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サウジ女性が軍事需要に応えるシームレスな事業を経営

アル・ムタイリ氏は将来的に、世界の企業と提携関係を構築してこの業界を発展させることを目標としている。(提供)
アル・ムタイリ氏は将来的に、世界の企業と提携関係を構築してこの業界を発展させることを目標としている。(提供)
トゥルファハ・アル・ムタイリ氏(写真/提供)
トゥルファハ・アル・ムタイリ氏(写真/提供)
トゥルファハ・アル・ムタイリ氏(写真/提供)
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トゥルファハ・アル・ムタイリ氏(写真/提供)
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19 Sep 2020 08:09:42 GMT9
19 Sep 2020 08:09:42 GMT9
  • トゥルファ・アル・ムタイリ氏の工場では、最先端のユニフォームを作っており、サウジアラビア国外への進出も視野に入れている

ムハンマド・アル・スラミ

リヤド:トゥルファ・ビン・アブドゥラハマン・アル・ムタイリ氏は、軍需産業総務局(GAMI)から軍事衣料工場の認可を取得した最初のサウジ女性だ。

ソンドス・アル・ディバジ工場を経営するアル・ムタイリ氏は、繊維工学で学士号を取得し、大学卒業後にこの分野で働き始めた。そして今では、大量破壊兵器や生物兵器から身を守る衣料や防火衣服など、運用品に特化した事業を営んでいる。

「我が社は、軍需業界でGAMIの認可を最初に取得した5社のうちの1社です」とアル・ムタイリ氏はアラブニュースに語った。彼女の工場は軍用品の現地生産を専門とする複数の国際企業と提携しているという。

そのなかには軍服に特化したサウジ-フランス間投資として合意契約したフランスの企業も含まれている。衣料は軍需業界におけるサウジ軍のニーズを満たすようデザインされている。

「最初は、大学で専攻していたデザインや生地の仕事に就きました。ファッションやデザインは量よりもコンセプトが重要となることが多いものですが、なかには量が重要となる業界もあり、それが軍需業界です」と彼女は言った。

軍事セクターの仕事の取り組み方として、彼女は2つの信条を基調としていると言う。ひとつに、戦略部門であるこの業界は、安全保障や政治的な立場から現地の国内仕様であることが必須であり、ローカライズをすることで自国仕様が適うのだと彼女は述べる。

「ふたつ目の動機として、卒業以来の私の目標は女性のための職の創造を模索するというサイクルを辿り続けてきました。繊維業界は女性が革新を遂げられる業界のひとつであり、この分野で生産ラインを開始させることが私の20年来の目標だったのです」と彼女は付け加えた。

最初の工場を12年前に立ち上げて以来このプロジェクトに取り組んできた彼女は、軍事衣料は国内生産が重要であると最初に訴えたひとりだった。

トゥルファ・ビン・アブドゥラハマン・アル・ムタイリ氏

彼女が工場を立ち上げた当初、軍需産業をローカライズするという考え方についてはまだ議論が完全に熟してはいなかった。親類の多くが軍需産業で働いていたことから、アル・ムタイリ氏はこの分野のニーズに気づいていた。

「2016年AFEDエキシビションで成功を勝ち取ることができました。それは個々の装備品ではなくスペア部品を対象としたものだったのですが、エキシビション責任者のアティア・アル・マルキ少将に話を持ちかけると、彼は私の構想をよく理解し、参加してもよいと言ってくれました」と彼女は述べ、次のように付け加えた。「その局面での必要性を理解し、意思決定を下す柔軟性を持つ当局者がいるというのは、ここでも重要なことなのです」

またこのエキシビションをきっかけとしてアル・ムタイリ氏は、航空機を製造するBAEシステムズ等の国際企業と提携関係を結ぶこともできた。「彼らのニーズについて彼らと話し合い、その特殊な要求を満たしつつ、エンジンカバーといった軍用機のスペア部品を納入するようになりました。そして私たちは次第に、彼らの非常に繊細な製品要求を満たす力をつけていきました」と彼女は付け加えた。

スペア部品はまた、製造業者としての能力を示すことができるような特殊仕様の繊維でもあったという。

「経験は小さな部品から始まり、他の部品へと広がっていきます。私たちは幸い、導入段階をクリアして、創造性や革新性の段階へと到達しました」と彼女は述べた。何世紀にもわたり生地や繊維の生産は女性の仕事であったとアル・ムタイリ氏は述べ、軍事衣料には、兵士たちが戦場や周囲の地形を進んで行くのを支援するという特殊な要求があると付け加えた。

