
ドバイ:「おもてなし」とは、日本的な歓待を意味する概念で、歴史的に日本の茶道と深く関わっている。この言葉は、「おもて」(外面)と「なし」(無)の二つの部分に分けられ、ミシュランガイドによると、「二つを合わせることで、正直で、裏表がなく、気取らない、心の底からのサービス、という意味になる」という。
この「おもてなし」は、ドバイ有数のレストラン「3Fils」でエグゼクティブシェフを務める城間俊氏の指針となっているようだ。
ドバイ港を望む同店は、アジアと日本の料理を専門とするカジュアルなレストランで、味わい深いサーモンのカルパッチョや北海道産ホタテ、和牛のハンバーガーなどを提供している。
また、鯛の薄切りにザータルの深い味わいをまとわせたスナータールなど、中東と極東の食文化が融合した新鮮な「アラビーズ(「アラブ」と「ジャパニーズ」の造語)料理」も出している。
3Filsは、魚の鮮度に影響が出ないように醤油をかけないなど、独自のルールで知られている。それでもなお、喜んで通い続けるリピーターがおり、中東・アフリカ(MENA)地域のベストレストラン第5位に選ばれている。
「このレストランでは大切にしている雰囲気があります」とレストランの代表者であるカリル・クーリ氏は、アラブニュースに話す。「弊店では、お客様にくつろいでいただきたいと思っています。短パンにビーチサンダルでご来店になってもかまいません。レストランは海のそばで、爽やかな空気と新鮮な食材があります。店舗の拡大後もなお行列ができます。これもキッチンで何が作られているのかを物語っています」
城間シェフは沖縄で育ち、16歳で県内の寿司屋でキャリアをスタートさせた。2009年に、シェフは環境を一転してジャマイカに移る。続いて、シンガポールやニューヨークなどでも経験を積んだ。
世界各地を転々しようと、母国の料理への思いが消えることはなかった。「弊店には、寿司、刺身、天ぷら、ラーメン、カレーなど様々なカテゴリーのバラエティ豊かなメニューがあります」と、城間シェフはアラブニュースに話す。「そのうえヘルシーかつシンプルです」
以下のインタビューでは、城間シェフが日本のおもてなし、清潔さの重要性について語り、それに加えてコーリャローストポテトのレシピを教えてくれた。
Q: 食べ物に関する思い出で一番昔のものは何ですか?
A: 3歳か4歳の頃だったと思います。母がパンとバターとジャムを作ってくれたのを覚えています。あまりの甘さに衝撃を受けました。そのときから、私のジャム中毒が始まりました(笑)。
プロになりたての頃、よくあった失敗は何でしたか?
魚などを切っているときに、まな板を汚してしまい、洗わなければなりませんでした。にもかかわらず、そのまま作業を進めて別のことを始めました。
すると目上に「なぜまな板を洗わないんだ」と言われました。私は仕事に対して中途半端な気持ちで取り組んでいたのです。その人は、お客様に対して体裁を整えることも大事ですが、キッチンを清潔にすることも同じくらい重要だと教えてくれました。
どんな料理でもたちまちワンランク上がる食材は何でしょうか?一つ挙げてください。
一つだけ(笑)?キュウリはそのまま渡しても、食べられます。ですが、割れば食べやすくなりますよね。これこそがその材料、つまりは心です。これが食の最高の材料、「おもてなし」なんです。
キッチンでは厳格なタイプですか?怒鳴ることはよくありますか?それとも大らかな方ですか?
怒鳴る暇もないですね。私は副料理長を信頼しています。時々、ちょっとしたアドバイスをする程度です。
作るのが好きな料理は何ですか?
日本のカレーが大好きです。家で作りますし、子供や妻も食べます。私は店ではシェフですが、家では全く違います。
外食するとき、料理を品定めしてしまうことはありますか?
料理の良し悪しを決めることはしませんが、いつもと違うものを口にすると、「なぜこのようにしたんだろう?」という疑問が湧きます。そういうことに興味があるのです。文化や歴史、自然に思いを馳せると、なぜそのような味にしたのかが分かるのです。そして、自分のキッチンに戻ります。インスピレーションが湧くこともあります。
アマチュアシェフへのアドバイスをお願いします。
おもてなしの心を持つこと、そして自分の物語を作ることです。
城間シェフのコーリャローストポテト
材料
アグリアジャガイモ(洗ったもの)3個
オリーブオイル 30g
ブラックペッパーパウダー3つまみ
長ネギ(みじん切り)20g
カリカリに揚げたニンニク 10g
3Filsコチュジャンマヨ 50g
塩 適量
作り方
5. 盛り付ける。