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イスラエルの攻撃にイランが沈黙を守る理由

30 Dec 2019
イスラエル軍は、「シリアのイラン軍がイスラエルに向けて発射したロケット」に応戦して、2019年11月20日に上掲のダマスカスの軍用地に攻撃をしかけたと話した。(AFP)
イスラエル軍は、「シリアのイラン軍がイスラエルに向けて発射したロケット」に応戦して、2019年11月20日に上掲のダマスカスの軍用地に攻撃をしかけたと話した。(AFP)
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報告によれば、先週、シリアの首都ダマスカス近くのイラン・シリアの陣地に向けて巡航ミサイルが発射された。この件を含め、イスラエルは2019年に、イラン政府に対していくつもの打撃を与えた。

イスラエル国防軍(IDF)は8月と11月に、シリアにおけるイランの標的をいくつも攻撃し、数ヶ月前にはバグダッド北部に一連の空爆をしかけた。報告によれば、その空爆でイラン人に数名の死傷者が出ている。

イスラム共和国は、そのような場合の対応には通常は軍事力を行使し、すばやく復讐することで知られている。しかし、これらの攻撃に関しては、イラン政府は沈黙を守っている。テヘランから発信された唯一の反応は、レトリックを強調するものだった。

イスラム革命防衛隊(IRGC)の作戦副司令官であるアッバス・ニルフォロウシャンはイランの報道機関タスニムのインタビューですごんでみせた。「イスラエルはイランを脅迫する立場にはありません。イランは全方向からイスラエルを包囲しています。イスラエルには何も残らないでしょう。」別の副司令官であるフセイン・サラミはテルアビブを「弱々しく、自ら死に向かっている」と表現した。

これは、シリアおよびイラクの基地や代替軍へのイスラエルの空爆にイランがいまだに反応しない理由に関して、論点をずらしている。主な理由は、イラン当局が現在自らの生き残りをかけて戦っているという事実にある。イラン政府は様々な問題で泥沼状態に陥り、あり得る限りのすべての方向から追い詰められているからだ。

テヘランは1979年の都市制定以来、一度にこれほど多くの難題に直面したことはなかった。国内に関して言えば、イラン政府は常に緊急事態にあるように見える。抗議活動が容赦のない力と衝突するたびに、次の抗議活動が広がるのだ。

直近の抗議活動では、1,500名が治安部隊により命を奪われ、ロイター通信によれば、中には「治安部隊および警察官の一部と十代の若者が少なくとも17名、約400名の女性」が含まれていた。

一部の官僚や司令官でさえ、政府が力を持つことは危険であると断言した。 それが、アーヤトッラーであるアリー・ハーメネイー最高指導者が治安部隊に抗議活動家を鎮圧するように要求した理由である—— 「命令は出した。何としてでも終わらせるように」。

失業率が高く、インフレの勢いは止まらず、通貨は崩壊している。イラン統計センター(SCI)の報告によれば、同国全体のインフレ率は47.2%で、食料品と燃料に関しては63.5%である。つまり、2019年は、失業者が多く、賃金が横ばいである一方、生活費はほぼ50%上昇したということだ。

イラン政府はまた、国全体の抗議活動の要求を検知するためにソーシャルメディアの発信をつぶさに監視してきた。先週、当局は、潜在的な抗議活動の先手を打ち、インターネット利用を制限し、モバイル接続を遮断した—— 多くの人々が11月の死者を追悼したいと願う中、この動きは単に抗議を激化させるだけである。

政府は地域に関しても、アラブ諸国のシーア派コミュニティにおける戦略上の優位性、支持、影響力を維持するのに苦労している。特に住民がイランの代替軍および干渉にも抗議してきたイラクとレバノンにおいてはなおのことである。湾岸6ヶ国はまた、提携して、ヒズボラなどの軍事グループへのテヘランの支援に関係している銀行、個人、何十社もの企業に制裁を科してきた。

国際舞台においては、米国の核合意からの離脱およびそれに続くエネルギー・銀行・融資セクターへの再制裁がイスラム共和国に対して大きく圧力をかけている。

マジッド・ラフィザデ

トランプ政権がイランの8大原油買取国(中国、インド、ギリシャ、イタリア、台湾、日本、トルコ、韓国)に対して禁輸制裁の除外を延長しないことを決断したことに加え、米国の「最高圧力」政策により、テヘラン経済は大損害を被ってきた。政府は、軍事上の冒険主義の追求や地域全体の代替軍に対する融資は極めて困難であると考えている。

欧州の強国もまた、ワシントンの軍事行動を反映している。フランス、ドイツ、イギリスは、ウラン濃縮や遠心分離機の開発をめぐって、イランへの圧力の度合いを強めてきた。EUもまた、「イランの核搭載対応弾道ミサイルの開発とその関連のテクノロジーは」国連決議2231の義務と「矛盾する」と宣言し、弾道ミサイルの活動をめぐり、テヘランに圧力をかけてきた。

要約すれば、イランがIDFの攻撃に沈黙を守ってきた理由は、実際に、できることがほとんどなかったからだ。政府は、国内と海外の両方においてすべての前線で生き残りをかけて戦う中で、自国の資源を優先しなければならない。

Dr. Majid Rafizadehマジッド・ラフィザデ博士はイラン系アメリカ人の政治学者で国際アメリカ協議会the International American Council)の議長である。Twitter: @Dr_Rafizadeh.

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