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イラクの改革は困難だが不可能ではない

イラク議会では日曜日投票が行われ、アーディル・アブドゥルマフディー首相の辞任が承認された。(AFP)
イラク議会では日曜日投票が行われ、アーディル・アブドゥルマフディー首相の辞任が承認された。(AFP)

イラク議会では日曜日、アーディル・アブドゥルマフディー首相の辞任が承認された。それによって、完全な混沌状態とどうにか政治的プロセスを前に進められる状態の境界線は曖昧なものになっている。今イラクは、2003年以降で初めて経験する状態になっている。国民からの圧力と、最高宗教指導者のアヤトラであるアリー・アル=スィースターニー師からの信用を失ったことで、初めて現職の首相が辞職に追い込まれたのである。

アブドゥルマフディー首相は、ムクタダー・アル=サドル師が率いるサイルーン連合と、ハディ・アル=アミリ氏が率いる武装勢力である人民動員隊と関連のあるファタハという、議会の2大会派が互いに歩み寄り、1年以上前に就任した。同首相の辞任は、抗議活動を行った人々からは、人民の声の勝利と捉えられている。さらに重要なことに、同首相の失脚は、イランやイランの支援を受ける勢力の敗北としても捉えられている。

アブドゥルマフディー首相は今後、内務大臣と国防大臣とともに、抗議活動が始まった10月初旬以降、400人以上の抗議活動参加者を死亡させ、19,000人以上の抗議活動参加者を負傷させた罪で起訴される可能性がある。しかし抗議活動参加者は、同首相の辞任を歓迎したものの、依然として議員の辞職も求めている。彼らの最重要の要求は、宗派によらない選挙を可能とする法律の整備、そしてアメリカともイランとも一切関連のない人物が率いる政府の樹立なのだ。

その要求が実現される見込みは低い。少なくともすぐに実現することはないだろう。アブドゥルマフディー首相の辞任によって、憲法上の激しい議論が巻き起こっており、最高裁判所による判断を待たなければならないからだ。どうやら、憲法には首相が自発的に辞任した際に関する規定がないようなのだ。バルハム・サリフ大統領が自身で政権を率いるか、もしくは15日以内に議会の最大会派から新たな候補者を指名することになる。サイルーン連合はすでに、連合から候補者を指名することはないと発表している。ある議員は、現在の法的な状況について、「憲法上のブラックホール」のようだと説明している。

このように現在政治の停滞が発生しており、この機会に外国からは、イラン政府もアメリカ政府も支援するような候補者を擁立するために、水面下での駆け引きが行われるだろう。しかし、以前と同じようにはいかない。イラク国民は、特にシーア派が多数の南部の地域で、外国からの干渉に対しては、普段見せることのない連帯感を示して拒絶しているのだ。スィースターニー師の拠点ナジャフでは、イラク国民はアメリカからの干渉もイランからの干渉も望まないと、街頭に繰り出して宣言している。

サリフ大統領にとって、アメリカ政府やイラン政府の立場にかかわらず国民に受け入れられるような適切な候補者を指名するのは大変な作業となるだろう。それに失敗すれば、イラクはさらに政治の先行きが不透明な状態に陥る。最近の動きで最も痛手を被っているのはイランだ。ナジャフでは週末にまた領事館に放火されるなど、シーア派が多数の地域における影響力を失っただけではなく、イランの支援を受ける勢力は大きな武力に頼っているにもかかわらずそれに反対する勢力を根絶できていないのだ。

現在、コドス軍司令官の悪名高きガーセム・ソレイマーニー将軍は再度イラク訪問中で、現在の危機的状況の対処にあたっている。武力に頼っても抗議活動を鎮圧することができておらず、イラクへの影響力を維持したいのであれば、同将軍は今後は別の手を講じなければならない。

アブドゥルマフディー首相の辞任によって、憲法上の激しい議論が巻き起こっており、最高裁判所による判断を待たなければならないからだ

オサマ・アル=シャリフ

さらに体制にとって喫緊の問題となっているのは、デモ参加者の故意での殺害に関与した交換の処分である。アル=サドル師は、アブドゥルマフディー首相を含む上層部の高官を裁く革命裁判所の設置を求めている。デモ参加者に対して殺傷力のある武力を使用することを命じた人物を裁きにかけることになれば、今後数日から数週間、メディアはその話題で持ちきりになるだろう。

それに加えてイラク国民は、国の財源を着服した人物を裁きにかけることも求めている。その対象には政府与党のほぼ全員が含まれるため、国民から完全な支持を受けていない限り、どの政治家も逃げられないだろう。

代表者なき抗議活動には、最優先の要求を絞り、大統領に対してイラク国民の大多数が受け入れられる候補者を指名する機会を与えるチャンスがある。また同時に、議会は現在のイラクの定員ベースのシステムから脱却するための新たな選挙関連の法律を承認する方向に動かなければならない。

イラクの復興への道のりは険しいものになるだろうが不可能なものではない。汚職を根絶して外国からの干渉を終わらせることこそ、痛みを伴いつつも決定的に重要な2つの困難な課題となる。しかし本当の課題は、現在の宗派ベースのシステムに変わってイラクを治めるための新たな政治の仕組みを打ち立てることだ。

この変革に抵抗する勢力の1つはイランである。イランは、アメリカや中東地域のアメリカの同盟国に対抗するにあたって、イラクを戦略上のアセットと見ているのだ。悲しい現実として、イラン政府は影響力を行使することを諦めるのではなく、イラクに混沌とした状況を作り出そうとするかもしれない。イラク国民は、何としてでもこれを阻止しなければならない。

オサマ・アル=シャリフは、アンマンを拠点にジャーナリストおよび政治コメンテーターとして活動している。Twitter: @plato010

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