Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

サウジ皇太子のインド訪問 見解と利害の一致が注目の的に

2023年9月9日にニューデリーで開催されたG20首脳会合に出席している、サウジアラビアの首相ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下(前列左から4番目)、インドのナレンドラ・モディ首相(中央)、米国のジョー・バイデン大統領。(サウジ国営通信)
2023年9月9日にニューデリーで開催されたG20首脳会合に出席している、サウジアラビアの首相ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下(前列左から4番目)、インドのナレンドラ・モディ首相(中央)、米国のジョー・バイデン大統領。(サウジ国営通信)
2023年9月9日にニューデリーで開催されたG20首脳会合で、インドのナレンドラ・モディ首相と握手を交わすサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下。(POOL / AFP通信)
2023年9月9日にニューデリーで開催されたG20首脳会合で、インドのナレンドラ・モディ首相と握手を交わすサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下。(POOL / AFP通信)
Short Url:
10 Sep 2023 06:09:53 GMT9
10 Sep 2023 06:09:53 GMT9
  • ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下のニューデリー公式訪問は、2019年2月の訪問に続き、2回目となる
  • G20首脳会合のサウジ代表団を率いる皇太子殿下は、サウジ・インド投資フォーラムの共同議長を務める

サンジャイ・クマール

ニューデリー:サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は9日朝、G20首脳会議出席およびインド公式訪問のためにサウジ代表団を率いてニューデリーに到着した。

インド外務省は9日の声明の中で、11日にサウジ・インド戦略的パートナーシップ協議会の第1回リーダー会合が開かれ、皇太子とインドのナレンドラ・モディ首相が共同議長を務めると述べた。

G20首脳会議に臨むサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相。2023年9月9日、ニューデリー。(X: @Bandaralgaloud )

同省は次のように述べた。「この会合では、戦略パートナーシップ協議会の2つの閣僚委員会(政治・安全保障・社会・文化協力委員会および経済・投資協力委員会)のもとで達成された進展について振り返る」

「政治関係、安全保障関係、防衛関係、貿易・経済関係、文化関係、国民と国民の関係を含む二国間関係のあらゆる側面について議論する。両首脳は相互の関心事である地域・国際問題についても話し合う」

ムハンマド皇太子によるニューデリー公式訪問は、サウジ・インド関係を新たな高みに引き上げた2019年2月の訪問に続き、今回が2回目となる。

同年10月、モディ首相はお返しにリヤドを訪問し、両国は二国間関係を管理する戦略パートナーシップ協議会を設立することで合意した。

歓迎式典で儀仗兵を閲兵するサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(左から2番目)。2019年2月20日、ニューデリーの大統領官邸。(AFP/ファイル)

サウジ・インドの戦略的パートナーシップは4つの分野(政治・安全保障・社会文化関係・防衛)に焦点を当てているが、協議会は投資、経済パートナーシップ、テロ対策などの分野における二国間関係も統括している。

皇太子による今回の訪問は、世界の経済大国が集まる重要な年次会議であるG20首脳会議に続いて行われるということもあり、経済が主な焦点になるとみられる。また、この訪問に合わせて9月11日にニューデリーでサウジ投資省との共同主催でサウジ・インド投資フォーラムが開かれる。

このフォーラムは、「ビジョン2030」および「国家投資戦略」に沿ってサウジアラビアへの投資を誘致するためのイニシアティブの一環である。

ニューデリーのオブザーバー研究財団で戦略問題プログラム研究員を務めるカビール・タネジャ氏はアラブニュースに対し、「これは多くの理由から非常に重要な訪問だ」と語る。「インドがG20の直後に皇太子を迎えるという事実が、この訪問の重要性を示している」

「インドとサウジアラビアの二国間関係には複数の面があるが、現在の最優先事項は経済だと思う」

両国は外部の投資家や「それぞれの国民の経済的繁栄のために連携できる同志国」を見つけようとしているが、経済が多くの物事の核心となっている世界の地政学的状況の中で協力を行おうともしていると同氏は指摘する。

G20首脳会議に出席するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相。2023年9月9日、ニューデリー。(SPA)

タネジャ氏は次のように語る。「地経学は地政学に勝るとも劣らず重要だ。そして今は地政学自体もある程度は経済とリンクしている。あるいは少なくともそうなりつつある」

「だから、これは両国が腰を据えて経済について話し合う絶好の機会だ。投資に関する特別な円卓会議が開かれるとも聞いている」

皇太子による訪問の際にインド側からは提起される可能性が高いもう一つの重要な問題はエネルギーだ。タネジャ氏によると、インドが石油輸入への依存度を高めていることは「インドにとって、対処しようとしているあらゆる種類の地政学や地経学において考慮に入れなければならない問題」だという。

G20首脳会議のセッション開始前に手を取り合うインドのナレンドラ・モディ首相(右から2番目)、米国のジョー・バイデン大統領(右)、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相。2023年9月9日、ニューデリー。(POOL/AFP)

サウジ・インド関係は皇太子による初訪問以降急速に進展したが、インドがG20議長国を務める2023年を通した両国間の関与によってそれがさらに強固なものとなっている。

ワシントンD.C.の中東研究所で戦略技術ディレクターを務めるモハメド・ソリマン氏はアラブニュースに対し、「今回の訪問は、様々な世界的問題におけるインドとサウジアラビアの共通の利害の高まりを浮き彫りにするものだ」と指摘する。

「両国は、地域の安定・統合、エネルギー安全保障、経済連携などにおいて積極的に協力している。2020年にG20議長国を務めたサウジアラビアはG20において重要な役割を果たしている」

「今回の訪問は、エネルギー、気候変動、経済協力などの世界的諸問題に対するサウジアラビアの見解を強調し、G7以外の国々の多様な観点を受け入れるG20の努力における主要プレイヤーとしてサウジアラビアを位置づける機会も提供する」

特に人気
オススメ

return to top