
ラワン・ラドワン
ジェッダ:エジプトの映画やテレビのスターは長らくサウジアラビアの人々にとってインスピレーションの源泉だった。その最たるスターが、数十年に及ぶキャリアの中で70本以上の映画に出演し、数々の賞を受賞してきた女優のライラ・エルウィ氏だ。
ドラマチックなファッションセンスと美貌を兼ね備え、印象的なブロンドのカールのエルウィ氏は、1980年代から90年代に育った、小さな箱型テレビでアイドルを目にするチャンスをめったに逃さなかった新世代の人気スターだった。
1970年代に銀幕デビューを果たしたエルウィ氏は、アーメド・ザキ、ファルーク・アル・フィシャウィ、アーデル・イマーム、カマル・アル・シナウィ、フセイン・ファハミ、ライラ・シドゥキ、マーバット・アミン、イサード・ユニスといったエジプト・エンターテインメント史に輝かしい足跡を残す面々と、映画、コメディ、ドラマで共演した。
エルウィ氏は素晴らしい演技で名を上げ、エジプト国内外の映画祭で次々と賞を獲得した。
このたびエルウィ氏はジェッダで開催されている紅海国際映画祭の4日目に講演を行い、サウジアラビアの新世代の映画製作者に向けて、次はあなたたちが舞台に立って脚光を浴びる番だと呼びかけた。
「この地で起こっている変化を誰もが感じています。これはより良い方向への変化、よりイノベーティブなものを求める変化であり、私は若い世代の監督や男優・女優などの方々から素晴らしいものが生まれてくると信じています」
「みなさんはアラブとサウジの映画界に変化をもたらすことになるのですから、自らチャンスをつかみ取る必要があります」
エルウィ氏は、映画界のリーダーによるトークや質疑応答を行うマスタークラス・セッション・シリーズの一環として講演した。
12月9日、エルウィ氏は表舞台に立ち、見る人に笑顔をはじけさせながら、サウジアラビアの人々がこの映画祭に参加し、映画やトーク、ワークショップが人気を博していることを確認できて、とても幸せだし誇りに思うと語った。
エルウィ氏はキャリアの中でぶつかった課題について話し、「自分の行動や反応を制御するハイレベルのスキルを求められ、自分とは異なる人格を演じる」俳優という職業は、最もきつい職業の一つだと語った。
エジプト人女優は、自ら務めたいくつかの重要な映画の役についての洞察を語り、この業界で40年を過ごしても今なお演技への愛は強烈だと述べた。
新進俳優にとっての課題として、エルウィ氏は特に脚本に関して、10年が経過したら脚本の読み方が変わることを指摘した。
「私の場合は時とともに知識が深まり、脚本の内容をよく理解できるようになり、シーンの視覚的イメージも明確になりました。これは忍耐と学習を通じて身に着けていくものです」
最初の頃はたいへんだったそうだが、「それぞれの役を愛する方法を学びました。出会ったそれぞれの作品に愛情を抱いて、ストーリーや自分が演じる役を受け入れるようになります」と語った。
そして、エルウィ氏は、「女優としての私の役割は映画を完成させることです。自分の役割を理解すれば、その役の中に分け入っていくのは容易になります。そこには脚本家と監督の最高の魔法が込められています。メッセージがわかったら、女優はそれに何も付け加える必要はないのです」と語った。
エルウィ氏は、「時にはアドリブで、演じている役にひねりを加えるのも悪くありません」と述べて、「ストーリーをよく呑み込んでおり、監督との関係が良好なら、うまくいくでしょう」と付け加えた。
「協働関係であり、お互いに補完します。これが成功の方程式です」
エルウィ氏は、アブラ・カメル、ダラル・アブデル・アジズ、カレド・アル・ナバウィと共演した2001年のテレビドラマ「ハディス・アル・サバー・ワル・マサー(朝夕の会話)」での自身の役を思い起こした。このドラマはノーベル賞作家ナギーブ・マフフーズ氏の小説をもとに、あるエジプトの家系の何世代にもわたる生活を描いた作品である。
脚本は申し分なく、今でもファンや業界の専門家から幅広く賞賛を受けているという。
「脚本が明確で、最高の形で書かれていたら、あらゆる点で完璧さが約束されます。俳優から制作、セット、照明、衣装に至るまで、すべての要素が補完し合います。完璧な循環です」
エルウィ氏は、監督の話に耳を傾けることの大切さを強調した。「俳優は俳優であり、独自のビジョンを持っています。しかし、監督の指示や指導を受け入れて、自分のスキルを発揮することが必要になります」