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大手石油企業、価格急落で「サバイバルモード」の配当戦略

イラクのバスラ北部の油田。コロナウィルスが世界経済に重くのしかかり、燃料需要を押し下げた。(ロイター)
イラクのバスラ北部の油田。コロナウィルスが世界経済に重くのしかかり、燃料需要を押し下げた。(ロイター)
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11 Mar 2020 05:03:39 GMT9
11 Mar 2020 05:03:39 GMT9

ロンドン―石油価格が急落する中、世界の大手エネルギー企業は今後、自社株取得の手控えまたは非現金配当の再導入のいずれかにより、投資家への配当約束を再評価しなければならなくなっている。

ブレント原油の1バレル当たりの価格は9日、24%下落して34.36ドルとなり、アナリストは大手石油ガス生産企業の予想株価を下方修正した。

ブレント基準価格は5日の水準から3分の1下落し、その直後にロシアがOPECとの間で交わした減産合意から離脱した。

この下落により、米国シェール石油革命を受けてOPECが市場価格防衛のために増産した時に発生した2014年の石油不況に対応してコストを削減した経営陣は、配当計画の再考を強いられるとみられる。

その際、エニは配当を減らした一方、同業他社は配当を継続したが、ほかの緊縮策を講じた。

このセクターも現在、世界が地球温暖化をもたらす化石燃料の利用を抑制しようと模索する中で長期的な持続可能性への懸念が高まっているため、投資家の投資意欲を保持しようと悪戦苦闘している。

投資家の引き付けておくため、大手石油企業各社の取締役会は配当を増やし、自社株取得プログラムを加速している。

しかし、ブレントの平均価格が1バレルあたり64ドルだった昨年でも、たいていの企業は収支バランスをほとんど維持できなかった。

ジェフェリーズのアナリストであるジェイソン・ガメル氏は、石油大手はこのような市況下で既に「サバイバル(生き残り)モード」に入っており、今後はどの部分の支出を削減するかについて検討しなければならなくなる、と書面で述べた。

「自社株取得と配当増加は、今はほぼ確実に提案されていない状態だ。どこが最初に配当を減らす必要に迫られるかが注目点となっている」と同氏は続けた。

先週、シェブロンは株主に対し、5週間にわたって最大800億ドルの利益還元を行うと約束した。

ゴールドマン・サックスは、「原油価格の下落サイクルの継続期間次第により」、シェブロンが自社株取得プログラムを徐々に縮小する可能性がある一方、エクソン・モービルが2020年の330億ドルの支出計画と配当増加をトーンダウンさせる可能性があると述べた。

こうした動きは、以前の警告に引き続いて出たものだ。その警告には、コロナウィルスが世界経済に重くのしかかり、燃料需要を押し下げる中、250億ドルの自社株取得プログラムを縮小したシェルのものも含まれる。

BPは先月、昨年の利益が4分の1減少したにもかかわらず配当を増やすと表明した。

「私たちは、少なくとも短期間は海図なき航海に出ることになる」。バーンスタインのアナリストは、シェル、エニ、レプソル、トータル、エクイノールに対する推奨を格下げした後でこのように述べた。

バーンスタインのアナリストであるオズワルド・クリント氏は、欧州の大手の損益分岐点は前回の市況低迷以降は改善していたと述べた。

2014年の価格急落以降、石油各社は数十億ドルものコストを削減してきた。そうした企業の多くは、1バレルあたり約50ドルの石油価格に耐えるような事業構築を行った。

トータルやシェルなどの石油大手は、前回の市況悪化後に証券配当を導入。これにより、現金ではなく株式の形で配当を出すことができた。

「これが6ヵ月にわたる“価格戦争”に発展していけば、証券配当への見返りは見込めないだろう」と、レッドバーンのアナリストであるスチュアート・ジョイナー氏は述べた。

ロイター

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