Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

アル・トライフの豊かな歴史

Short Url:
22 Sep 2021 09:09:22 GMT9
22 Sep 2021 09:09:22 GMT9

ラマ・アルハマウィ 

リヤド:リヤドの北西に位置する門と城壁で囲われたアル・トライフ地区は、サウジアラビアの最も重要な史跡の一つだ。

アル・トライフのサルワ宮殿の城壁内で、西暦1744年に協議が行われ、その結果第一次サウード王国が建国された。サルワ宮殿は第一次サウード王国の初代支配者ムハンマド・ビン・サウードのために建造されたが、その1万平方メートルに及ぶ宮殿の最終段階は、彼が死んだ翌年の1766年まで完成を見なかった。 

この宮殿はナジュド建築の典型で、建物の屋根には緻密な彫りの施されたクレネレーション(ここから衛兵が周囲の監視を行った)が設けられている。

サルワ宮殿の近くには、商業金融博物館とシバラ・モディという二つの建造物がある。あまり知られてはいないが、訪れる価値のある場所だ。

商業金融博物館には硬貨、宝石、天秤など、第一次サウード王国時代の商取引に関連する遺物が所蔵されており、サウジアラビア王国初期の栄華の名残をとどめている。

シバラ・モディとは、イマーム・アブドルアジーズ・ビン・ムハンマド・ビン・サウード(第一次サウード王国の第二代支配者)の母親モディ・ビン・サルタン・ビン・アビ・ワハタンにちなんで名付けられた公民館だ。当時の主要道路沿いに位置するこの二階建ての建造物には、行商人、学生、困っている人々のためのゲストハウスが置かれていた。

サルワ宮殿の北にはイマーム・ムハンマド・ビン・サウード・モスクがあり、アル・トライフの大モスクとも呼ばれている。このモスクには金曜礼拝に非常に多くの人々が訪れて、中に入りきれなかった人々はサルワ宮殿のモスクに流れた。そこでイマーム・サウード・ビン・アブドルアジーズはこの二つのモスクを結ぶ橋を建築した。ワディー・ハニファを見下ろすこのモスクでも宗教の学校が置かれていた。

アル・トライフのツアーの次なる場所は、ディルイーヤ博物館で、バヌ・ハニファ族が移住してきた西暦400年から、領土と交易を拡張し、アル・サウード王家の家系に至るまでのサウジアラビア王国の歴史をたどることができる。

第一次・第二次サウード王国の歴史的な画像を集めたデジタルギャラリーのほか、この博物館には文書類の複製、当時の硬貨や衣服なども展示されている。一部の例を挙げると、第一次サウード王国最後の支配者イマーム・アブドゥラー・ビン・サウードが身につけていた手の込んだ衣服、第二次サウード王国の建国者イマーム・トゥルキ・ビン・アブドゥラーが所有していたアル・アジュラブの剣の複製などがある。この剣はその歯先についているサビからこの名前が付けられた。

 

ディルイーヤ博物館のすぐ隣にはアラビア馬博物館があり、ここにも第一次・第二次サウード王国時代に遡る多くの遺物が所蔵されている。商取引、戦争、外交など、王国を統一する上で馬たちが担った中心的役割がよくわかる。

この博物館からアル・トライフの中心部に出ると、第一次サウード王国最後の支配者イ マーム・アブドゥラー・ビン・サウードの屋敷であった宮殿が見える。これは彼の父親で「サウード大王」と呼ばれていたサウード・ビン・アブドルアジーズ・アル・サウードの統治時代に建造された。

宮殿の大半はディルイーヤの攻囲戦中、1818年にイブラヒム・パシャによって破壊されたが、残存する壁の厚みから、歴史学者たちはこの宮殿がかつては複数階を持つ巨大な建造物であり、この町を支配していたと推定している。

近くの軍事博物館は、国の統一と第一次サウード王国建国を導いた戦争からの遺物を所蔵している。近くにトゥナヤン・ビン・サウード王子宮殿がある。

トゥナヤン王子はムハンマド・ビン・サウードの兄弟で、ディルイーヤの南西にあるこの巨大な宮殿は、泥のレンガではなく石で築かれた高い壁から、眼下に谷間の眺めを完璧に見下ろすことができる。この宮殿もナジュド建築の見事な一例だ。 

その近くにあるのが伝統建築博物館で、この地区の宮殿やその他の建造物の建設様式を紹介しており、アル・トライフの初期建設に使われた道具や材料の多くを所蔵している。

博物館の裏手にはウマル・ビン・サウード王子の宮殿があり、その複雑で精緻なデザインにより、ウマル大宮殿とも呼ばれている。この宮殿はイマーム・サウード・アル・カビルの息子のウマル王子の屋敷で、アル・トライフの防御門の役割を果たしていた。

ウマル王子とサード王子の宮殿の間には、最も新しくアル・トライフに加わった生活様式博物館がある。そこでは第一次・第二次サウード王国時代に王族以外の住人が居住していた伝統的なナジュド様式の家の複製が見られる。

アル・トライフの宮殿、小道、風化した古壁などは、すべてサウジアラビアの起源を語り伝える豊かな歴史の記念碑だ。

ディルイーヤ: 過去、現在、そして未来
アラブニュース ディープダイブ特別版王国発祥の地へ
Enter
keywords

特に人気
オススメ

return to top