
29日、日本の岸田文雄首相が東南アジア歴訪へ出発した。ウクライナ危機についてアジアの対応を主導するとともに、東南アジアでの活動をエスカレートさせている中国に対抗する狙いがある。
政府高官によると、アジア唯一の国としてG7に参加している日本は、ロシアによるウクライナ侵攻について話し合い、東南アジア諸国の対応を一致させたいという思いがある。この地域でロシアに対する制裁を行っているのはシンガポールのみだ。
また日本は、行動をエスカレートさせている中国に関連した安全保障の問題についても議論したいと強く考えている。一方、東南アジア諸国は経済的な関係を失うことを恐れ、日本の主要同盟国である米国と中国との対立激化を避けたいという思惑がある。
松野博一官房長官は28日、「総理は、自由で開かれたインド太平洋を実現するためにさらなる協力体制を築きたいと考えています。また、地域の複数の課題についても幅広い議論を期待しています」と記者会見で語った。
岸田氏はまず、地域の主要な経済国であり、今年のG20サミット(ロシアもメンバー国)の議長国でもあるインドネシアを訪問する。
インドネシアは、来年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国でもある。岸田氏は先月、今年の議長国カンボジアを訪問した。
その後はアジア太平洋経経済協力会議(APEC)の議長国であるベトナムへ行き、欧州へ移動する前にタイを訪問する。
安倍元首相の下で在任期間最長の外相となった岸田氏は、7月に重要な参院選を控えている。政治評論家は、外交手腕を自分の強みの1つにしたいという思いがあると見ている。
日本は来月、いわゆる「クアッド」の枠組みで地域の安全保障について話し合うため、米国のジョー・バイデン大統領のほか、オーストラリアとインドの首相を日本に迎える。
ロイター