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バイクと500年前の鼓:大倉正之助さんとは

大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。 (shonosukeokura/Instagran)
大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。 (shonosukeokura/Instagran)
大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。(sho-okura)
大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。(sho-okura)
大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。(sho-okura)
大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。(sho-okura)
大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。(sho-okura)
大倉正之助さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。(sho-okura)
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13 Nov 2020 06:11:42 GMT9
13 Nov 2020 06:11:42 GMT9

Hala Tashkandi

東京:真っ白な和服に身を包んだ大倉正之助さんは、本格的な武士の甲冑一式を前に、じっと椅子に腰掛けている。大倉さんの膝の上には、木製の胴と乾燥させた馬の革でできた2つの輪を鮮やかなオレンジ色の紐で結んだ小さな手持ちの鼓が置かれている。彼は太腿の上にしっかりと鼓を置いたまま、静かにまっすぐと前を見つめて座っている。

そして、彼は手を上げ、鼓を真正面から叩いて雷のように轟く音を立て、奇妙な、しかし不思議と元気が出るような声を上げる。彼がこれを何度も何度も繰り返すうちに、会場のエネルギーが変わり、参加者全員にだんだんと力が湧いてきて、突然、別の時間に戻ったような感覚に陥る。

彼自身の言葉で表現すると、大倉さんの音楽は少し「原始的」かもしれない。それは基本的には、鼓のリズミカルな拍子と、別の時代に戦いの前に行われた武士たちを鼓舞する高らかな鬨の声以外の何ものでもない。しかし、彼自身が指摘するように、この種の音楽には力がある。

鼓は日本の伝統的な演劇(すなわち能や歌舞伎)や民謡にも使われているが、その多くは家宝で、非常に貴重なものだ。大倉さんの鼓も例外ではなく、砂時計のような形をした木製の胴に繊細な金の細工が施された鼓は、500年以上前に作られた。

大倉さんは、鼓の演奏技術を極めてきた家系の16代目にあたる。父親から貴重な鼓を譲り受け、生まれたときから家の伝統を引き継ぐことが期待されていた。

今年で64歳になる大倉さんは、初めて鼓を手にしたときのはっきりした記憶がないため、いつから鼓を叩いているのかさえ分からないという。「初めて鼓を触ったのがとても小さい頃だったので、いつ頃から鼓を触っていたのか覚えていません。父も祖父も含め、家族全員が鼓を叩いていました。私は家族の演奏を見て育ちました。気づいたときにはすでに鼓を叩いていたような気がします」

非常に伝統的な家庭に生まれた大倉さんは、伝統文化と現代社会のすき間にいるように常に感じていた。「そのすき間を埋めることを考えてきたのが、現在、自分の礎の1つになっています。それを現代に活かしていきたいと思います」

それは、彼が真剣に考えている責任だ。大倉さんは全国の学校や大学を定期的に訪問し、必要に応じてしばしば彼の演奏やイベントに参加する学生を受け入れている。日本の若者の多くが西洋文化を受け入れ、伝統に触れることがなくなる危険性がある中、彼は鼓への愛や、それにとどまらず、すべての日本の伝統的な芸術を広める必要性を感じている。

「今、世の中には面白いものがたくさんあるので、伝統的なことだけをやっていてもうまくいきません。最近は非伝統的なものが多く、それらに興味が移ってしまいます」と大倉さんは話す。

しかし、若者たちが現代の非伝統的な文化よりも伝統文化の要素の一部に魅力を感じれば、若者たちは伝統文化に戻ってくるだろうと、大倉さんは考えている。そして、大倉さんは、新しい世代に彼の技術の魅力を伝えるために、大きな努力をしてきた。

バイクが大好きな大倉さんは、自分が出演するイベントにバイクに乗って現れることがあり、彼を純粋な伝統派と思っている人たちを驚かせている。  「伝統的な世界の外に出ると、伝統的な世界の中にいては出会えないような人たちと知り合うことができます」

大倉さんは、現代のDJと共演して500年前に作られた鼓を演奏したり、バイクメーカーとコラボしたりしている。「ヤマハとコラボして、私の鼓の演奏を元にバイクをデザインしてもらいました。ヤマハがやったことは、デザイナーが私の鼓の演奏を聞いて、コンセプトを考えてデザインを作って、それを後に商品化しました」

しかし、大倉さんはこの組み合わせが奇妙だとは思わないし、バランスをとるのが難しいとも思わない。大倉さんは簡潔に「バイクへの愛も鼓への愛も趣味ではなく、私が進む道です」と言った。

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