
フランク・ケイン
ドバイ:ディルイーヤ・ゲート開発局(DGDA)は、設立当初から環境への配慮をその構造自体に根付かせており、歴史的な伝統とハイテク、そして近代的な投資理論が融合した組織となっている。
400億ドルが投じられるディルイーヤの大規模整備プロジェクト。そのミッションステートメントは次のように述べている。「気候変動に強いことで知られるサウジアラビア王国内に、観光客と自国民双方に魅力的な世界的にも一流のエリアを作り出します。そして、わが国の文化遺産の魅力を広く訴え、繁栄し活気に満ちた健康的な地域社会を育て、高い生活レベルを実現し、公平性の高い社会を作っていきます。」
ESG(環境、社会、ガバナンス)の要素は、サウジアラビアの「ビジョン2030」のさまざまなプロジェクトで取り入れられているが、ディルイーヤの開発はその中でも最重要クラスに位置づけられるものだ。
しかし、現代的な快適さと利便性を求める数百万人の観光客に、18世紀のナジュド王国のルーツにできるだけ忠実な環境の中で満足してもらうのはレベルの高い課題であり、ディルイーヤのプロジェクトを担う建築家やデザイナーたちも当初から知恵を絞っていた。
「サウジアラビアの豊かな歴史を踏まえながら、マスタープランでは、過去300年のナジュドの建築を21世紀の生活に合わせて新しくアレンジしています。泥レンガの壁、地元産の材料、長い歴史を持つヤシの木立、農場などが、世界レベルの文化、エンターテインメント、ショッピング、ホスピタリティ、教育、オフィス、住宅地などと完璧な形で一体化し、サウジアラビアの文化と商業の中心地となるでしょう」とディルイーヤ・ゲート開発局はアラブニュースに述べている。
プロジェクトのデザインは、在来種の植物の広範囲にわたる使用、水の消費量を減らすための「点滴灌漑」技術、ディルイーヤで進行中のすべての建設工事における再利用排水の利用など、さまざまな工夫を取り入れている。
また、異常気象時の洪水を回避する、最新の下水プラントと雨水インフラも整備されている。
プロジェクトは完成時には緑豊かな環境を実現、環境に配慮したビルやコミュニティ施設の中に公園やオープンエリアが設けられる予定。リヤドの真夏時でさえも、専門家が言うところの「熱的快適性に優れた屋外環境」を提供していく。
「開発全体にこの地域に固有の建築スタイルを取り入れることで、地域社会そのものが、社会・環境の両面における持続可能性に対する現実的なアプローチを体現し、また気候条件に柔軟に対応しつつ、この地域の人類学的な歴史を反映していくことになるでしょう」とディルイーヤ・ゲート開発局は説明している。
ディルイーヤ開発のエリアおよび計画は、2020年にサウジアラビアの環境監視機関である国立環境コンプライアンスセンターの検査を受け、承認された。同センターは、「環境当局は、ディルイーヤ・ゲート開発局の環境コンプライアンスへの取り組みと、同局がすべてのプロジェクトに最高の基準を適用していることを認め、その努力を称えました」とコメントしている。
また、ディルイーヤのプロジェクトおよび関連するワディ・サファールの整備のマスタープランに対する環境影響評価も実施され、最高の環境基準に準拠していると認定されている。
これらに加えて、環境のモニタリングのためのコンサルタントを雇用し、プロジェクトが環境規則に従い、現場の請負業者もベストプラクティスを遵守していくことを確実にしている。
一方、このプロジェクトは、環境基準の保持を最優先にしながらも、伝統的なデザインの良さを損なわないよう計画されている。
「中庭を中心にした内向きの建物の設計には、この地域の厳しい気候を、日陰で囲まれた涼しい内部環境で和らげる効果があるのです」とディルイーヤ・ゲート開発局は述べている。
同開発局の環境と持続可能性への取り組みは、国際的なベストプラクティス、革新的な技術、持続可能性の認証目標をすべてのプロジェクトに組み込むことで、環境コンプライアンスを超えた水準を目指している。「私たちは、コミュニティや建物のレベルからも、環境パフォーマンスと持続可能性の水準を上げていきたいと考えています」と開発局は述べている。