経済産業省は8日、電気自動車(EV)などに使われるパワー半導体の共同生産を行う東芝とロームに対し、最大1294億円を補助すると発表した。日本企業間の連携を後押しすることで、規模に勝る海外大手に対抗する狙いがある。日本の競争力を高め、需要拡大が見込まれるパワー半導体の国内への安定供給につなげる。
両社の総投資額は3883億円。東芝は石川県能美市に工場の新棟を建設中で、2025年3月に製品供給を始める。ロームは宮崎県国富町で稼働予定の新工場で、省エネ性能が優れた炭化ケイ素(SiC)を使った次世代パワー半導体を生産し、26年4月から本格供給する。両社の工場で役割分担することで、効率的な生産を目指す。
パワー半導体は、EVや産業機器、家電などの電流や電圧を制御する部品。日本企業は世界で一定の存在感を持つが、複数のメーカーがシェアを分け合っており、最大手の独インフィニオン・テクノロジーズに水をあけられている。
西村康稔経産相は8日の閣議後記者会見で、両社の取り組みについて「技術や人などの結集につながり、世界をリードする半導体メーカーの創出に向けた第一歩となる」と歓迎した。
東芝とロームは「相互に補完し合える製造連携を加速し、国際的な競争力向上を目指す」とのコメントを発表した。ロームは、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)陣営による東芝買収にも参加している。
時事通信