Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 芸術と文化
  • 日本の高齢者を殺す?カンヌ国際映画祭が衝撃的なアイディアを検証

日本の高齢者を殺す?カンヌ国際映画祭が衝撃的なアイディアを検証

(左から)2022年5月20日、南仏カンヌで開催中の第75回カンヌ国際映画祭にて、映画「プラン75」の上映に到着した日本人俳優の磯村勇斗氏、日本人監督・脚本家の早川千絵氏、フィリピン人女優のステファニー・アリアンヌ氏(AFP)
(左から)2022年5月20日、南仏カンヌで開催中の第75回カンヌ国際映画祭にて、映画「プラン75」の上映に到着した日本人俳優の磯村勇斗氏、日本人監督・脚本家の早川千絵氏、フィリピン人女優のステファニー・アリアンヌ氏(AFP)
Short Url:
22 May 2022 01:05:55 GMT9
22 May 2022 01:05:55 GMT9

カンヌ(フランス):日本の映画作家が、急速に進む高齢化を解決するため老人を安楽死させるという自国のディストピア的ビジョンを描き、カンヌ映画祭の観客を震撼させている。

日本人監督兼脚本家の早川千絵氏による「PLAN75」は、非常に現実的な問題を題材としている。

日本は最も急速に高齢化が進んでいる産業社会である。減少する若年層が増え続ける高齢者軍団を支えなければならないため、この傾向によって、経済的にも政治的にも大きな問題が生じつつある。

日本の人口の30%近くが65歳を超えており、その大半は女性である。この割合は今後数十年間にわたり上昇し続けると予想されている。

この映画では、75歳を超える年齢の者は皆、安楽死への同意と引き換えに金銭を受領するという政府との契約にサインするよう勧められる。集団葬儀は無料だ。

人々にサインを行わせるため、巧みな広告キャンペーンや、安らぐ声の人物からの電話などが展開される。ハンサムなアドバイザーが、見返りの金銭で得られる小さな楽しみを言い連ねる。「レストランに行けますよ」などと。

早川氏はAFPのインタビューで、「政府のプラン75は、一見すると親しみやすさに満ちており、友好的で現実的に見えるが、実際は非常に残酷で恥ずべきものだ」と語った。

「高齢化は近年生じた問題ではありません。昔から議論が交わされるのを見てきました」

「私が若い頃は、長寿は良いこととみなされ、人々は年長者を尊敬していました。今はもはやそうではありません」と、45歳の監督は付け加えた。

早川氏の初の長編映画となる「プラン75」は、カメラの動きを最小限に抑えた、ゆったりとした映像が特徴である。

監督は「プラン自体と同じく、映像もまた優美で美しく、かつ冷たく残酷なものにしたかったのです」と語っている。

映画が日本の現状にどれだけ近いかを問うと、早川氏は「10点中8点」と即答した。

早川氏が映画のための調査の一環として高齢者にインタビューしたところ、人生の終わりを自ら選ぶことで経済的安定性を得られるという考え方にメリットを感じていることが分かったという。

「一人になったときどうやって生きていけばいいのだろうというストレスが軽減されるのでしょう。亡くなる時期やその方法を選ぶというのは、とても心強いことなのかもしれません」と監督は語った。

また、このような考えは若年層にも指示される可能性があるという。

「仮にこのような計画が浮上すれば、受け入れる人が大勢いるだろうと思います。現実的な解決策として歓迎するかもしれません」と言う。

「多くの若者は、既に自分の人生の終末がどうなるのか心配しています。基本的なニーズを充足できるのか?1人になったときに生きていけるのか?長生きするためのお金はあるか?と。」と語った。

早川氏によれば、多くの若者は、政府を非難する代わりに、老人に対して怒りを抱いているという。

「若者は高齢者を支えるために一生懸命働かねばならないのに、自分達の番がきたら支えてくれる人は誰もいないため、不満を抱え、怒っています」と語った。

「私が大いに心配しているのは、いかにもこのような極端な解決策を好みそうな社会的現実があるということです」と監督。「これは恐ろしいことです」

早川氏は、この映画は高齢化という危機に対処する解決策を提供するものではないと言う。「ですが、現在我々が置かれている状況を正直に評価することは、重要な一歩であるはずです」と語った。

AFP

特に人気
オススメ

return to top