

ナダ・ハミード
ジェッダ:昨今、サウジアラビアの女性たちは新しい業界に進出し、インディーゲーム開発者クラブなどのコミュニティの支援も得て、順調に前進している。
野心にあふれた夢みるゲーマーでサウジアラビアの起業家のヌーア・アルハドラ氏は、何年もゲームで遊んできた経験を経て、ゲーム開発業界への道を切り開いた。兄と彼のもっていたゲームコレクションのおかげで6歳からゲームを始めた。兄が留学のため家を出てからはますます熱中した。アルハドラ氏にはたくさんのゲームが残され、それからはずっとプレイを続けてきた。
「ゲームは勝利を信じて絶対に諦めないことを教えてくれます。ゲーマーは常に解決策を見いだしていくプロセスが体に沁み込んでいるのです」とアルハドラ氏はアラブニュースに語り、「困難はチャンスに変わります。どんなに難しいゲームでも負けを前提に作られたものはなくて、すべては勝つべきものです。そのために独創的で賢い手段を見つけ出すのです。その習慣は一生ついてきます」
アルハドラ氏がゲーム開発を始めたのはアカデミー・オブ・アート大学で美術学士号の取得を目指してビデオゲームデザインを専攻していたときだ。その後も勉強を続け、英国のセントラル・ランカシャー大学でテクノロジー・アントレプレナーシップの修士号も取った。そしてビデオゲームイベント会社WeGeekを始めた。
未成熟の分野に参入しようと、2016年にビデオゲームイベント会社を立ち上げた。人々の参加はその会社のビジョンに欠かせない要素だった。コミュニティをテーマにしたユニークなゲームイベント会社で、テスト、競技会、インディーゲーム開発者の作品紹介、ライトセーバーショーなどを手掛けている。
eスポーツ、ゲームコミュニティ、インディー開発者に焦点を当てた20以上のイベントをロンドン各地で開催してきたアルハドラ氏は、任天堂、バンダイナムコ、ユービーアイソフト、コナミなどの企業と提携して一般の人々の参加を後押しし、ゲームへの理解を促してきた。
当初、アルハドラ氏はサウジアラビアで起業したいと考えていた。ところが、当時はイベント会場では男性と女性の居場所が分けられていた。女性ゲーマーよりも男性ゲーマーのほうが多いことを考えると、それは若い起業家の彼女には非合理的に思えたため、時が熟すまで英国を選ぶことにした。
ゲームは勝利を信じて絶対に諦めないことを教えてくれます。ゲーマーは常に解決策を見いだしていくプロセスが体に沁み込んでいるのです。
ヌーア・アルハドラ
「自分自身を振り返ると、これらの企業は長年ゲームコミュニティに多大な貢献をしてきて尊敬と感謝に値します。提携できたのは幸運です」とアルハドラ氏は付け加えた。
2018年、アルハドラ氏はもうひとつの道を開き、Roboraceに参画した。WeGeekのパートナーシップマネージャーとなった最初の自動運転レース車だ。
Roboraceの業務はゲーム業界とそれほどかけ離れているわけではないという。「Roboraceは、ビデオレースゲームのように障害物のある場所でカーレースをすることで、その体験のゲーム性を高めようと考えています。まさに私の出番です。当時のCEOは大手ゲーム会社のバンダイナムコに採用されました」
2019年、新たな開発の道がスタートした。サウジアラビアで青少年にビデオゲームを通してロボットのプログラミングを教えるプラットフォーム「Robonetica」を立ち上げたのだ。
「学生時代にいくつかビデオゲームを開発し、後にRoboneticaのゲーム『レッド・プラネット・プロジェクト』の開発の主導と監督をするようになりました」とアルハドラ氏は言った。
「COVID-19が流行する前からRoboneticaの開発に取り組んでいました。自律型ロボットのプログラミング方法を次世代に教えることがポイントだったため、人工知能と密接に関連していました」
「人々に手段を提供し、ザッカーバーグ氏やマスク氏の手中に収まるのではなく、独自に未来を創造する力を身につけられるよう支援することが目的でした」
ゲーム業界での地位をさらに高めるために、アルハドラ氏は今年の初めにYouTubeチャンネルを立ち上げ、ゲームやテクノロジー機器のレビューを公開しているほか、業界に入るための役立つヒント、ゲーム関連ニュース、業界ネタなども投稿している。
「新作ゲームの発売時にそのレビューをすることが多いです。キャラクター開発、ゲームメカニック、ストーリーラインなど、そのゲームを差別化するあらゆる特徴に注目します」とアルハドラ氏は付け加えた。
インディーゲーム開発業界において女性であることは、彼女がゲーマーの性差に関する固定観念を破る結果につながった。
「7年以上ゲーム業界に身を置き、ビジネスからエンターテインメントまでさまざまな分野で活躍してきましたが、その間も私はずっとビデオゲームに夢中でした。でも、ビデオゲーム開発業界における女性の存在は米国でさえ珍しいのが現状です」と彼女は言った。
「クラスで女性が1人だったこともありました。初めは戸惑いましたが慣れていきました」
「起業時は、認めてもらうには3倍働かなければならないと感じていました。今は人の評価を気にするのはやめ、仕事を見てもらうようにしました。YouTube上であっても、女子ゲーマーとは呼ばれたくありません。私はゲーマーです」