マナール・エルバス

ドバイ：この23年の間、日本の声優である三瓶由布子氏は中東で最も愛されるアニメキャラクターたちに声をあててきた。

三瓶氏は、アラブ世界で最も人気のあるアニメ番組のひとつである『キャプテン翼』の主人公、大空翼の声優を務めた。アラブニュースが実施したYouGov調査によると、アラブのアニメファンの75%が、中東では『キャプテン・マジッド』として広く知られるこのアニメを今までで一番好きな作品として挙げている。

彼女は2018年にこのアイコニックなキャラクターの声をあてた。「非常に歴史のあるプロジェクトに取り組むことに、いくらかプレッシャーを感じます」と、彼女はアラブニュース・ジャパンに語った。「私たちはこのアニメをリメークし、今の世代に合う現代的なものにしようとしています。リメークするという決断について原作漫画の作者との話し合いもしました」

三瓶氏は、このアニメの国内外での成功を非常に嬉しく思っていて、このアニメが世界中の子どもたちに感動を与え続けることを願っていると語った。「私たちは、若い世代にこのアニメを見て、サッカーの魅力に気付いてもらいたいと思っています」

彼女は、ナルトの息子であるボルトの声優も務めており、このキャラクターに深く共感している。「彼は自分の父親をねじ伏せて、自分の夢を追おうとしています」と、彼女は語った。

彼女は、この2人のキャラクターは心を揺さぶるので、アラブの視聴者の共感を呼ぶと考えている。「忍者であることとサッカー選手であることはまったく違いますが、2人とも自分の夢を追いかけています」と、彼女はアラブニュース・ジャパンに語った。「人々は彼らのひたむきさを見て、応援したくなるのだと思います」

「彼らがいかに懸命に挑戦しているかを目にすると、ひたすらに成功してほしいと思うのです。どちらのアニメでも、彼らは一生懸命に夢を追っています」と、彼女は加えて述べた。

声優を目指すアラブの人々に対する彼女からのアドバイスは、自分を信じ、さまざまスキルを学ぶことだ。「声優の世界は面白いものです。人生においてたくさんの経験をして、それを自分のキャラクターに反映させなくてはなりません。自分のスキルは何なのかを知る必要もあります」と、アラブニュース・ジャパンに語った。

三瓶氏にとって、他の声優と差をつけられるスキルは、その太い声と声域で、これにより彼女はキャラクターを通して感情を表現することができる。23年のキャリアにわたって、彼女は主に男性キャラクターに声をあててきており、直近では『呪術廻戦』の第2期に登場する憂憂（ういうい）や、ゲーム『原神』のミカを演じている。

「声優としての初めての役は少年でした。私の声は女性としてはかなり低く、これは才能だと思っています」と、彼女は語った。「適切な感情を伝えて、気持ちを視聴者に示すことができる限り、誰が少年や少女の声をあてても問題ないとすぐに気付きました」

三瓶氏はこの12月に初めてアラブ首長国連邦（UAE）を訪れ、タイムズ・スクエア・センターのSpeedy Comicsでボルトのファンとの交流会を行った。「ここでの時間を本当に楽しんでいます」と、彼女はアラブニュース・ジャパンに語った。「ここで会った誰もがとても温かくフレンドリーでした」

商品に彼女のサインをもらうため、何十人ものファンが申し込みをしたことに、彼女は非常に感謝している。「日本のアニメを応援してくれて本当にありがとうございます。皆さんに楽しんでもらえるよう、たくさんのさまざまな作品に取り組み続けたいと思っています。これからも日本のアニメを観てください。私が演じるキャラクターを見守り続けてもらえることを願っています」