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多彩なおいしさを披露するアル・ウラー柑橘類フェスティバル

アル・ウラー柑橘類フェスティバルでは、地元の農家が今シーズン生産された29種類の柑橘類の果物を出展している。出展者は柑橘類を使った地元や世界のレシピや料理も提供する。(写真/提供)
アル・ウラー柑橘類フェスティバルでは、地元の農家が今シーズン生産された29種類の柑橘類の果物を出展している。出展者は柑橘類を使った地元や世界のレシピや料理も提供する。(写真/提供)
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10 Jan 2023 09:01:22 GMT9
10 Jan 2023 09:01:22 GMT9
  • 年間生産量1万5000トンはサウジアラビア王国総生産量の30%相当
  • 29種類の柑橘類はジュース、化粧品、オイルにも使用

ナダ・ハミード

ジェッダ:収穫のシーズンに合わせて開催されるアル・ウラー王立委員会による二回目の柑橘類フェスティバルには、地元の多種多様な柑橘類が出展されており、国内外の来場者を魅了している。

アル・ウラーの年間生産量は推定1万5000トン、サウジの総生産量30%に相当する。同地域には4,700もの農場があり、800ヘクタールに20万本以上の木が栽培されている。

アル・ウラーの柑橘類は料理や薬用に使用されている。(提供写真)

1月6日~21日まで開催されているアル・ウラー柑橘類フェスティバルでは、地元に多大なる経済効果をもたらしている新鮮な地元の農産物が紹介されている。

フェスティバルでは、ジャム、ジュース、焼き菓子を含む菓子、香水、洗剤、化粧品など、柑橘類が使用されている商品の商談の窓口も提供される。これら柑橘類は貴重な薬効成分、精油、芳香成分のために使用される。

(フェスティバルは)農家の普及、成長、収益増加につながります。

バドル・アル・ムタイリ氏、サウジアラビアの農業コンサルタント

サウジアラビアの農業コンサルタント、バドル・アル・ムタイリ氏はアラブニュースに対し、古代遺跡の魅力に惹きつけられる観光客がいるアル・ウラーには、柑橘類の商品をグローバルに紹介する機会があると語る。

「観光客がこれらの柑橘類を試食すれば、(その高い品質のために)周囲に勧めてくれるので、普及、成長、農家の収益増加につながると確信しています。そして、柑橘類の栽培面積の拡大につながるでしょう」

オアシスの肥沃な土壌で成長する、さまざまな種類の柑橘類の中から、29種類の柑橘類が展示されている。最も普及しているのがオレンジ類で、アル・ウラーで生産される柑橘類の7、8割を占める。(Twitter @RCU_SA)

アル・ムタイリ氏は、観光客に悪い印象を残す可能性のある低品質の商品の販売に反対している。

多様性と料理

アル・ウラーの肥沃な土壌で成長する29種類の柑橘類がフェスティバルで展示されている。中でも、オレンジ類が生産量の7、8割を占めている。

アラビア語の「シャモティ(Shamouti)」と呼ばれることもあるジャッファ・オレンジなど、地元の品種も多数栽培されている。甘みが強く、種は少なめで、皮が硬い品種である。

アル・ウラー柑橘類フェスティバルは農業の多様性を象徴している。(SPA)

スイートオレンジの「スッカリ(Sukkari)」オレンジは黄みがかった色合いで果汁が多いことで知られており、一方ネーブルオレンジは、より濃厚な味わいで酸味も強い。

「バラディ(Baladi)」オレンジは深みのあるオレンジ色で、ジュースにするのに最適とみなされている品種だ。

マンダリン、クレメンタイン、タンジェリンは、アル・ウラーの住民のあいだで人気が高い。

また、スイートライムとして広く知られている「ビン・ズハイル(Bin Zuhair)」や「アダリア(Adalia)」レモンなど、さまざまな種類のレモンも展示されている。

アル・ウラー柑橘類フェスティバルは農業の多様性を象徴している。(SPA)

グレープフルーツについては、アル・ウラーの住民のあいだでダークレッドのスタールビーの人気が高く、種なしのマーシュ(Marsh)の品種もアル・ウラーで栽培されている。地元では「ロイヤル(Royal)」として知られるザボンやキンカンも、フェスティバルに出展されている。

