Hebshi Al-Shammari
リヤド:詐欺師らはソーシャルメディアサイトや偽の求人情報を活用して、無防備なサウジ人から大金をだまし取る新たな方法を編み出している。
サウジの多くの企業が技能労働者の増加に取り組む中、サウジ人はよりよい就労機会を求めて、仕事探しのために特別な求人サイトを使用している。
この数日間、LinkedInで人材会社を通じてNEOM Companyという会社の仕事に応募したAmmarさんという若い男性の動画がソーシャルメディアで広く拡散されている。
求人情報では、履歴書と身分証の番号を提供するよう指示されていたとAmmarさんは言う。
Ammarさんは人材紹介業者であったはずの人物と話した後まもなく15,000サウジリエル($4,000)をだまし取られたと言い、5分間の動画の中で警鐘を鳴らした。
Ammarさんはその2週間前に仕事に応募すると、1週間以内に「アジア系」の人物から面接の電話がかかってきたという。面接では職歴や給与等、通常の就職面接で聞かれるような、普通の質問を受けた。
「その人物はとてもプロフェッショナルな態度で、英語も流暢でした」とAmmarさんは語る。「私は候補に残ったということで、1週間以内に2回目の電話面接を行うのでそのつもりでいるようにと言われました」
しかし担当者は、面接プロセスを完了するため、Ammarさんの携帯に送信された番号を教えるよう求めた。AmmarさんはLinkedInで応募した当の会社から送信されてきたその番号を受信すると担当者に送信したが、そこから先はお察しの通りだ。
Ammarさんは、詐欺師が彼の名義で15,000サウジリエルの融資を引き出すことができたと知った。また、Ammarさんの友人10人も同じ手口でお金をだまし取られたと警告を発した。
「詐欺師らは同じ手口で私のような人をたくさんだましているに違いない」とAmmarさんは語る。
「同じ手口でたくさんの人をだましているに違いない」
サウジ中央銀行(Saudi Central Bank、SAMA)は26日(金)、Ammarさんの話を受け、同行が詐欺について認識しており、調査を開始したという声明を発表した。
声明によると、SAMAは詐欺について調査するチームを発足し、動画で指摘された金融機関はSAMAの認可を受けた企業で、フィンテックサービスを通じたマイクロファイナンス事業の認可を受けているという。
このマイクロファイナンス会社は詐欺防止のための是正措置を取るよう指導を受けた一方、SAMAは本件について調査を進め、予防措置を促進すると述べた。
SAMAはサウジ国民に対し、身元が確認できない第三者には個人情報を提供しないよう警告を発した。不審な取引が見られた際には、プラットフォームを通じて治安当局およびSAMAに報告しなければならない。
サウジ弁護士協会会員のKhalid Alyehyaは、問題の動画では十分な証拠が挙げられておらず、両者がどのように遠隔で契約を結んだのか説明に欠けると警告している。
説明が必要なもう一点は融資額が入金された口座についてで、この口座が応募者のものか詐欺師のものかという点だ、と述べた。「何らかの動きが感じられ、説明が求められる」とAlyehyaは語る。
Alyehyaはさらに、「動画の人物は仕事に応募してから、自分の名前がマイクロファイナンス会社の債務者リストに載っていることを知ったと言っている。具体的に何が起こったのか特定できるまでの間、さまざまな疑問が頭に浮かぶ」と続ける。
「金融法ではeファイナンスが許されているだろうか?電子コピーを送信すれば可能なのかもしれないが、契約書の署名は?契約書に署名するには、契約を結ぶ法的能力があることを確認するために身分の証明が必要となるので、その場に出向く必要がある」
Alyehyaは、調査が完了する前に契約当事者に怠慢や落ち度があったことを確認するのは難しいだろうと語った。
元金融省上級コンサルタントのSalih Al-Sultan博士は、ペースが速い現在のオンラインのライフスタイルを鑑み、電子詐欺の調査を進めることが重要だと語った。
Salih Al-Sultan博士は、SAMAとサウジ・データAI庁(SDAIA)等の情報機関は共に取り組み、他国の中央銀行の経験から学ぶべきだと語り、マイクロファイナンス会社にはITを利用した詐欺やその手口についての知識が求められるべきだとしている。