混乱をもたらしたのはパンデミックだけではない。地球の気候危機もかつてなく加速しその影響を人々に実感させた。干ばつ、鉄砲水、氷河の後退、灼熱の熱波、ブリザードなどの長期の自然災害が発生した。多くの国では、これらの異常気象が毎年発生するようになった。

それでも、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量は増加の一途をたどり、毎年過去最高値を更新している。

状況のあまりの深刻さから、気候変動に関する政府間パネルによる最新の報告では、過去10~20年間の度重なる警告を無視して世界が進み続ける事態に対する非難が際立っている。アントニオ・グテーレス国連事務総長は憤慨して、政財界のリーダーたちが問題を真剣に考えず、また排出量削減への取り組みに関して嘘をついたと非難している。

例年のダボスにおける世界の財界のリーダーたちは、会社や自分たちをより金持ちにするための取引をまとめている。あるいは単に、1週間メディアのスポットライトを浴び、世界に説教し、同時に空約束をしたり新たなバズワードを考えたりする、そういったことに伴う快楽とビジネスを結びつけている。上述した背景のもとでは、そういったお決まりの活動からは離れようとするかもしれない。

今こそ変化の時だ。そして5月22日に始まる年次総会ほどスタートにふさわしい場はない。

ランビル・S・ナヤール

一方、ダボスでなされた公約は、リーダーたちによって重役会議室に持ち帰られて変化を刺激することはなく、まるでアルプスの谷間に響くこだまのように残ったままだ。

正常な状況なら、そのようなアプローチでも問題はなく、世界で最も裕福で最も閉鎖的なクラブは1週間の間いつものように仰々しい言葉を並べたうえで逃げ切ることができるかもしれない。しかし2022年の世界は正常とは程遠く、ダボスの億万長者たちはスイスアルプスの高地にいるとしても、今回だけはしっかりと地に足を着けた方がいい。

現在の世界が直面する問題の大半に対する責任は、政治的指導者たちと同様に財界のリーダーたちにもある。実際、政府による政策決定は多くの場合、大企業のロビー活動の結果である。

しかし、気候変動の責任は企業にある。森林や鉱山などの自然資源に対して前例のない往々にして不法な損害をもたらしたのは企業の強欲だからだ。

財界のリーダーたちには、不平等の拡大に対する責任もある。会社の業績が大きく悪化している時も自分たちには手厚いボーナスと給与体系を設定つつ、何千人もの従業員を容赦なく解雇したり、社内の賃金格差を著しく高めるような給与設定をしたりしたのは彼らだからだ。例えば、米国の企業の従業員の上位1%が全賃金の13.8%を稼ぐ一方で、下位90%は全賃金の60%を分け合わなければならかった。ジェンダー間の同一賃金も、企業のリーダーたちによってなされた空約束の一例だ。

今こそ変化の時だ。そして5月22日に始まる年次総会ほどスタートにふさわしい場はない。2022年のダボス会議を、従来のWEFとダボス会議を規定してきた個人の利益や強欲ではなく人類と地球の健康を核に置いた会議、我々の生き方やビジネスのあり方を本当に変えた会議として世界が記憶するものにしなければならない。

• ランビル・S・ナヤール氏はメディア・インディア・グループの編集長。

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