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日本の伝統芸能・能楽の舞台はコロナ禍を生き残れるのか

2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台で稽古を行う演者の中森健之介さん(右)と父の中森貫太さん。(AFP通信)
2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台で稽古を行う演者の中森健之介さん(右)と父の中森貫太さん。(AFP通信)
2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台で稽古を行う演者の中森貫太さん(左)と息子の中森健之介さん。(AFP通信)
2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台で稽古を行う演者の中森貫太さん(左)と息子の中森健之介さん。(AFP通信)
2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台でAFP通信の取材を受けた後、ポーズを取る演者の中森健之介さん。(AFP通信)
2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台でAFP通信の取材を受けた後、ポーズを取る演者の中森健之介さん。(AFP通信)
2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台で能面をつけて稽古を行う演者の中森貫太さん(左)と息子の中森健之介さん。(AFP通信)
2020年7月29日に撮影された写真。東京から南西に約1時間の神奈川県の鎌倉にある鎌倉能舞台で能面をつけて稽古を行う演者の中森貫太さん(左)と息子の中森健之介さん。(AFP通信)
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02 Sep 2020 06:09:03 GMT9
02 Sep 2020 06:09:03 GMT9

日本、鎌倉:日本の伝統的な能楽のセリフを練習する中森健之介さんの朗々とした声は、何か月も観客の前で演じることがなかったのにも関わらず、小さな部屋に響き渡る。

優雅な所作で訓練した伝統芸能の動きを稽古する中森さんだが、その落ち着いた外見とは裏腹に能楽の将来を大いに憂いている。

コロナウイルスの大流行で全国の劇場が閉鎖され、他の伝統芸能が民間の支援や国からの補助金に頼っているのに対し、能楽は公演に大きく依存している。

観客や演者はパンデミックの前からすでに減少しており、業界の中には、世界に現存する最古の演劇の1つと考えられている能楽堂に、ウイルスが死の鐘を鳴らすのではないかと危惧する者もいる。

「コロナウイルスのために公演をやめてしまった演者はたくさんいる」と、東京近郊の鎌倉にある一門の能楽堂で中森さん(33)はAFP通信に語った。

「パンデミックの間にどれだけの公演ができるのか…生計を立てられるのか。これは大きな問題です」と中森さんはため息をついた。

いくつかの点で、能楽はコロナウイルスの影響を受けた世界中の芸術と同じ危機に直面している。

一部の国の政府は舞台芸術に補助金を投入しているが、能楽師たちによると、国からの支援はほとんどなく、あっても現実的なものではないという。

公演に対する国からの補助金はあるものの、中森さんによると、社会的距離を確保するために、舞台は半分空席で公演を行わなければならず、補助金があっても公演を行えば赤字になる見通しだという。

中森さんは「舞台に出れば出るほど損失がかさみます」と言い、

「公演が行えないことによる損失を補うための補助金が必要です」と続けた。

能楽のルーツは8世紀にまで遡るが、現在上演されている芝居は室町時代の1336年から1573年にかけて発展したものが多い。

ユネスコの無形文化遺産に登録されている能楽は、舞、音楽、芝居などを必要最小限の方法でまとめたもので、歌舞伎の手の込んだ舞台装置や化粧、衣装とは一線を画している。

演者は木の面と伝統的な着物を身につけ、白い足袋を履いて舞台上をすり足で動く。

公演はほとんど男性の演者だけで演じられ、現代の観客には難解な、低音で伸ばした調子のセリフを発声する。

舞台では太鼓や笛が演者を伴奏する。舞台は伝統的に檜(ひのき)の木で作られ、後ろの壁には一本の松の木の絵が描かれている。

パンデミックの前でさえ能楽の観客は減少しており、能楽に必要な厳しい稽古を受ける若者も少なくなっていた。

日本のもう1つの主要な演劇である歌舞伎は、エンターテイメント・映画の大手、松竹の支援を受けることができる。松竹は1929年からすべての主要な歌舞伎の公演を手掛けている。

また、人形浄瑠璃文楽のような他の芸術も、政府から多額の資金援助を受けている。

「私たちは個人でフリーランスとして活動しているので、財政的支援がないのが問題なんです」と語るのは、中森さんに芸を継承した父・貫太さん(59)。

能楽に使われる小鼓を演奏する大倉源次郎さん(62)は、その才能が認められて人間国宝に認定されたが、人間国宝の認定が大倉さんを危機から救うわけではなかった。

「厳しい状況に追い込まれました」と大倉さんは言う。大倉さんはここ4か月一度も公演に出ていない。

能楽師はアマチュアに教えることで収入を補うことも多いが、この収入源も絶たれている。

大倉さんによると、趣味で能楽を習っている年配の人もいるが、ウイルスの影響で多くがやめてしまったという。

一部のアーティストはオンラインで公演を配信することでロックダウンに対応しようとしているが、中森さんは、能楽はその無駄を取り除いた性質上、配信には向いていないのではないかと危惧している。

生の公演では囃子(はやし)方による掛け声があったり、演者の力強い謡があるので、観客は退屈しないという。中森さんは「しかし、これは動画では伝わりません」と話す。

能楽の将来を心配した中森さんと父の貫太さんは、秋に開催したいと考えている公演で予測される損失を補うために、クラウドファンディングを開始した。

また、チケットの値上げを行い、能楽関連のグッズと引き換えに寄付を募っている。

そして、不安はあるものの、一部の公演を有料配信することも検討しているという。

能楽師は「どうやって公演を収益化するかを考えなければなりません」と貫太さんは言う。

貫太さんは「新しく呼び物となるものを作ったり、新しいファンを呼び込む努力が必要になるでしょう」と続けた。

ネット上での関心が新たなファンを呼び込むことになるかもしれないと貫太さんは期待しているが、ウイルス、特に舞台での集団感染の危険性を依然警戒している。

貫太さんは、長い歴史を持つ能楽の魅力はそう簡単に衰えないだろうと期待している。

とはいえ、息子の健之介さんは、景気の低迷により政府における芸術の優先順位が下がることを危惧している。

健之介さん「能楽は日本の伝統芸能の一部であり、私たちは能楽を守らなければなりません」と言う。

AFP通信

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