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ユニバーサルな言語:サウジアラビア人デザイナーのルジャイン・アブルファラジュさんによる「Akwan」で楽しくアラビア語を学ぶ

アブルファラジュさんは、「Akwan」は単に子供達の遊び場になるだけではなく、社会運動、そして啓蒙活動の一環だと考えている。(提供)
アブルファラジュさんは、「Akwan」は単に子供達の遊び場になるだけではなく、社会運動、そして啓蒙活動の一環だと考えている。(提供)
ルジャイン・アブルファラジュさん。(提供)
ルジャイン・アブルファラジュさん。(提供)
ドバイデザインウィークでの「Dhad」のインスタレーション。(提供)
ドバイデザインウィークでの「Dhad」のインスタレーション。(提供)
27 Nov 2019 11:11:08 GMT9
  • 「Akwan」は、アラビア文字の形をした部品を組み合わせた、カラフルでモダンな遊具で構成されている
  • アブルファラジュさんは、「Akwan」は単に子供達の遊び場になるだけではなく、社会運動、そして啓蒙活動の一環だと考えている

ラワー・タラス、ドバイ

サウジアラビア人デザイナーのルジャイン・アブルファラジュさんの最新作は、全て1本の電話がきっかけで始まったものだ。

「ある日、息子を預けていた保育園から電話がありました」とアブルファラジュさんは説明する。「アラビア語のクラスに行きたくないと言って泣いているとのことでした。息子は実はアラビア語が嫌いと知って、私の心は沈みました。話し方がわからないだけではなく、好きですらないということですから」

アブルファラジュさんは、自身の革新的な子供向けプロジェクト「Akwan」が展示されているドバイデザインウィークで『Arab News』のインタビューに答えた。Akwanはアラビア語で「ユニバース」の複数形だ。

アブルファラジュさんは、「Akwan」の共同クリエイターとなったアラブ首長国連邦のデザイナーのサラ・アル=アリフさんとともに、「Akwan」プロジェクトのための調査、ブランディング、及び制作に3年近い月日を費やした。プロジェクトの目的は、遊びを通して「子供達の心にアラビア語への愛を植え付けること」とのことだ。

「Akwan」は、アラビア文字の形をした部品を組み合わせた、カラフルでモダンな遊具で構成されている。小さな遊具のそれぞれが、特定の単語のスペルとなっている。文字は、子供達が簡単に認識できるよう、シンプルな幾何学的形状のデザインとなっている。

アブルファラジュさんは、「Akwan」は単に子供達の遊び場になるだけではなく、社会運動、そして啓蒙活動の一環だと考えている。湾岸協力会議のメンバー国の多くのアラブ人の子育て世代(アブルファラジュさんも含む)は、子供達がアラビア語を話すことに関心がないことに懸念しており、プロジェクトではその懸念の解消を目的としている。ちなみに、子供達がアラビア語に関心を失っている実態は、近年多くの研究によって裏付けられている。

例えば、2015年のアラブ人若者意識調査によると、調査対象となった3,500人のうち、3分の1以上は日常生活でアラビア語より英語をより頻繁に使うと回答した。アブルファラジュさんは、その主な理由は多くの親が子供たちとアラビア語でコミュニケーションをしていないことだと考えている。

「私は大きくなるにつれて、アラビア語を負担のように感じるようになりました」とアブルファラジュさんは『Arab News』に対して語る。「子供の頃は、テレビでも良質なアラビア語のコンテンツがありました。私たちはアラビア語を話しましたし、アラビア語での読書も楽しみました。しかし大きくなると、英語を使うことの方が多くなり、アラビア語の上達は遅れるようになりました。アラビア語は授業中に先生が使うだけのものになり、先生も情熱なく単にカリキュラムを終わらせようとしているだけでした」

アブルファラジュさんは、遊具を作るようになる前には、アラビア文字を使った子供用のおもちゃのデザインをしていた。そうした子供用のおもちゃの多くは時代遅れで子供にとって退屈だと感じていたからだ。しかし、アブルファラジュさんによると、過去数年で、アラビア語の子供向けの本の内容やおもちゃの質は確実に向上していると感じられるとのことだ。

ドバイデザインウィークでは、「Akwan」チームは2作目となる3文字の単語のおもちゃを「Malaab.Dhad」と銘打ち発表し、様々なバックグラウンドを持つ多くの人が興味津々な様子で集まった。またドバイに向かう前には、1作目のインスタレーションが今年のサウジデザインウィークで展示された。1作目は2作目より大きく、アラビア語で「Koun」(「ユニバース」の単数形)のスペルになっている。

「アラビア語は退屈だという考えを払拭して、アラビア語を楽しい遊びに結びつけることを目標としました」と、シャルジャのアメリカン大学で学んだアブルファラジュさんは言う。「『Akwan』は単にアラビア語を教えるためのものではありません。この作品は、アラビア語に対して私たちが貼ってしまったネガティブなレッテルを剥がし、アラビア語がいかに素晴らしいかを示すためのものです」

ドバイでは、子供達は遊具の内部や外部の階段、滑り台、及びクライミングウォールの足場を探索した。「すべての細部に気を配りました。子供達には、単に登るだけではなく、『Dhad』の中に入っていってもらいたかったのです。子供の場合、多くの感覚(を使うほど)、学習体験に没頭できるのです」とアブルファラジュさんは語る。

「Akwan」を通して、アブルファラジュさんは子供達にアラビア語のスキルを頑張って向上させるよう促す楽しい方法を提示できればと考えている。

「正しいアラビア語を話せないのは恥ずかしいことだ、と人々が思うようになっているのではないかと感じています。子供達はアラビア語が話せないことを恥ずかしく感じ、親も同じように感じるようになっています。そうなると、努力をやめてしまうのです」とアブルファラジュさんは言う。「全員、上手下手に関係なく、アラビア語こそ母語だと感じるべきだと思います」

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