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映画祭「Saudi Cinema Nights」 で上映された傑作映画

紅海国際映画祭は、ジェッダのモール・オブ・アラビアにあるMUVIの映画館で、サウジアラビア出身の才能あふれる映画制作者にスポットライトを当てた「Saudi Cinema Nights」と称するイベントを開催した。(提供写真)
紅海国際映画祭は、ジェッダのモール・オブ・アラビアにあるMUVIの映画館で、サウジアラビア出身の才能あふれる映画制作者にスポットライトを当てた「Saudi Cinema Nights」と称するイベントを開催した。(提供写真)
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29 Jun 2021 03:06:02 GMT9
29 Jun 2021 03:06:02 GMT9
  • この上映イベントは創造性や既存の壁を壊すような発想を称え、サウジ出身の豊かな才能がどのように培われてきたかを大画面で紹介し、祝福した

ディーマ・アル・フデール

ジェッダ: 近年、サウジアラビアの作家には多大な支持が寄せられているが、その恩恵を近くの映画館で楽しめるようになった。

紅海国際映画祭は、ジェッダのモール・オブ・アラビアにあるMUVIの映画館で、サウジアラビア出身の才能あふれる映画制作者にスポットライトを当てた「サウジ・シネマ・ナイト(Saudi Cinema Nights)」と称するイベントを開催し、国内で制作されたいくつかの短編映画を上映した。

この上映イベントは創造性や既存の壁を壊すような発想を称え、サウジ出身の豊かな才能がどのように培われてきたかを大画面で紹介し、祝福するものだった。

上映ラインナップは『Carnival City』に加え、『… And when do I sleep?』(2020)、『Ongoing Lullaby』(2020)、『The girls who burned the night』(2020)、『Goin’ South』(2019)という4本の短編映画だ。

『Carnival City』は、 マスードとサルマの夫婦を主人公に、ロードトリップ中に車が壊れたことから始まるめまぐるしい旅の顛末を描いた作品だ。マスードは怪しげな小さな町で修理工を探すため、妻を砂漠に残して出かけていく。離れている間、二人はそれぞれ「自分だけの人生の旅」を経験し、再会することになる。

サウジアラビアと日本の関係は、文化とエンターテインメント界におけるパートナーシップによりさらに強まった。
イサム・ブカーリ博士
マンガプロダクションズCEO

ワエル・アブ・マンスール監督はアラブニュースの取材に対し、映画のストーリーを脈絡のないものにすることで、観る人が主観的に解釈できるようにしたかったと語った。

「観客に解釈を押しつけたり、一つの考え方をさせるようにはしたくなかった。自分のやり方でこの映画を理解してほしかったんだ。疑問を呈したり、観客自身が質問したくなるような作品を目指した。人によって異なる解釈の余地がある映画だ」と、監督は語り、最後のどんでん返しで観客は主人公に対する最初の印象が正しかったのか思いを巡らせることになるだろうと付け足した。

予想外の展開は心地よく新鮮に感じられるだろう、とアブ・マンスール監督はアラブニュースに語った。「うまい展開だ。映画そのものが、意味のないストーリーを語るためにつくられているのだから。ストーリーには脈絡がない。修理工は悪人だったが、そこまでは悪人ではなかった。マスードに一日で車を返すと告げたが、結局、三日ほどかかった」

「修理工の視点からは、大したことではなかった。だが、マスードからしてみれば、自分の過去、これまでの人生から自由になろうとしているのだから、一分一秒が貴重なんだ。マスードはこの旅を、自分の夢と決断を誰にも邪魔されたくないと思っている。ラストのあの場面は、この映画を脈絡のないストーリーだからこそ意図されている。マスードがサルマと一緒に砂漠にとどまることを決めても、車が戻ってくるまでかかる時間は同じなんだ」

サルマ役のナダ・ アル・モジャデディ氏は、この役に個人的な共感を感じたと話す。

「ほとんどの女性がサルマに共感できると思う。男性との関係で弱い立場になったり、相手に従うことに慣れている女性は多いはずだから」と、アル・モジャデディ氏はアラブニュースに語った。

「女性は旅の方向性に口出しができない。でも、どんな状況に置かれても問題を解決して世界を創造する強い精神を持っている。女性はそれを、何世紀もやってきた」と、アル・モジャデディ氏は付け足した。

アル・モジャデディ氏は、映画の中で夫婦が離れるのはいいことだと説明する。

「彼らが別の道をいくことが映画の一番重要なところ。序盤では、二人はまだ関係が始まったばかりで一緒に車に乗っている。それから二人は離れ、それぞれが自分の現実と向き合うことになる。たとえそれがどんなに厳しく、居心地の悪いものであっても、どんなに心が揺らいでも」

「最終的に、二人はそれぞれの旅の体験を抱いて相手のもとに戻っていく」

マスードを演じたモハメッド・サラマ氏は、様々な大変な出来事を通してマスードがどう成長していくかを説明した。最初は傲慢なマスードだが、厳しい展開が彼の頑固な性格を打ち砕いていく。

サラマ氏はアラブニュースに対し、夫婦が離れることはいいことでも悪いことでもないと話した。「それ自体が脈絡のない出来事で、人生に起こることはすべてに意味があるわけではなく、ただ起こることもあると示しているんだ」

イベントでは『The girl who burned the night』も上映された。この作品で、サラ・ メスフェ監督は13歳と14歳の役者を主人公とした。「十代初めの強烈な部分を描きたかったから」だ。

この映画は個人的な体験を基にしたものではないと監督は言うが、これまでの人生で同じような感情を体験したことはあるという。

ストーリーは想像で生み出されたが、「この映画を観た多くの人が怒り、退屈、狂気、不可解さ、反抗心を感じたと言った。私もそれらすべてを感じたことがある」と、メスフェ監督はアラブニュースに語った。

「物語の語り手として、少女たちはこの年齢である必要があった。このくらいの年のほとんどの子供たちは男女かかわらずいつも自分が正しいと思っているから大好き。『自分の言うことは正しい。私の質問にもっともな答えをくれるなら別だけれど、そうでないなら私が正しい』と思っているし、いつもすごく怒っていて、すごく自信がある。自分には世界を変える力があると信じている年齢だ」と、メスフェ監督は付け足した。

上映ラインナップのもう一つの作品は、ヒシャム・ ファデル監督の『Ongoing Lullaby』だ。ファデル監督は台本をすべてモノローグで書いた。主人公は自分自身の内なる批評家の声を聞き続けている。その経験は誰もが覚えがあるだろう。物語は、批評家のコメントと共に進んでいく。

「内側で話し続ける声は誰でも体験しているから、観客の多くはそこに共感する。私自身の体験でもある――映画の中ほどはっきりした声ではないが。だが、自分の頭の中の声、内なる批評家の存在は私が個人的に知っているものだ。それを映画にして表現し、観客に伝えたかった」と、ファデル監督は話す。

作品中で、登場人物の一人がひどい怪我をして、その時だけ内なる批評家の声が聞こえなくなる。「その瞬間、彼女の内なる批評家は生きたいと望んだ。死にたくなかったんだ。どんなにひどく、気が滅入るような状況でも、私たちには生存本能がある。私たちは生きたいと望むし、何もないよりは生きている方がいいと感じる」

「生きていることそのものがギフトだ。内なる批評家がその事実に直面した時、生存本能が働き、死より生を選ぶんだ」

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