• 中東から参加した複数のデザイナーや企業が、アラブ文化や伝統を強調した作品を発表した

レベッカ・アン・プロクター

ドバイ：毎年恒例の世界最大のインテリアおよび家具デザイナーの集まりであるミラノ・デザインウィークが、今年は4月7日から13日にかけて開催され、アラブ世界から参加した複数のデザイナーや企業が、この権威あるイベントで作品を発表した。

その中のひとつ、2050+と創設者のイッポリト・ペステリーニ・ラパレリ氏がキュレーションとデザインを手がけたグッチの「バンブー・エンカウンターズ」では、ブランドの歴史における竹の役割を探求し、世界中から集められた現代デザイナーによる特別に依頼された作品が展示された。

第二次世界大戦後のイタリアでは、原材料の調達が困難であったため、グッチの創業者グッチオ・グッチは、軽量で弾力性のある竹をバッグの持ち手として使うことを思いついた。フィレンツェの職人たちは、グッチのバッグに竹を取り入れたデザインを支持した。その結果、グッチの象徴的なバッグ「バンブー1947」が誕生した。

「バンブー・エンカウンターズ」で作品を依頼されたデザイナーの一人に、パレスチナ人建築家兼アーティストのディマ・スルージがいる。彼女の竹風バスケット「ハイブリッド・エクサレーション」は、パレスチナのトゥワム家が手作業で採取した竹と繊細な吹きガラスを組み合わせて、レバント地方のバスケット編みの伝統を表現している。作品は、はかない美しさと強靭さを想起させる。

3か月にわたるリサーチ中、スルージはバスケット作りの歴史に魅了された。

「時が経つという考え方、そしてバスケットを編むのに必要な膨大な時間を、世界中の無名の職人たちが本当にゆっくりと費やしているという考え方がとても気に入っています」と彼女はアラブニュースに語った。

「これらのバスケットの一部は、eBayのようなオンラインで見つけたものです。 オークションで入手したものもあり、それぞれが異なる国のものである。 日本の花かご、フィリピンの魚かごや卵かご、1940年代にベトナムから入手した英国紳士の第二次世界大戦時の帽子もある」

スルージは、パレスチナのガラス職人たちと協力して制作した吹きガラスの作品と組み合わせることで、それらを遊び心のある有機的な形に変えた。彼女が10年前から一緒に仕事をしているトゥワム一家は、エルサレムの北東、ラマッラーとエルサレムの中間に位置する歴史ある村、ジャバに拠点を置いている。

「ガラスとカゴの組み合わせは、私のスタジオで起こりました。すでに編み上げられたカゴにガラスを編み込んでいくうちに、それらはまるで生き物のように見えてきたのです」とスルージ氏は語った。「それらは風通しが良く、遊び心があり、それぞれに（ガラスに）埋め込まれた思い出があります。それぞれが世界の異なる地域から異なる物語を語っており、特にこのような暗い時代において、喜びについて考え、パレスチナの伝統の歴史を祝う重要な瞬間なのです」

ドバイ・デザイン・ディストリクト（d3）にオフィスを構えるイゾラ・デザイン・グループによるイゾラ・デザイン・フェスティバルでは、アラブ諸国から参加した新進デザイナー数名が作品を発表した。そのうちの一人、ヨルダンのデザイナー、ビクトリア・ダブドゥブは、真鍮のパーツで繋ぎ合わせた複数の手で形作られた石の塊で構成された初のコレクション「Stone Objects: A Study of Core Solids」を発表した。その結果、エレガントで遊び心のあるキャンドルホルダーが完成した。このキャンドルホルダーは、いくつかのパーツを組み合わせて自分だけのディスプレイを作ることができる。

「私の作品はヨルダンとパレスチナの地元の慣習に注目し、地元の職人たちと協力して現代的な作品を開発することを目指しています」とダブドゥブは語った。「私の最初のコレクションは、アンマンで2回にわたって開催したワークショップで制作した石のキャンドルホルダーのコレクションです。1回目は金属細工、2回目は石細工を取り上げました。

彼女は付け加えた。「高品質な製品を現地で生産することが重要だと考えています。石はヨルダン南部の石灰岩で、真鍮は市場で調達しています。おそらくイタリアか他の国からでしょう。ヨルダンで働こうがパレスチナで働こうが、現地の慣習を取り入れるよう努力することが重要です。特に、戦争が起こっていることや、多くの声が顧みられないことを考えると、なおさらです。デザインや工芸品、素材や伝統を通して何かを表現しようとすることは、非常に重要です」

ドバイとミラノを拠点とするクリエイティブスタジオ、Etereoは、人気の「Faraglioni」と「Grottesche」コレクションをフィーチャーした没入型の展示会をNilufar Depotで開催し、ミラノデザインウィークに再び登場する。これらの作品の魅力的なフォルム、素材、色は、デザインと自然、特に地中海で見られる自然との相乗効果を称えるものとなっている。

「ファラリオーニ」コレクションは、ニルファーのために限定生産されたもので、彫刻的なデザインにより、インテリア空間に海の本質を表現している。センターピーステーブル、ダイニングテーブル、コーヒーテーブル、そしてカプリ島の有名なファラリオーニ岩に敬意を表した2つのコンソールテーブルは、時代を超えた自然の驚異と遺産を表している。