フェスティバルの出展者は、柑橘類を使った地元や世界のレシピや料理を提供することで、柑橘類の果物の価値を高めている。

著名なシェフによる料理ショーがライブで行われ、フェスティバルの最初の週末には、フランスのミシュランの星を獲得しているウィリアム・ルドゥイユ氏が特別メニューを料理する。

アル・ウラー柑橘類フェスティバルは、農業の多様性を表している。(SPA)

その後の週末には、ピエール・ガニェール、ヤニック・アレノ、ミシェル・トロワグロなど、ヨーロッパや日本などの最高のレストランで研鑽を積んだ日本人シェフ、長江桂子氏が登場する。

柑橘類の栽培

アル・ウラーは何千年もの間、農業のよりどころである。たとえば、シトロンは、この地域で栽培されていた古代種のひとつと考えられている。黄緑色の厚い皮と芳醇な香りが特徴で、苦味があり、果汁や果肉はほとんど、あるいはまったく無い。これまでは、料理、ジャム、香水、医薬品に使用されていた。

農業の視点から見て、レモンとザボンの交配種であるシトロンは、現在でもこの地域では有名で、農家はその木を誇らしげに来訪者に紹介している。

このフェスティバルは、アル・ウラーの優れた柑橘類の農産物を国内外にアピールできるように光を当てて、アル・ウラーの柑橘類を支援し、販売することを目指している。(Twitter @RCU_SA)

アル・ムタイリ氏は、サウジアラビアの有機・規制規格の組織、米国の全米オーガニックプログラム、欧州や日本の農業規格機関の認定を受けた検査官である。

同氏によると、柑橘類の栽培には考慮すべきいくつかの要素があり、その中には、アル・ウラーで見られる「有機成分に富んだ水はけのよい土壌で、酸性度(pH)が6.5〜7の理想的な土地」などが含まれる。

アル・ムタイリ氏は、「不足している栄養素を供給し、形、色、味、生産量において良質の農産物を得るためには」、施肥、保護、剪定が重要であると述べた。

アル・ウラーの柑橘類の農産物の年間生産量は推定1万5000トン、サウジの総生産量30%に相当する。(Twitter @RCU_SA)

また、害虫を防除し、成長期の作物に影響を及ぼす可能性のある病気を防ぐことで、質と量を確保し、農家の経済的損失を防ぐ必要もある。

同時に剪定も重要で、適切な時期に適切な方法で行わなければならない。「木のために風通しを良くして、日光を取り入れるという重要な役割を担っています」不要な枝を取り除くことで、実がなる部分に最も多くの栄養を送ることができると、アル・ムタイリ氏は述べた。

アル・ウラー王立委員会は最近、研究開発を支援する「高品質柑橘類プロジェクト(High-Quality Citrus Project)」を立ち上げて、アル・ウラーでの栽培の改善を続けている。同委員会の最終的な目標は、農家の利益幅の50%アップである。

このフェスティバルは、アル・ウラーの優れた柑橘類の農産物を国内外にアピールできるように光を当てて、アル・ウラーの柑橘類を支援し、販売することを目指している。(Twitter @RCU_SA)

現時点で20種類以上の柑橘類を新たに取り入れて、商業規模での栽培が行われており、多様性の実現と生産量の増加を目指している。

同委員会は、柑橘類の品質向上と冷蔵倉庫や製造装置の提供を目的とした、農家向けサービス・センターの設立に向けた実現可能性研究を最近終えたところである。

同センターは、研修コースやワークショップを通じて、農家と関連業界の専門家のスキル向上を目指している。先週末には、40人の農家と従事者が参加する、実地研修コースが実施された。

また、同委員会は農家向けフィールドスクール(Farmers’ Field Schools)とモデル・フィールド・プロジェクト(Model Fields Project)を開始した。現在、3つのパイロットプロジェクトを立ち上げており、アル・ウラーのさまざまな場所にプロジェクトを15増やす計画がある。

サウジ王国のビジョン2030のプランに沿った、アル・ウラーの柑橘類とデーツのフェスティバルは、地域の経済に大いに貢献している。

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