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日本の「男性的」能楽界に女性が参入

写真は2024年2月27日、東京の国立能楽堂で行われた能楽師・柏崎真由子さんによる「道成寺」のゲネプロ。(AFP)
写真は2024年2月27日、東京の国立能楽堂で行われた能楽師・柏崎真由子さんによる「道成寺」のゲネプロ。(AFP)
写真は2024年2月27日、東京の国立能楽堂で行われた能「道成寺」のゲネプロに臨む柏崎真由子(左)。 (AFP)
写真は2024年2月27日、東京の国立能楽堂で行われた能「道成寺」のゲネプロに臨む柏崎真由子(左)。 (AFP)
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07 Mar 2024 01:03:47 GMT9
07 Mar 2024 01:03:47 GMT9

東京:着物姿の柏崎真由子さんが、小声でセリフを言い、邪悪な蛇に変身する。

何層にも重ねられた衣装と精巧な手作りの面を使う能は、現存する最も古い演劇形式のひとつであり、その起源は8世紀にまで遡る。

歌舞伎や相撲とは異なり、能は100年以上前から男女を問わず演じられるようになった。

しかし、能楽界で女性の存在は未だ珍しく、父親から息子への芸の継承が根幹をなす世界である

能楽師協会に登録されている1,039人の能楽師のうち、女性はわずか15%しかいない

そして、女性能楽師が舞台に立つ機会は限られていると柏崎氏はAFPに語った。

「その理由のひとつは、能楽の観客の年齢層が一般的に高く、能楽を男性的な芸術として見ることが多いからです」と彼女は言う。

しかし今こそ、「女性が能の未来について考え、その未来を築く役割を果たす」時なのだ。

柏崎氏は先週末、東京の国立能楽堂で、裏切られた女性の復讐を描いた有名な作品『道成寺』の主役を演じた。

扇子を持ち、鶴のモチーフが刺繍された重厚な装束を身に着けた役者は、面をかけ、物語がゆっくりと展開する中、謡を謡う。

お寺の鐘を模した大道具に勢いよく飛び込んだ後、彼女は荒々しく燃えるような赤い髪を持つ悪魔のような大蛇のキャラクターに変化して現れた。

今回、柏崎氏は師匠である金春安明氏(72歳)の勧めもあり、可能な限り多くの女性演者を『道成寺』に出演してもらおうと考えた。

「『道成寺』は能役者にとって非常に重要な作品です」と同氏は言う。

「このような機会に恵まれたからこそ、他の女性能楽師と一緒に上演できたらと思いました」

小鼓方大倉流の大山容子氏は、「ここまで囃子方に女性が多いのは珍しい」と語った。

「女性であることだけでなく、そのほとんどが能楽師としては若く、この公演をより特別なものにしています」と彼女は語った。

しかし、能の脇役である「ワキ」(多くの場合、僧侶や神主の役)などは、女性がいないため男性が演じている。

「ワキを演じる女性はいません……ずっとそうでした」と柏崎氏の師匠である金春安明氏はAFPに語った。

柏崎氏が能に出会ったのは学生時代。

彼女はその叙情的なドラマと、最小限の舞台で展開される様式化された美に魅了された。舞台の後ろに描かれた松の絵が、通常唯一の装飾である。

「この芸術に魅了され、自分自身がこの世界に入ることでしか、能を本当の意味で理解することは出来ないと思った。」と彼女は言う。

柏崎の最初の師匠は、能役者になることを思いとどまらせようとした。

現在ユネスコの「無形文化遺産」に認定されている能は、1336年から1573年までの室町時代に現在の形に発展した。1603年から1868年までの江戸時代には、将軍家の庇護を受けて能の人気が高まった。しかし、個人の自由を抑圧する政府の風紀規則により、女性は舞台から遠ざけられていた。

19世紀末になって初めて、女性は再び能に出演することが許されたが、プロとして認められるには1948年まで待たなければならなかった。

「男性にも女性にも素晴らしい能楽師はいますが、世間は特定のタイプの能を求める傾向があり、能はこうあるべきだという固定観念があります」と柏崎氏は言う。

機会がないために、役者はキャリアアップのための経験を積むことができず、「悪循環」に陥っている、と彼女は言う。

土曜日の公演に足を運んだ観客の家田和明さん(40)は、「とても興味深く、興奮した。これが能の未来かもしれない。」と熱く語った。

AFP

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