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「アラブ版NATO」の実現を阻むもの

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02 Jul 2022 01:07:39 GMT9
02 Jul 2022 01:07:39 GMT9

ジョー・バイデン米国大統領の中東訪問を前に、同地域におけるNATOスタイルの防衛的軍事同盟の構想が再浮上している。

米国が中東から徐々に距離を起きつつあり、そしてイスラエルと湾岸諸国との関係が深まっているにもかかわらず、本物のNATOスタイルの同盟が出現する可能性は今のところ低いという見方がある。より広範な地域協力への意志と推進力が高まっているとはいえ、共同安全保障協定にはいくつかの障害がある。

軍事同盟は国家安全保障に関する国際協定であり、同盟国はいかなる危機が発生した場合にも相互に保護し、支援することに同意する必要がある。しかし、アラブNATOの場合、共通の安全保障目標や共通の脅威が明確に定義されていない。

他にも潜在的な問題がある。第一に、この協定に参加すると予想される国々は、安全保障体制や軍事的関与が多様である。第二に、この協定はイランに対して形成されることを期待しているが、イランの中東地域内における政策については各国でも見解が分かれている。第三に、すべての国がイスラエルとの関係を正常化し、共通の協定を形成できるような状態にあるわけではない。最後に、加盟可能な国の中には、外的脅威よりも、むしろ国内の脅威に対して独自の安全保障メカニズムを構築している国もある。

また、共通の脅威に対処するために適用可能な戦略や政策手段も特定されていない。ほとんどの議論は、攻撃を防ぐための情報や軍事作戦計画を共有する道を開く可能性のある、防空における協力に焦点が当てられてきた。この点で、防空能力に優れたトルコは、このような同盟のメンバーとしてではなく、その重要なパートナーになる可能性がある。

過去20年間、トルコは防衛・軍事協力を通じてGCC各国と関わってきた。2004年には、UAE、クウェート、カタール、バーレーンを含む「イスタンブール協力イニシアチブ(ICI)」の立ち上げにも貢献した。これらのパートナーシップは、後に外交協議から訓練活動に至るまで、様々な活動を含むように改訂された。

例えば2017年、NATOとクウェートは「NATO-ICI地域センター」を発足させ、「湾岸における同盟の新たな本拠地」と称した。このセンターでは、海洋安全保障やエネルギー・インフラの安全保障、あるいはサイバーセキュリティなどの安全保障問題に焦点を当てた活動を通じて、NATOと湾岸諸国の将校を結び付けている。この地域におけるNATOのもう一つの主要な政策手段は、1994年にイスラエルとモーリタニア、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、エジプト、ヨルダンのアラブ6カ国と締結した「地中海対話(MD)」である。

現在、新たな同盟を作るか、それともこれらの既存の構造を改善するかという議論がなされている。同盟を結ぶかどうか、それが成功するかどうかは、時間が経たなければ答えが出ない問題である。しかし、NATOとGCCとの関係強化は、当面の湾岸諸国の利益につながるだろう。

  • シネム・センギス氏はトルコと中東の関係性を専門とするトルコの政治アナリストである。 Twitter: @SinemCngz

 

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