
アラブニュース
ロンドン:もし現在の国際貿易関係がドッグファイト(「犬の喧嘩」の意。「空中戦」の意味もある)のように見えるのであれば、元戦闘パイロットこそがその職に打ってつけかも知れない。
サウジアラビアのモハンマド・アル・トゥワイジリ氏は、世界貿易機関(WTO)事務局長選挙の候補者8名の中でも、一風変わった経歴を持っている。
銀行員として民間企業に勤める前の彼は、サウジ空軍の戦闘機パイロットだった。
その独特の経歴が理由のひとつとなり、彼は注目を浴びる同地位の最有力候補として浮上してきたと雑誌『フォーブス』は言う。彼と選挙戦を競うのは、エジプト、ケニア、ナイジェリア、メキシコ、モルドバ、韓国の候補者たちだ。
Mohammad Maziad Al-Tuwaijri, candidate for the WTO Director-General post, shares his vision for the organization.@MEPSaudi @KSAmofaEN @KSAMOFA
— WTO (@wto) July 17, 2020
Read more about the DG selection process here: https://t.co/rCo7gRsEkI#WTODG pic.twitter.com/ZwGx0TWaAT
すでに問題含みであった世界二大経済国の貿易関係をさらに悪化させたコロナ禍が、国際貿易を打ちのめしている現在、任期を1年残して8月末に退任するブラジルのロベルト・アゼベド氏の後継者探しは、ますます喫緊の課題となっている。
アル・トゥワイジリ氏のコックピットから重役会議室への遍歴の旅には、HSBC中東支社CEO、その前にはJPモルガン・サウジアラビアや、サウジ・ブリティッシュ・バンクでの職歴などが含まれる。
彼は現在サウジ王立裁判所の顧問をしているが、それ以前は経済計画大臣を務めていた。国家の現代化と原油依存経済からの脱却を目指す社会・経済改革の詳細計画である野心的構想『ビジョン2030』を打ち出した、政府の重要な大臣職である。
彼はまた、サウジ国際戦略パートナーシップ・センター理事、炭化水素問題最高委員会委員、2018年からの国家デジタル変革委員会委員、原子力エネルギー高等委員会委員、2020年ドバイ国際博覧会サウジ参加のための顧問委員会委員長なども務めてきた。
サウジの主要な政策決定者のひとりとして彼は、他にも人工知能から民営化に至るまで幅広い問題を監督するさまざまな委員会のメンバーも務めている。
また複数の主要政府機関の議長も務め、サウジアラムコの取締役でもある。
今月、WTO事務局長候補者8名が同機関の一般理事会メンバーたちと集い、WTOの展望を含む簡単なプレゼンテーションを行った。
WTOのウェブサイトによれば、選挙候補者たちがメンバーに認知してもらうという現在の局面は9月7日で終了する。その後、選挙プロセスの第3局面へと移り、2カ月以内に選挙が実施される予定だ。