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イラン国民の叫びに国際社会が耳を傾ける時が来た

国連事務所の外でイランの弾圧に抗議するイラン人やイラン系クルド人たち。2022年9月24日、イラクのエルビル。(AFP)
国連事務所の外でイランの弾圧に抗議するイラン人やイラン系クルド人たち。2022年9月24日、イラクのエルビル。(AFP)
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25 Sep 2022 09:09:42 GMT9
25 Sep 2022 09:09:42 GMT9

先週、警察に拘束されていたマフサ・アミニさん(22)が死亡したことで、イランは新たな政治的激震に直面している。イランには明確な断層線が存在することを指摘することが重要だ。すなわち、一方には神権政治体制とその弾圧部隊があり、他方にはイラン国民がいるということだ。40年以上前から悲惨さ以外のものをもたらしていない神権政治体制に対して、国民が再び立ち上がったのだ。

今週だけで多くの展開があった。イラン全国に広がる大規模なデモは2週目に入った。一方ニューヨークでは、イラン系アメリカ人が大挙して集まり、イランのイブラヒム・ライシ大統領の国連総会への出席に抗議した。あらゆる兆候がイランにおける歴史的な大転換の到来を示しており、国際社会はそれに反応すべきだ。

アミニさんは9月13日、女性の頭の覆いについて聖職者体制が定める法律に適切に従っていないとして、体制のいわゆる「道徳警察」の警官により暴力的に逮捕された。彼女は酷く殴られて昏睡状態になり、3日後に死亡した。この事件は、国家による弾圧、女性の権利の侵害、貧困の蔓延、生活費の高騰、どん底の経済、まともな将来の展望を全く描けない若い世代の増加、そういった問題の結果として社会に鬱積している幻滅感の巨大な火薬庫に火をつける火花となった。

アミニさんが死亡したというニュースが明らかになるやいなや、彼女が住んでいたイラン西部でデモが始まった。3日目までには、デモの波は近隣州やさらに遠くへと波及し始め、首都テヘランの郊外にも到達した。4日目には、テヘラン中心部、北部のラシュト、南部のホラマバード、東部のマシュハドの人々も立ち上がり、抗議行動は様々な地域の様々な層の人々が参加する印象的なモザイクの様相を呈した。デモが電光石火のペースで拡大したことは、嫌われた支配聖職者層に対する国民の全般的な態度を最も良く示すものかもしれない。デモの波はわずか6日間でイランの全30州の100都市以上を飲み込んだのだ。

ニューヨーク・タイムズはこう報じた。「デモが広がるにつれ、普通のイラン国民が生活条件について抱く怒りを反映するものへと要求が広がっている(…)抗議の声と、イスラム共和国をなくせという要求を伴う、異常な光景が繰り広げられている」

イランに明確な断層線が存在する。一方には神権政治体制とその弾圧部隊があり、他方にはイラン国民がいる。

マジッド・ラフィザデ博士

これらのデモには共通する特徴が多くある。女性や若者の存在が目立っており、ほとんどの場合で体制の弾圧部隊との衝突の先頭に立っていること。「独裁者に死を」や「ハメネイ(体制の最高指導者)に死を」といったシュプレヒコールを一斉に唱えていること。デモ参加者たちが体制の部隊に勇敢に抵抗し、体制の転覆を要求していること。体制のポスター、弾圧組織、事務所、その他の象徴を燃やしたり破壊したりしていること。そして、これらの抗議行動が組織的であること。

これまでに数十人が死亡したとされており、数千人が逮捕されたと報じられている。それでもデモは止まっていない。体制の高官は今回も直ちに、主要な反体制組織であるイラン国民抵抗評議会(NCRI)に、デモを組織したという非難の矛先を向けた。

9月20日には、体制の国会のモハンマド・バーゲル・ガリバフ議長が、テレビ放送された国会演説でこう述べた。「敵は(…)国内に混乱を引き起こそうとしている(…)親愛なる国民の皆様は偽善者(反体制派の蔑称)に味方しないように」

一方、ニューヨークでは水曜日、数千人のイラン系アメリカ人が国連本部の外に大挙して集まり、ライシ大統領の国連総会出席に抗議した。彼らには「テヘランの虐殺者」として知られるライシ大統領は、1988年に体制のいわゆる「死の委員会」の一員を務めていた。少なくとも3万人の政治囚の虐殺に関与した組織である。

ライシ大統領に雇われたならず者たちがイランの街頭でデモ参加者を惨殺していた正にその時に、同大統領は国連の演壇に上がって国際社会に対し民主主義と人権を説いていたのだ。それでも国際社会は恥じて顔を伏せないというのか。

NCRIの次期代表であるマリアム・ラジャビ氏は、ニューヨークで開かれた抗議集会へのビデオメッセージの中で、正しくもこう指摘している。「全ての政府は、処刑や抗議者の弾圧・殺害を止めること、体制のテロ機構と人質行為を廃絶することを条件にムッラー体制と関係を結ぶべきです」

「ウクライナの声の党」を率いるキラ・ルディク氏は、この集会で聴衆にこう呼びかけた。「私たちは、ウクライナやイランを自由な国家としてお互いを支持するためにここにいます。自由をイランの人々のために。この7ヶ月間は厳しい時期で、希望があるのかどうか我々には分かりませんでした。この期間、私はラジャビ氏に言われた言葉を自分に言い聞かせていました。『私たちにはできるし、しなければならない』」

テヘランやニューヨークからのイランの人々の叫びに国際社会が耳を傾ける時が来た。イラン国民とその組織的な抗議行動は、神権政治的で女性差別的なテヘランの体制を引きずり下ろすことができるかもしれない。もしそうなれば、世俗的かつ民主的で、核兵器を持たず、人権を尊重し、世界中の自由な人々の友であるイランが取って代わるだろう。

• マジッド・ラフィザデ博士はハーバード大学出身のイラン系アメリカ人政治学者。ツイッター:@Dr_Rafizadeh

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