
フランク・ケイン
ドバイ: サウジアラビアからの「世紀の売却」となるサウジアラムコの株式新規公開は、世界最高収益企業の価格設定詳細と正式評価額の発表で最高潮に達した。
同王国は、アラムコの株式計30億株分(全株式の約1.5%)を1株あたり30~32サウジアラビア・リヤル(870~930円)という価格で売却する予定だ。これにより時価総額は1.6~1.7兆ドルとなり、アラムコは歴史上最も価値のある企業となる。
投資専門家たちは、この価格設定がアラムコの価値の最高推定値よりも低いものであったため、同王国と金融界の間の「妥協点」としてこれを歓迎した。
ノムラ・アセットマネジメント・ミドル・イーストのCEOタレック・ファドラーラー氏は次のように述べている。「私が最初に受けた印象は、この価格が賢明な妥協であり、このおかげで本IPO株は売れるだろうということです。」
価格帯と売却株式数を設定することにより、「ブックビルディング」プロセスが始まる。このプロセスの中で、アラムコとその顧問らは、株式の最終的な売却価格水準を決定するために、潜在的な投資家と協議をし、機関投資家や個人投資家からの入札を待つのだ。
最終的な価格の決定は12月5日に行われ、その後ほどなくしてサウジ証券取引所で取引が開始される予定だ。
サウジアラビア国民、居住駐在員、アラビア湾諸国の国民などの個人投資家は、32サウジアラビア・リヤルという単価にて購入希望株式数を決定し、申し込みがすべて通るかどうかを見守る必要がある。
最終価格が価格帯上限よりも低く設定される場合、投資家は払い戻しを受けるか、同等の価値になるまで追加の株式を取得することができる。アラムコは、「ロードショー」を介した特定の市場での株式販売を行わないことを決定した。リヤド市場の規制緩和により、外国人投資家がサウジ証券取引所で株式を購入できるようになるからだ。
IPOでの株式の売り出し規模は240~256億ドルとなり、アリババが2014年にニューヨーク証券取引所で打ち立てた株式発行の現在の記録を破ることになる。
この株式売却による収益は、ビジョン2030改革計画の下でサウジアラビア経済の多様化への投資に充てられるのだが、需要に応じてさらに高くなる可能性がある。価格安定化メカニズムの一環として、顧問に大量の追加株式が割り当てられるからだ。
アラムコはまた、報奨制度のために従業員用の株式10億ドルを購入することも確約している。