



リヤド:サウジアラビアのアーティスト、ハレド・マクシュシュ氏は、ピクセルデザインを極めて使いこなすことで、サウジアラビアの情景を、私的で落ち着きのある現代的なアートの形に再構築している。
インディーズやレトロスタイルのビデオゲームでは、カラフルで視覚的なデザインを作るためにピクセルデザインが使われるが、リヤドを拠点とする同氏は、タブレットとタッチペンを使って、クレーンのある工事現場から首都の象徴的な通り、テラコッタ色の静謐な砂漠まで、さまざまな光景を切り取っている。
マクシュシュ氏はアラブニュースに対し、自国の変貌と複雑さに活力をもらっていると語った。「私はリヤドの都市景観や産業の様子、サウジアラビア全般の砂漠の風景にインスピレーションを受けています」。
彼の芸術には、その創作過程から生み出される伝達力がある。彼は 「私のアートでは、場所の雰囲気を探求します。例えば、ある場所が私に何かを感じさせるとしたら、その場所の何が私にその感情や感覚を感じさせているのかと自問します。そして、その感じを表現するような架空の場所を創り出すのです」と説明した。
色彩はマクシュシュ氏の芸術の大きなテーマだ。彼は鮮やかなパレットを混ぜ合わせ、大胆で人目を引く絵画を生み出す。
「通常は、絵の感じや雰囲気を示す数色から始めて、その後に、その感じを加えたり補ったりする他の色との関係を見つけようとします」。
マクシュシュ氏のアートは、リヤドの急速な発展にインスパイアされ、この首都の賑やかな都市生活を表現している。「世界に対する私の個人的な感覚を追い求めることで、自分の生活や文化が有機的に現れるように心がけています」と彼は語った。
都市の風景の中へと足を踏み入れることが彼の創造的な想像力を刺激し、出会った光景や瞬間が作品の題材となる。「リヤドを歩いたり運転したりすることは、いつも私にインスピレーションと作品のアイデアを与えてくれます。この街が急速に変化している様子を見るのは興味深いし、私がいつも表現したいと思っている独自の雰囲気もまだ残っています」。
全てが急速に動き変化している今、ある特定の時代に人々がどのように感じていたかを見て理解することが大事なんです。
サウジアラビアのアーティスト、ハレド・マクシュシュ氏
「リヤドに関する最初の作品『夕方に入るころ』は、街の中で日没の最後の段階を見ることをテーマにしており、直近の作品『クレーンたち』は、リヤドで見かける巨大で背の高いクレーンと、夜間にそれらがまるで光り輝いている様子にインスパイアされたものです。題材はまったく違いますが、一つの都市であるところがが気に入っているんです」。
マクシュシュ氏は、既存のものからインスピレーションを受けつつ、独自の新しい世界を創造する。彼の作品は、リヤドで目にするものを単に複製するのではなく、サウジアラビアの本質を捉えながら、そこに彼独自の解釈を加えていく。「これらの絵のほとんどは想像上のものです。これらのサウジアラビアの風景は全て実際に存在するものではありませんが、それでも人々が親しみを感じてくれるのは嬉しいことです」。
彼は、地元コミュニティから励まされるようなフィードバックを受けていると言う。「リヤドの風景を描くと、『ほとんど場所を知っているように思うけど、正確な場所は分からない』と言ってくれる人がいるのは、いつも面白いと感じますね」。
マクシュシュ氏によれば、芸術は社会にとって重要であり、その理由は私たち自身について教えてくれるからだという。「特に、全てが急速に動き変化している今、ある特定の時代に人々がどのように感じていたかを見て理解することが大事なんです。物事がどのように見え、人々がどのように感じ、どんなムードだったか、人々がどのように物事を見ていたのか…芸術はこうした疑問に答える最良の方法なのです」。