
・アル・オバイド氏は、手描きの鉢袋を一から作っている。植木鉢の大きさに合わせて袋を縫い、布に合わせて描く絵(主に花)を選ぶのだ
ナダ・ハミード
ジェッダ:ハディール・アル・オバイド氏は、東部州出身のサウジアラビア人アーティストだ。20年以上の農業経験をもつ彼女は、少女時代の趣味をユニークなビジネスアイデアに変えることで、自らの信念への一歩を踏み出した。
アル・オバイド氏は素晴らしい創造力を活かし、芸術、農業、そしてギフトというアイディアを融合した手描きの鉢袋を提供している。
彼女はアラブニュースに対し、「私は亡くなった父から農業に対する愛情を受け継ぎました。父は、私が13歳の頃から色々なガーデニング技術を教えてくれました。そこでまず、植物の手入れ方法やコツ、そして自分の絵を何枚かSNSに投稿し始めました」と語った。
アル・オバイド氏は植物に関する幅広い知識をもっており、「私は植物と良い関係を築いており、自分の経験を皆さんにシェアしたいと考えています。また、私のアート関連ビジネスが農業に関連している点も嬉しく思っています」と言う。
コロナ渦の間、アル・オバイド氏は韓国や日本の芸術、そして自宅の室内庭園や花々にインスピレーションを受け、自らの画風を研究する時間をもった。現在のプロジェクトである「ラベンダー・タッチ」のアイデアが閃いたのはその時だった。
「独学で絵を学んだ私は、まずテーブルランチョンマット、ディナーテーブル用リネン、コースターなどに絵を描き始め、多くの人の賞賛を得ました。次に、多くの屋内外の植物に囲まれていたことから、植木鉢に手描きの布袋を被せ、植物をもっと生き生きと見せることを思いつきました」
アル・オバイド氏は、手描きの鉢袋を一から作っている。植木鉢の大きさに合わせて袋を縫い、布に合わせて描く絵(主に花)を選ぶのだ。そして絵の具で着色し、最後にアラビア語で興味深い言葉や引用文を書く。
「キャンバス地の袋を縫ったら、そこに花だけを描きます。そのほとんどは、ピースリリー、チューリップ、フレンチアジサイ、コモンジニア、アラビアンジャスミン、ラベンダー、パンジーなど、自宅のホームガーデンに咲く植物からインスピレーションを得たものです」と彼女は語る。
「ラベンダー」というプロジェクト名も、彼女の好きな色と花からヒントを得たものだ。
アル・オバイド氏は、「絵画と植物の融合」以外には、「花束を贈る」という概念を変えることも同プロジェクトの大きな目的だと述べた。
「個人的には、いろいろな機会に合わせて『花束を贈る』という考えは大事にされていると感じます。しかし、贈られすぎてサプライズ要素が全くなくなっているのです。ですから、どんな種類の植物でも良いので、きれいに装飾された植物に置き換えれば、花を贈るという行為をもっと価値あるものにできます」と彼女は語る。
アル・オバイド氏は、色や形、描く花の種類、英語やアラビア語の名前、いろいろな機会に合わせたフレーズなどを客が選べるカスタムメイド式の鉢袋と、それに合わせるさまざまな室内用植物や花の提供もおこなっている。
「花の種類にもよりますが、1枚描くのに1~3時間ほどかかります」と彼女は言う。
布製の鉢袋には、植物に水をかけても美しい絵が維持されるよう、ベルベットのような質感の耐水カラーが使用されているのも特徴だ。彼女の作品は、Instagramの@lavender_touchesで見ることができる。