

アブダビ: アブダビ・フェスティバル2025は、日本の豊かな音楽遺産を祝う重要な意味を持つ、特別な開幕コンサートで幕を開けた。
「Abu Dhabi – A World of Harmony」をテーマとする今年のフェスティバルは、UAEと日本の友好・外交関係50年余を記念するもので、尊敬を集める佐渡裕マエストロの指揮の下、新日本フィルハーモニー交響楽団による歴史的な公演が行われる。
公演に先立ちアラブニュース・ジャパンのインタビューに応じた佐渡氏は、伝説的指揮者レナード・バーンスタインと小澤征爾から受けた貴重な指導について振り返った。
バーンスタインはより表現的なアプローチを奨励した。
「小澤は正確な動きで私を鍛え、バーンスタインは警察官を挑発するような厳しいジェスチャーを教えた。2人とも私に音楽への愛を植え付けてくれました」
63歳になった佐渡氏は、プロの音楽家だけでなく、アマチュアの音楽愛好家を含む幅広い聴衆にとっても、オーケストラ音楽が親しみやすく刺激的であり続けることを保証し続けている。
大陸をまたぐキャリアを持つ佐渡氏は、パリから京都までオーケストラを指揮してきた。ウィーンで過ごすことも多いが、佐渡は自身の芸術性に日本の伝統が影響していることを認めている。
「意図的に日本の要素を演奏に取り入れているわけではないですが、寺や神社に囲まれた京都で育ったことが、自然と音楽の解釈を形作っています」と彼は説明した。
アブダビ音楽祭では、佐渡氏と新日本フィルハーモニー交響楽団がこの相乗効果をステージで発揮した。
プログラムはチャイコフスキーとプッチーニの作品に加え、芥川也寸志の 「Triptyque 」を特別演奏した。
「この曲は忍者のように速く、遅く、予測不可能な動きをしまあう。日本の音楽エネルギーのエキサイティングなショーケースです」と佐渡氏は語った。
佐渡氏と彼のオーケストラは、アラブ首長国連邦を探索するためにアブダビに到着した。
「シェイク・ザイード・グランド・モスクを訪れましたが、息をのむような美しさで、これまで見た中で最も印象的な建築物のひとつでした」とアラブニュース・ジャパンに語った。
エミレーツ・パレスでのフェスティバルの初日コンサートは、新日本フィルハーモニー交響楽団のアラブ世界デビューとなった。国際的に有名なテノール歌手ジョナサン・テテルマンとピアニストの反田恭平の伴奏で、オーケストラは結束力を示す演奏を披露した。
「日本のオーケストラは団結力があることで知られています。それが、今夜アブダビの聴衆に感じてほしいことです」と佐渡氏は語った。
佐渡氏は、世界中のオーケストラとの共演で知られる一方、日本のクラシック音楽シーンの将来にも関心を寄せている。
彼は、ソーシャルメディアによって悪化した、若い世代の注意力の低下について懸念を表明した。
「今の若い人たちは3分の曲に慣れてしまっている。コンサートホールで周りの空気を感じたり、生のオーケストラの迫力を感じたりすることを取り戻す必要があります」と語った。
そのためには、地域社会との関わりを深めることを提唱する。「オーケストラは遠い存在ではなく、人々の日常生活の一部であるべきです。日本では、オーケストラが学校や地元のお祭りに参加し、市民とのより強いつながりを育んでほしい。」