「従って私たちは、デザインや素材には軍事的要求を考慮に入れており、私たちが開発しようとしているのもその部分です。私たちは国家安全保障オペレーションセンター(911)の職員ユニフォームをデザインした経験も持ち合わせています。同センター長官であるアブドゥラハマン・アル・サレハ少将からの支援も受け、ユニフォームは内務省の承認を得ることができました」と彼女は述べた。

彼女の工場は公安ユニフォームのデザインにも参加した。サウジの武装部隊の軍服と諸外国の軍服とにはある類似点があると彼女は言う。

最も一般的なユニフォームは、軍の配備の際に着用する第4迷彩服だ。

「これは、砂漠であろうと山中であろうと外観が周囲に溶け込むことを意図したものです。それらは考え抜かれた模様で、最新の繊維工学的技術や配色に従って絶えず開発がなされています。それらを変更するプロセスには時間がかかり、軍事セクターの意思決定を必要とします」と彼女は述べた。サウジ経済の包括的変化により、様々な最先端システムが投資を促進させているが、軍需産業においてはそれが特に顕著だと彼女は言う。

国家の目標は、軍需産業の50%をローカライズすることだ。GAMIの規制、新たなシステム、そして購買力や交渉力の活用で、製造業者たちにとってこの野心的目標は達成し易くなるだろうと彼女は述べた。

彼女はまた、軍事技術で顧客を確保することができ、品質が高ければ製品を買ってもらえるという保証があると付け加えた。

国内外の投資家たちにとっては素晴らしい投資機会であり、サウジの軍事支出が世界第4位であることを考えれば尚更であるとアル・ムタイリ氏は述べた。「そしてその巨額支出の50%が国内の工場に向けられると想像してみてください」。

国内の競争が激しいとはいえ、彼女の工場だけでは市場の需要に応えることはできないため、サウジ国内の軍事セクターにはさらなる競争が必要だと彼女は言う。

「調達などのシステムの開発や、ローカライズや、人材の育成や財政支援なども必要です。最近では、企業訴訟における仲裁などといった改革も行われ、それが明確かつ急速化していることが投資を促しています」と彼女は付け加えた。

アル・ムタイリ氏は、業界への投資を容易にしているもうひとつの取り組みとして、政府の取引決済方法が発達してオンライン化されたことを挙げている。「サウジではこれらの手続きをわずか数分で終わらせ、返信も電子的に受け取ることができます」

アル・ムタイリ氏は、「空が上限だ」と言ったムハンマド・ビン・サルマン王太子の言葉を引用し、将来的には世界の企業との提携関係を構築して業界を発展させることを目標としている。

これまでに中国やギリシャの軍需関連企業との話し合いの場を持ってきたが、サウジ市場への参入を望む企業ならどことでも提携すると彼女は述べた。

軍需産業は常に特許に信頼を寄せるものであるが、それはこの業界の上級段階であり、彼女の工場は現在そこに焦点を向けて目指しているのだと言う。しかし特許は、スキルを磨き、仕事を成し遂げ、それを開始させた後についてくるものだと彼女は述べた。

大量破壊兵器に耐え得る軍服はアル・ムタイリ氏の工場の独自製品であり、サウジや中東諸国の他の衣類メーカーにはない。

サウジ-フランス間の提携企業であるソンドス・ポール・ボーイ社だけが、世界で唯一、世界的に知られる2つの手法を使ってそのユニフォームを製造しているのだと彼女は付け加えた。「手法のひとつは、世界で1社により生産されている多孔質繊維を使うもので、もうひとつの手法は、別の専門企業が製造する球状繊維を使用しています」。ソンドス・ポール・ボーイ社はまた、耐火ユニフォームも製造している。

アル・ムタイリ氏の会社は、近いうちにユニフォームの輸出にも乗り出したいと考えている。

彼女の工場には現在170名の従業員がいるが、新規拡張の一環として新規に213名を雇い入れる予定だ。

従業員の多くは女性だと彼女は付け加えた。「サウジの女性たちは、いち早く自分の仕事を終わらせ、もっと作業が欲しいと要求し、あらゆる努力をして外国労働者たちの部署を奪い取ってしまうからです」。

これは他の労働者たちにとって、工場の生産ラインで作業する49名のサウジ女性たちのスピードと成果についていこうとするプレッシャーにもなっていると彼女は言った。

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